大谷が歴史を変えた?メジャーで“二刀流”ブームの予感
◆ 大谷の活躍で注目
昨年のこの時期の大きな話題と言えば、大谷翔平のメジャーリーグ挑戦。当初は投打を並行して行う“二刀流”に対して懐疑的な見方も少なくなかったなか、終わってみれば見事ア・リーグ新人王に輝く活躍ぶりで雑音を振り払った。
投手としては、故障もあってシーズン後半の登板機会はほとんどなかったものの、5月中に4勝をマークするなど開幕直後はローテーションの一角として申し分ないパフォーマンスを披露。打者としては104試合の出場で打率.285、22本塁打を記録して、エンゼルス打線の中軸を務めるまでに成長を見せた。
そんな大谷の活躍もあって、アメリカの地で“二刀流”という試みに対しての注目度が急上昇している。
例えば、レイズのブレンダン・マッケイという選手。2017年6月のドラフトで全体4位で指名された23歳は、「投手兼一塁手」として育成されている。
昨季は主に1Aでプレーをし、投手としては19試合に登板して5勝2敗、防御率は2.41という成績。打者としては75試合の出場で打率.214、6本塁打、39打点という成績を残した。
さらにレイズは、このオフ新たな“二刀流”候補に目を付けた。ホワイトソックスからFAとなったマット・デービッドソンである。
メジャー通算49本塁打を誇る27歳の内野手。昨季は123試合で20本の本塁打を記録しているが、実は投手としても3試合に登板。3イニングを無失点に抑えているのだ。
思えばレイズはリリーフ投手が先発として短いイニングを投げる「オープナー」と呼ばれる起用法を積極的に活用するなど、メジャーでも有数のクリエイティブなチームとしても知られる。将来的には複数の“二刀流”選手を抱え、常識では考えられないような起用をすることも考えられる。
◆ “二刀流”が一家に一台?
この他にも、レッズのマイケル・ロレンゼンという男も“二刀流”の可能性を持つ選手として熱い視線が送られている。
ロレンゼンの本職は投手で、昨季も45試合に登板。一方、打者としても6月下旬に1週間という短い期間で3本の本塁打を放つなど、シーズン通算31打数ながら4本塁打を記録した。
昨季の長打率は.710となっており、打数の少なさはあれど大谷の.564という数字を大幅に上回っている。指名打者制のないナ・リーグのレッズ所属と言うこともあり、ロレンゼンは外野の守備にも挑戦するという見通し。新シーズンは代打からリリーフ、それから外野に回って再び打席に……という起用も見られるかもしれない。
日本では大谷の成功後も“二刀流”に挑戦する選手は出てきていないが、アメリカでは大谷の活躍に端を発してじわじわと浸透していきそうな気配を見せている。アメリカにも高校や大学年代に「エースで4番」として活躍したポテンシャルの高い選手が多くいるだけに、どんどんチャレンジしていく流れになれば、メジャーでも投打にわたって活躍する“怪物”が出てくるかもしれない。
「一家に一台」ではないが、数年後には“二刀流”選手が各球団に1〜2人いるのが当たり前という時代がくるかも……?大谷の活躍は、メジャーの歴史を変える可能性を秘めている。
文=八木遊(やぎ・ゆう)
昨年のこの時期の大きな話題と言えば、大谷翔平のメジャーリーグ挑戦。当初は投打を並行して行う“二刀流”に対して懐疑的な見方も少なくなかったなか、終わってみれば見事ア・リーグ新人王に輝く活躍ぶりで雑音を振り払った。
投手としては、故障もあってシーズン後半の登板機会はほとんどなかったものの、5月中に4勝をマークするなど開幕直後はローテーションの一角として申し分ないパフォーマンスを披露。打者としては104試合の出場で打率.285、22本塁打を記録して、エンゼルス打線の中軸を務めるまでに成長を見せた。
例えば、レイズのブレンダン・マッケイという選手。2017年6月のドラフトで全体4位で指名された23歳は、「投手兼一塁手」として育成されている。
昨季は主に1Aでプレーをし、投手としては19試合に登板して5勝2敗、防御率は2.41という成績。打者としては75試合の出場で打率.214、6本塁打、39打点という成績を残した。
さらにレイズは、このオフ新たな“二刀流”候補に目を付けた。ホワイトソックスからFAとなったマット・デービッドソンである。
メジャー通算49本塁打を誇る27歳の内野手。昨季は123試合で20本の本塁打を記録しているが、実は投手としても3試合に登板。3イニングを無失点に抑えているのだ。
思えばレイズはリリーフ投手が先発として短いイニングを投げる「オープナー」と呼ばれる起用法を積極的に活用するなど、メジャーでも有数のクリエイティブなチームとしても知られる。将来的には複数の“二刀流”選手を抱え、常識では考えられないような起用をすることも考えられる。
◆ “二刀流”が一家に一台?
この他にも、レッズのマイケル・ロレンゼンという男も“二刀流”の可能性を持つ選手として熱い視線が送られている。
ロレンゼンの本職は投手で、昨季も45試合に登板。一方、打者としても6月下旬に1週間という短い期間で3本の本塁打を放つなど、シーズン通算31打数ながら4本塁打を記録した。
昨季の長打率は.710となっており、打数の少なさはあれど大谷の.564という数字を大幅に上回っている。指名打者制のないナ・リーグのレッズ所属と言うこともあり、ロレンゼンは外野の守備にも挑戦するという見通し。新シーズンは代打からリリーフ、それから外野に回って再び打席に……という起用も見られるかもしれない。
日本では大谷の成功後も“二刀流”に挑戦する選手は出てきていないが、アメリカでは大谷の活躍に端を発してじわじわと浸透していきそうな気配を見せている。アメリカにも高校や大学年代に「エースで4番」として活躍したポテンシャルの高い選手が多くいるだけに、どんどんチャレンジしていく流れになれば、メジャーでも投打にわたって活躍する“怪物”が出てくるかもしれない。
「一家に一台」ではないが、数年後には“二刀流”選手が各球団に1〜2人いるのが当たり前という時代がくるかも……?大谷の活躍は、メジャーの歴史を変える可能性を秘めている。
文=八木遊(やぎ・ゆう)