2019年のJ1リーグは、金曜日のナイトゲームで幕を開けた。

 ダビド・ビジャが加わって話題を集めるヴィッセル神戸が、セレッソ大阪のホームへ乗り込んだ。セレッソを支えてきた山口蛍がヴィッセルへ移籍したこともあり、現地の盛り上がりはかなりものだった。キックオフの2時間前にはもう、スタジアム周辺は大変な人だかりだった。

 リーグ戦の全試合を同日に開催するのではなく、複数の日にちにまたいで消化していくのはメリットが多いと感じる。

 取材をする立場で言えば、スタジアムに足を運べる試合が増える。先週末の僕は、金曜日に長居でセレッソ対ヴィッセルを、翌日は等々力で川崎フロンターレ対FC東京戦を取材した。日曜日はJ2の大宮アルディージャ対ヴァンフォーレ甲府戦へ行った。同じように3日連続でJ1、J2を取材した、という同業者は少なくなかった。

 記者が取材できる機会の増加は、記事露出に比例していく。金曜日の夜から日曜日の試合終了後まで、Jリーグの情報が数多く発信されていくことになる。

 Jリーグ各クラブの練習は、非公開が増えている。練習を公開しないのはヨーロッパのクラブが始まりで、Jリーグにも数年前から世界的な慣習が浸透してきた。いずれにしても、試合当日以外に得られる情報には限りがある。

 その結果として、中身の濃い記事が作りにくくなっているところがある。日頃の努力が足りないと言われてしまえば、個人的には反論の材料を持てない。とはいえ、鮮度の落ちた食料品に消費者の手が伸びないのと同じで、スポーツの報道にも鮮度は問われる。画一化された記事が増えてしまっていると、個人的には感じている。

 チームの利益を担保する意味で、非公開練習は許容されるべきだろう。しかし、それによって情報が制限され、報道される機会が減ってしまうのは、何だかもったいない気がする。

 プロ野球が開幕したら、情報量にはっきりとした差が出てしまうだろう。プロ野球はメディアとの距離が近い。キャンプ中の練習が軽めの日でも、紙面を埋められるだけの情報を得る機会が設けられている。シーズン中も試合前の練習から取材でき、その積み重ねがとっておきの秘話につながったりもする。

 練習に紐づいた情報に限りがあるなら、Jリーグは試合が露出のカギになる。金曜日のナイターに価値を見出すのはそのためだ。

 金曜日だけでなく、月曜日に試合をしてもいいと思う。

 なぜ月曜日なのか。

 プロ野球が移動日だからである。野球の露出が減るタイミングで試合があれば、地上波のスポーツニュースでも取り上げられる余地が高まる。

 クラブには負担かもしれない。それでも、できる限りスケジュールに有利(あるいは不利)が発生しないような目配せをすることで、理解を得ていきたい。

 特定のチームのみを応援するのではなく、Jリーグの会場へ広く足を運びたいファン・サポーターにとっても、複数の日にちにまたがるのは都合がいいだろう。仕事やお金の都合があるとしても、スタジアムへ行けるチャンスが増えるのはありがたいはずだ。

 観られる場所を選ばない意味で、DAZNによるJリーグの配信は時代に合ったものだ。ただ、SNSが生活から切り離せなくなっているだけに、試合結果をすぐに知ることができる。情報を遮断するのはかなり大変だ。そして、あらかじめ結果の分かっているゲームは、観戦意欲を少なからず削がれてしまう。

 そう考えると、スタジアムで観られる可能性のある試合が多いのは、ファン・サポーターにも歓迎されるのではないだろうか。

 金曜、土曜、日曜と三日連続でスタジアムへ足を運べる人が、実際にどれぐらいいるのかは分からない。それでも、週末の過ごし方にサッカー観戦が含まれているのは、とても大切なことだと思う。

 そのうえで露出が増えていけば、サッカー界全体がメリットを享受できる。金曜日開催を固定化し、月曜日開催も検討する余地はある、と考える。