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映画『トゥームレイダー』の新作(編註:日本では『トゥームレイダー ファースト・ミッション』として2018年3月公開予定)の予告編が公開された。もし主人公ララ・クロフトとあなたの関係が1990年代限りのものだったとしたら、記憶にあるヒロインとはずいぶん様子が違うかもしれない。

かつてアンジェリーナ・ジョリーが演じた、インディ・ジョーンズの女性版はもういない。明らかに男性によって描かれた、この世のものとは思えない巨乳をもつ二次元の世界のキャラクターでもない。そこにいるのは、以前よりもずっと控えめで、現実的なヒロインの姿なのである。

なぜならこの映画のリブートが、もうひとつのリブートに基づいているからである。2013年に始まり、ララをまったく新しい時代へと案内したゲームシリーズのことだ。

より「人間的」に生まれ変わったララ・クロフト

その新しいゲームも、紛らわしいことに「トゥームレイダー」と名付けられた。そして今回の新作映画に、とてもよく似ている。共通するのは、ララ・クロフトが考古学者の父の後を追って、危険で不思議な島への旅に出ること。そして彼女のボートはクラッシュし、ララは悪人に捕らわれ、そこからすべてが展開していく、という設定だ。

リアンナ・プラチェット(ファンタジー作家である故テリー・プラチェットの娘で、ゲームやコミックスの作家として知られる)によって描かれた新しいララ・クロフトは、90年代版のキャラクターを完全否定するようなつくりである。

この新しいララは、より複雑で人間的であり、まだ遺跡探索の「初歩」を習っているところだ。13年版のゲームの世界観は、ララの苦しみに満ちたサヴァイバルだった。いつも思いがけないような状況に陥り、その出口を自力で切り開くことを学ぶ女性の物語だったのである。

もし、新作映画がどのような世界へと連れていってくれるのかを知りたかったら(あなた自身がいくつかの遺跡を探索したいと思った場合は)、このゲームをチェックする価値はあるだろう。映画は新作ゲームをかなり意識しているようで、ララの服装といい、船と島の見た目と雰囲気、そして若い考古学者の初期装備として登山ピックをもっていることも、すべてゲームから引用されている。

この新しいララ(オスカー受賞者である女優のアリシア・ヴィキャンデル[日本語版記事])は、17年のいまにとてもふさわしいヒロインだ。ワンダーウーマンが完全に受け入れられ、ハリウッドではいま、観客は複雑で尊敬すべき女性が活躍する素晴らしい物語を求めているという意識が高まっている。まさに時代に適した映画なのだ。

ゲームにおいて、ララは自らの手で成長をつかみとる人物で、一緒に旅する価値のある英雄である。うまくいけばヴィキャンデルのララもそうなるだろう。

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