専属キャディ・清水重憲がイ・ボミとの秘話を語る(撮影:村上航)

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今季の女子ツアーで1勝に終わったイ・ボミ(韓国)。2015、2016年に2年連続賞金女王を手にしたボミだが、今年は「ショットの感覚が戻らない」と口にすることが増え、本来の強さは鳴りを潜めていた。8月の「CAT Ladies」で優勝したあとに復調すると思われたが、そのまま良い成績を残せないままシーズンが終了した。
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こうしたボミの状況をもっとも近くで見てきたのが専属キャディの清水重憲氏だ。2013年から専属キャディとなり、5年間、ひたすら彼女のゴルフを間近で見てきた。だからこそ、今季のボミの状態を誰よりもよく知る。
「今季は開幕から多少は期待を持ってシーズンをスタートしましたが、思っている以上に2年間の疲れがたまっていたと感じました」
清水氏が言うボミの疲れとは、ツアーで連戦を続けることで蓄積される疲労ではない。
「賞金女王を手にした2年間で、ボミはLPGAを背負っていくような立場にもなりましたし、人気選手なので注目度の高さから、連日取材やサインなどもこなさないといけない。トッププロの宿命ではありますが、精神面でかなり疲れていたのだと思います」
その兆候が見えたのは、実は2016年の秋ごろだったという。というのも、ボミはこの年、日本女子オープンを棄権しており、「この時から体が思い通りに動いていなかったのかもしれない」と述懐する。
数々のプロゴルファーのバッグを担いできた清水氏には、選手の調子を知るうえで、とても大事な動きがあるという。
「それはパットです。体力が落ちれば落ちるほど、その影響が出やすい。ショットは体を動かすのでそこまで気にならいですが、パターは体を動かしてはいけない。疲れているときほど、動くなと言われるとしんどいですよね。それを今年のボミから見てもよくわかりました」
ボミの今年の平均パット数は1.8081の18位。日本ツアーに初参戦した2011年は規定ラウンド数を満たしていないので平均パット数のデータが存在しないが、2012年から2017年の同記録を比較すると、「1.8」台を記録したのは今季が初めてで、自身ワーストの数字だ。
調子の戻らないイ ボミを見ながら、プレー中にもアドバイスを送ることがあるが、これだけ長くタッグを組むと当然意見が食い違うこともあった。
清水氏は「夏と秋に衝突したこともありました。自分は思っていることを言えないのも嫌なので、ボミプロと腹を割って話し合い、どうにか困難を乗り越えてきました」と正直に吐露した。
食事した後にボミと清水氏は、互いに思いのたけをぶつけ合った。
「キャディは雇われている身だけれども、こっちも真剣にボミプロの調子を上げていきたい思いがあります。“イエスマン”になってはいけない部分もあるわけです」
プロキャディならではの矜持が清水氏にはある。
後ろ向きなことが多かった2017年だが、清水氏はオフのイベントでイ ボミと会い、来季に向けて様々な話をしたという。
そこで清水氏が確認できたのは「まだ勝ちたいという意欲があること」だ。
「とにかく来年からは賞金女王や平均ストローク69台のような大きな目標は立てずに、細かい目標を立てて進もうと話し合いました。そうなれば、まずは1勝しようとなりますし、そこからメジャーに勝とうとか、徐々に大きく目標を設定していこうと思います」
賞金女王のときのような強さとはいかなくとも、勝てる強さに戻るために必要なものは何なのだろうか。
清水氏には1つ、確信したことがある。
「これまで私もボミプロの内面を見てきましたが、彼女はストレスを発散して調子を上げるタイプではないということ。成績を上げたり、優勝したりして、ストレスを発散していくタイプなんです。それこそ元々、ゴルフが好きで楽しいからなんでしょう。スコアが悪いとゴルフを楽しめないこともよくわかりました」
そうなると、内容のあるゴルフに加えて、結果を残していくことが大事になってくる。つまり、波のあるゴルフよりも、安定した成績を維持していくことで、ボミは心のゆとりを持てるということだ。
そのためにも「今季のオフはまずはしっかりと休養して、すべてをリセットしてシーズンを迎える準備をしていく」と清水氏は言う。
「今年ダメだった分、来年は取り戻すという気持ちでいます。それでも周りの期待がボミプロに重荷にならないように、自然体でいきたい」
今年のオフは国内合宿がメインになる予定で、1月から本格的なトレーニングに突入する。清水氏の言う通り、すべてをリセットした新生・ボミが2018年には見られるだろうか――。
文/キム・ミョンウ

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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