柴咲コウが3年ぶりに映画に出演して感じた“人間本来の生きかた”
「猫ちゃんの魅力? 数秒で答えるには多すぎて、1日あっても語り尽くせないくらいあります! まず耳が頭の上についていて、あの独特の距離感があって……」
『ねことじいちゃん』で約3年ぶりに映画に出演する柴咲コウ。大の猫好きとしても有名な柴咲が、今作への出演を決めた大きな理由のひとつが“あの人たち”だった。
出演を決めた大きな理由
「動物写真家である岩合(光昭)さんが監督であったこと、(立川)志の輔さんが初主演を務められること、そして猫ちゃんが出ていること(笑)が大きかったです。志の輔さんの落語は何度か拝見させていただいていて、また岩合さんの写真のファンだったので、ぜひかかわれたらと」
おじいさん、おばあさん、そして猫たちが暮らす小さな島に住む大吉(志の輔)と猫のタマ。島に引っ越してきた美智子(柴咲)が開くカフェで料理を教わったり、友人と談笑したり、都会の喧騒から離れた、ほのぼのとした時間が流れる。
「撮影した島は、日本の原風景のような場所で人も少なく、お店も夜は早くに閉まっちゃうんです。でも、それが人間本来の生き方だなって。
シニア世代の雑誌が好きでよく読むんですが、そこで“50代で始める田舎暮らし”が推奨されていて、自分も早い段階でできたらなと。まだ足腰が丈夫なうちから自然豊かな場所で生活してみて、ゆっくり年を重ねるのも楽しいのかなと思っています」
作中では、タマのほかにもたくさんの猫ちゃんが登場する。猫好きにはたまらない現場だったのでは?
「台本には“通りすがりの猫ちゃんが足にすり寄ってくる”って書いてあって。“そんなことできるの!?”と思っていたんですが、すごいことに猫ちゃんは本当にできちゃうんです。その子は甘えん坊で、人から離れるとすぐ近づいてスリスリしてきて。抱っこしたら腕の中でゴロンゴロン甘えてきて、最高に幸せでした」
撮影期間は「まるでセラピーを受けているみたいでした」と、うれしそうに話す。実は、家でも猫ちゃんを飼っていて、
「私は、雑種っていう世界に1匹しかいない存在がたまらなく愛おしいんです。今うちにいる『のえる』っていう白猫ちゃんは、すごく穏やかで優しい子。もともと、せっかちでバタバタと生活しがちだったんですが、のえると一緒に暮らして7年、あの子のおかげで、私自身も穏やかになれた気がします」
そんな“猫漬け”な柴咲が感じる、猫ちゃんの魅力は、
「五感で生きてる感じがすごく好きで。人間って視覚にとらわれすぎて、五感をフル活用できているのかな? と感じるんです。嗅覚や触覚など全部を駆使してたくましく生きている姿が大好きなので、見習わなきゃなと思っています」
作中では美智子が作る美味しそうな料理がたくさん出てくるが、柴咲の得意料理は?
「よく作るのは餃子と麻婆豆腐。1点集中型で、1回ハマるとずっと作っちゃうんです(笑)。研究肌な部分があるのかもしれないんですが、餃子も何をどういう割合で包むかによって、全然仕上がりが変わってくるので、豚肉を鶏肉にかえてみたり、キャベツの量を増やしてみたりと、いつも試行錯誤して作っています」