全国に無数に存在する方言。同じ日本に関わらず、地域によってこんな言い方もあるのかと驚くものだ。

日本人ですらそう思うのだから、海外から訪れた人にとってはより一層驚きを感じ、時には恐怖すら覚えてしまうかもしれない。

そんな方言に関して、今ネット上では福岡県警の職務質問が外国人にとっては恐ろしいものに感じられてしまうという小噺が話題になっている。

「福岡県警が『なんばしょっと?(博多弁でなにしてるんですか?)』って職務質問するらしいんやけど、外国人にとってそれが『None but shot(発砲あるのみ)』に聞こえて外国人めっちゃビビるっていう小噺ほんと好き」

これは以前からあるネタの一つ。投稿にある通り、福岡の警官が職務質問をする際に、博多弁で「なんばしょっと?」(何をしているの?)と尋ねると、外国人には「None but shot(発砲あるのみ)」と聞こえるらしいというものだ。

はたして、これは本当なのだろうか。Jタウンネットではこの度、真偽のほどを検証してみることにした。

真偽のほどはいかに...

画像はイメージ(Eddy Van 3000さん撮影, flickrより)

Jタウンネット編集部は2018年12月14日、福岡市で英会話スクール兼バーとして営業している「Sam's Bar - TalkEigo 英会話」オーナーのサムさんに、詳しい事情は抜きにして、「なんばしょっと?」がどういう風に聞こえるのかストレートに聞いたところ、

「Number shot」

との回答。あえて直訳するなら「発砲数」だろうか――。おかしい。「None but shot」とは聞こえないのか。記者は博多弁ネイティブではないため、発音がおかしいのかもしれない。

念のため福岡県出身の同僚に「なんばしょっと?」の発音を教わると、もっと凄みを利かせたらいいのではないかとのこと。凄んだところで聞こえ方が変わるかは分からないが、参考にしてみる。

何度か発音を練習し、今度はiPhoneの言語設定を英語に変え、「Siri」に話かけてみた。



と、今度も「なんば」が「Number」となってしまい、ご丁寧にも近くにある「Soto」とつく場所を2カ所見つけだしてくれたSiriさん。またしても失敗だ。

記者は知人のつてを辿りながら、幼少時にイギリスで生活していたSから話を聞くことができた。するとSは、

「それは完全にデマだと思う」

と、ばっさり。そもそも「None but shot」で「発砲あるのみ」という意味合いにはならないと一蹴されてしまった。英語としておかしいようだ。

念のためSのアメリカ人の旦那さんにも事情を説明し、Sから「なんばしょっと?」がどう聞こえるのか検証してもらったが、意味不明だとの反応があったそうだ。彼いわく、

「そのジョークを考えた人は日本人だよ。日本人はshotを『しょっと』って発音するじゃん?僕たちは『しょっと』って聞いても、最後の『と』が強すぎるから、すぐにshotを連想しないと思う」

とのこと。

というわけで、今回の検証では「なんばしょっと?」はあくまでも「なんばしょっと?」であり、「None but shot」とはならないという結果になった。

今回の「なんばしょっと?」に限らず、多言語からしたら違う意味合いになってしまう疑惑の方言はまだまだありそうだ。引き続き検証していきたい。