ホテルの部屋に入ると非日常感を覚えてテンションが上がる人も少なくないはずですが、実際に眠ろうとしてみると「家のベッドのほうがよく眠れる」と感じることがあります。インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)は「ビジネス旅行客向けの快適な睡眠に特化したホテルの部屋」を新たに設計し、米国特許商標庁に特許を申請して承認されたと報じられています。

United States Patent: 10000940

This New Hotel Room Is So Groundbreaking That They Patented It

https://www.forbes.com/sites/christopherelliott/2018/08/26/this-new-hotel-room-is-so-groundbreaking-that-they-patented-it/#629fa6f56956

IHGはグループ傘下のブランドであるクラウンプラザホテルに対して2億ドル(約220億円)規模の資金を投下し、ホテルチェーンの大規模な見直しを行ったとのこと。クラウンプラザホテルの地域副社長であるメレディス・レイサム氏は、「クラウンプラザホテルでは『客室』の再定義を行います。宿泊客は自身の滞在を完全にコントロールできる、現代的ではっきりした意図を持つ客室を満喫できます」と語りました。

「ワークライフルーム」と名付けられた新しい部屋はビジネス目的の宿泊客に特化し、快適な仕事環境や上質な睡眠体験が得られるように多くの技術が詰め込まれました。そのため、通常では考えにくい「ホテルの部屋の特許」を申請することになったそうです。

ワークライフルームで重視されていることの一つに、「家具のデザインや配置する角度をアレンジし、ソファやベッドなど客室のどこからでもTVが見やすい状態にしてある」という点が挙げられます。ほかにも同僚とちょっとしたミーティングを行えるソファや仕事向けのデスク、モダンで明るい雰囲気に統一されたバスルームなど、客室での滞在を快適にするためのあらゆる配慮が行き渡っているとのこと。



特許によれば、ワークライフルームは部屋の壁に傾斜が付けられている箇所があり、ベッドのヘッドボードはその傾斜壁に沿うように配置されます。ソファとワークデスクもベッドとは違う壁に沿って配置されており、ベッドとソファ、ワークデスクが90度以上の角度がつかない三角形を形成しているとのこと。

そして、部屋の中に設置されたTVはベッドの足の方向にあり、ソファも少なくとも一部分はTVの方向を向いています。これによってソファとベッド、TVも鋭角の三角形を形成することになり、ソファからでもベッドからでも無理のない姿勢でTVが見られるようになっている模様。



また、ワークライフルームは客室内で仕事をする必要がある、ビジネス目的の利用者に対して非常に行き届いたサービスを提供しています。無線Wi-Fi環境が整備されている上に、客室内の至る所にコンセントが設置されていて、いくつものデバイスを充電しながらほかのデバイスを電源に接続して仕事を進めることが可能。

レイサム氏は「ワークライフルームは世界中で入念にテストされ、ビジネス目的の旅行者にとって最高のホテル客室となっています」と述べており、客室の満足度は通常の客室と比べて大幅に上昇しているそうです。クラウンプラザホテルではワークライフルームを提供することによって、ビジネスとレジャーの境界線を曖昧にしようとしています。



中でもワークライフルームが重視しているのは、「宿泊客が快適な睡眠を取ることができる」という点です。客室は出張先やレジャー先で宿泊客が眠る場所であり、「家のベッドルームではないけれど、良質な睡眠が得られる」ということは、宿泊客の満足度を大きく上げる要素となります。

「ベッドには素晴らしいマットレスを使用しており、宿泊客は自分に合った枕をやわらかいものと硬いものの2パターンから選ぶことが可能で、布団もちょうどいい重さに調節されています。ベッドの両端には寝転がったまま移動でき、適切な角度に配置されたベッドからはTVが非常に見やすくなっています」とレイサム氏は述べており、枕元には睡眠を快適にするアロマセットなども用意されているとのこと。

アメリカ国内のクラウンプラザホテルでは、すでに2018年8月時点でワークライフルームの利用を開始しているところがあります。今後もワークライフルームの提供室数を増やしていく見込みで、2019年の初めにはアメリカ各地のクラウンプラザホテルで、合計3000室を超えるワークライフルームを利用可能にするとしています。