918スパイダー後継車に必要な3条件 ポルシェ最新情報(3)
もくじ
ーどうなる? 918スパイダー後継
ー速くても、寿命が短くては…
ー険しきニュルブルクリンクの道
ー’04年カレラGT、’13年918スパイダー、その次は?
どうなる? 918スパイダー後継
最高時速338km/hで走るポルシェ918スパイダー。
それを凌ぐ速さを実現しない限り、後継モデルを名乗ることは許されない。このためにポルシェは、技術的なブレイクスルーがやって来るのを待っている。
918スパイダーの後継モデルに求められるのは、間違いなくエレクトリック・パワートレインだ。しかし、内部関係者は警鐘を鳴らす。課題はやはり、現代のバッテリーが重いことだ。
「未来のスーパースポーツというのは、テクノロジーに左右されるのです。もしも今ローンチするならば、ハイブリッドを選ばなければなりません。しかしそれは、918スパイダーで済ませたことです」 こう語るのはR&D部門を率いるミハエル・スタイナーだ。
速くても、寿命が短くては…
たしかにEVの加速力は、ポルシェの哲学と一致している。しかし問題は、次期スーパースポーツを名乗る以上、918スパイダーのノルドシュライフェのタイムを破らなければならないことだ。
実のところ、EVならそれも可能だ。しかしスタイナーは、バッテリーからパワーを引き出す割合が多きすぎるために、結果的にセルにダメージを与えることになると、忠告する。つまりバッテリーの寿命を縮めてしまうのだ。
「現時点では、バッテリーが消耗品だと考えるカスタマーは、それほどいないと考えています」
険しきニュルブルクリンクの道
さらにバッテリーを搭載することによって生じる重量増は、
・タイヤ
・ブレーキ
・ステアリング
に過剰な負担を掛ける。しかもニュルブルクリンクでは、コーナリングや減速操作を休む暇もなく続けなければならない。
スタイナーはこう続ける。
「ポルシェは、スーパースポーツにモデルサイクルを設けておりません。次のモデルが誕生するには、ずっと長い期間が必要でしょう」
’04年カレラGT、’13年918スパイダー、その次は?
彼の言うことを理解するために、近年のポルシェのスーパースポーツ・モデルをおさらいしよう。
・カレラGT(2004):カーボンファイバータブを採用
・918スパイダー(2013):ハイブリッドテクノロジーを採用
カレラGTから918スパイダーまで9年掛かっている。つまり、スタイナーは新型スーパースポーツは、少なくとも2021年までは登場しないと言っているのだ。
WEC(世界耐久選手権)から撤退し、ポルシェはフォーミュラEに挑戦する。その成果が、918スパイダー後継モデルの行方を決めるはずだ。
スタイナーもこう考えている。「ポルシェの新型スーパースポーツに望まれるのは、新味のあるモデルであることです」