2017年10月27日(金)の予約受け付け開始・11月3日の発売が刻々と迫るiPhone Xの生産が少しずつ軌道に乗り始めてきたことが報じられています。特に主要部品の供給問題から一時は「週あたり10万台」という低水準だった生産も徐々に改善されてきているようですが、まだまだ当初の予定には遠い状態が続いているようです。

Apple (AAPL) Now Cranking Out 400K iPhone X Units Per Week - Rosenblatt

https://www.streetinsider.com/Analyst+Comments/Apple+%28AAPL%29+Now+Cranking+Out+400K+iPhone+X+Units+Per+Week+-+Rosenblatt/13380149.html

iPhone X production increases from 100,000 to 400,000 units per week

http://www.idownloadblog.com/2017/10/12/iphone-x-production-400000-units-per-week/

iPhone Xをめぐっては、指紋認証システムのTouch IDに替わる顔認証システム「Face ID」ユニットの生産がボトルネックとなって、端末の組み立てが予定どおりに進んでいないという問題が存在しているといわれています。しかしここに来て徐々に状況は好転を始めている模様で、リサーチ会社「Rosenblatt Securities」のアナリスト・Jun Zhang氏によると、iPhone Xの生産は10月頭の時点で「週あたり40万台」という水準に上昇しているとのこと。当初は「週あたり10万台」という規模でしか生産が進められていなかったことを考えると、相当な改善だといえます。

しかしそれでも、Appleが予定している当初の計画には達していない状況が続いているとのこと。Jun氏は2017年12月から2018年3月におけるiPhone Xの出荷台数を、2000万台から5000万台と予測。しかしこれは事態改善前から据え置きの数値となっています。この期間には中国の旧正月が含まれるために単純計算は難しいのですが、この予測を基に週あたりの生産台数を平均すると、週あたり100万台から250万台となっています。

また、Nikkei Asian ReviewはiPhone Xに搭載されるTrueDepthセンサーが最大のボトルネックになっていると報じています。無数の赤外線のドットを照射してユーザーの顔を立体的に認識するこのセンサーはiPhone Xを大きく特徴付けるものですが、そのユニットが生産の足を大きく引っ張っているというのは実に皮肉な状況といえそう。



TrueDepthセンサーに含まれる赤外線ドット照射デバイスは、Lumentum社が唯一のサプライヤーとしてAppleとの契約を結んでおり、台湾のWin Semiconductorsが製造を請け負っています。実際にどの段階で問題が生じているのかは明らかにされていませんが、台湾の部品サプライヤー・Himaxが赤外線を照射する「ウェハー・レベル・オプティクス」(WLO)と呼ばれる部品の出荷を開始したという状況も報じられています。

当初から報じられていたiPhone Xの生産問題は、徐々に改善されてきているようですが、Appleが当初目指していた規模に達するには2018年第二四半期を待たなければならなさそうな状況とのこと。そのため、2017年11月3日の発売以降もしばらくは品薄状態が続くものとみられています。しかし、トータルで見ればAppleの業績は好調とも。Apple Watchが好調に推移していることや、古いiPhoneからの買替え需要を基に、モルガン・スタンレーは2018年にAppleは「スーパーサイクル」と呼ばれる状態に入るとも予測されています。

Apple iPhone Enters Supercycle, Watch Demand Second to None

http://www.barrons.com/articles/apple-iphone-enters-supercycle-watch-demand-second-to-none-1507737844