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 3組に1組が離婚する時代だと言われていますから、それに伴って再婚者も増えています。婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆく連載。今回は、『子どもがいるお相手との再婚事情』です。

初婚男性か、子ありのバツイチ

 木戸政子さん(38歳、仮名)は、国際結婚をしていたのですが、3年前に離婚、5歳の健くん(仮名)を育てているシングルマザーです。

 再婚を決意したきっかけは、大きくなっていく健くんには父親が必要だと感じたのと、できることならもう一人産んで、新しい家族を作りたいと思ったからでした。

 3か月前からお見合いをスタートし、つい最近まで、鳥羽祐一さん(仮名、42歳)と太田智彦さん(仮名、45歳)の2人と、交際に入っていました。

 先日、政子さんから連絡がきました。

「私、羽鳥さんと真剣交際に入ろうと思います。なので、太田さんとは、交際終了にしてください」

 結婚相談所には、“交際”“真剣交際”の区分があります。“交際”は、お相手のお人柄を見ていく期間ですから、交際期間中に他のお見合いをしても良いし、何人と交際をしていてもかまいません。

 その期間を経て、“この方とは結婚に向かえる”と思ったら、“真剣交際”に入ります。その時にはおひとりに絞り、他にお付き合いしている方がいたら交際終了にします。

 実は、政子さんが先にお見合いをしたのは太田さんで、鳥羽さんはつい最近お見合いしたお相手でした。

「太田さんは、とても誠実はお人柄ですし、お付き合いを前向きに考えていこうと思っています」

 お見合いを終え、お付き合いに入った当初はそう言っていたのです。それが鳥羽さんとお見合いしたことで、気持ちが移ってしまいました。

 そこには、お付き合いを進めていく過程で、おふたりにはこんな違いがあったからでした。

生真面目な初婚男性ほど、元夫が気になる

 太田さんは、初婚の男性。鳥羽さんは離婚経験者で、元妻側に大学生の娘と高校生の息子がいました。

 初婚の太田さんは大手企業にお勤めで、これまで仕事一筋。女性とおつきあいした経験もあまりなかったようです。生真面目な性格ゆえ、政子さんの身辺を細かく知りたがりました。

 ことに、元夫との現在の関わりと今後の関係が、気になって仕方なかったようです。

 というのも健くんの親権は政子さんにあるものの、元夫には面会交流権があり、月に1度は今も健くんに会っているからでした。

「それは、再婚してからも続くんですか? 元夫さんは、政子さん親子が住んでいる場所を知っているのですか? 離婚の理由はなんだったのですか? 元夫さんは、ご自身の国には帰らないのでしょうか? 永住権を持っているのでしょうか?」

 次から次へと知りたいことを質問してきました。

 そんな時に、政子さんは鳥羽さんともお見合いをしたのです。交際に入り、最初のデートは二人だけでしたのですが、別れ際にこんな提案をされたそうです。

「こうやって僕らが会っている時に、息子さんは、誰かに預けているのですよね。それも大変でしょう? これからは3人で会いませんか?」

 鳥羽さんの提案によって、2度目のデートは3人で自然公園に行きました。

 公園の売店で虫かごと虫取り網を買った鳥羽さんは、息子さんと一緒になって、蝶を追いかけたり、バッタを捕まえたりしたそうです。

 その親子デートの後、政子さんは私にこんな報告をして来ました。

「鳥羽さんは、元夫のことは何も聞いて来ませんでしたが、ご自身の離婚理由は話してくださいました。

『同じ失敗はしたくない。これから健くんも含めていいお付き合いができればと思っています。今年の夏は、3人でたくさんの思い出を作りましょう』と、前向きな言葉や明るい未来を感じさせてくれることをたくさんおっしゃってくださいました」

 そして、3回目のデートを終えた時に、「真剣交際に入りませんか?」と鳥羽さんに言われ、その申し出を受け入れた政子さんは、太田さんに“交際終了”を入れたのです。

再婚子あり男性と初婚女性のケースは

 九州地方で活動している会員の話です。「再婚をしたい」と入会してきた秋元重次さん(45歳、仮名)には、元妻側に中3になる娘さんがいます。

 離婚後、秋元さんは家族で暮らしていた分譲マンンションに残り、母娘が出て行く形になったのですが、2人が新しい住処として選んだのは、マンションから駅を挟んで反対側の徒歩圏内にある場所でした。

 なぜそんなに近くに引っ越したのか。それは娘さんの中学校を考えてのことでした。公立中に通う娘さんには学区があり、さらに運動部で期待される選手だったので、娘さんを転校させたくなかったのです。

 さて、婚活をスタートさせた秋元さんですが、なかなかいいご縁に恵まれなかったものの、いくつかのお見合いを経て、1つ年下の有森理子さん(44歳、仮名)とお付き合いするようになり、真剣交際に入りました。

 ところが真剣交際に入って、結婚のことを2人で具体的に話していくうちに、有森さんには納得できないことが出てきたようです。有森さんの相談室の仲人さんから、こんな連絡が入りました。

「真剣交際に入ったので、秋元様は有森の家がある街に行って、『その街の様子を知りたい』とおっしゃっているようです。また、『家にも行ってみたい』と。

 ところが、ご自身が住まわれている街には、有森を寄せ付けないようにしている。それは、別れた奥様とお嬢様がお近くに住んでいらっしゃるからだそうで。そこが彼女はどうしても納得がいかないようです」

 これから結婚をする相手の街に、なぜ行けないのか。有森さんにしてみたら、別れた奥様やお嬢様を優先しているように感じてしまったのでしょう。

 相談室からの電話の内容を秋元さんに告げると、彼は私にこんなことを言いました。

「元妻とは話し合ってお互いが納得しての離婚だったので、私が再婚することになんら問題がありません。元妻との復縁も100パーセントない。

 ただ、時期が悪い。娘が受験なので、高校に受かるまでは、刺激したくないんですよ。今はいいおつきあいを続けていて、入籍は娘が高校に合格してからにしたい。春になったら、ウチに来てもらうのは全然かまわないのですが」

 しかし、これは有森さんには、納得できない理由なのでしょう。

お相手の過去も今もすべてを受け入れる

 これらのケースの中で、男性の太田さんと女性の有森さんは、お相手の元配偶者やお子さんのことが気になって仕方がなかった。ところが、男性の鳥羽さんだけが、過去の配偶者を気にかけなかった。

 これは鳥羽さんも離婚経験者で、別れた妻の方に、高校生と大学生になるお子さんがいたからでしょう。

 離婚を選択した夫婦の事情やその時の気持ち、また離婚後の子どもとの接し方などを、身をもって体験してきているので、お相手の離婚後の事情や元配偶者のことも認めることができたし、お子さんを思う親の気持ちも理解できた。

 子どもがいるお相手との再婚事情は、カップルによって様々ですが、お相手の過去も今置かれている環境も、すべて受け入れて認めてあげる。それが、幸せな結婚に結びつくのではないでしょうか。

鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『あいかつハウス』http://aikatsuhouse.grupo.jp/