女性が悩む「3つのキャリアの壁」解決法
▼まずは診断!「私らしく働けている? チェックリスト」
※A、Bの数をチェックしてください
【毎日の仕事】
・仕事をしているとあっという間に時間が過ぎている日が多い(B)
・やったことがない仕事に出合うとわくわくする(B)
・仕事は楽しいばかりでなく辛いこともあると感じている(B)
・職場の人、皆からの自分に対する評価を気にしている(A)
【仕事内容】
・もっと自分に合う仕事があると感じている(A)
・自分の強みを仕事に生かせていると思う(B)
・いまの仕事も大事だが、将来のキャリアのほうが気になる(A)
・自分の仕事は何かの役に立つこと、意味のあることだと感じる(B)
【やりがい】
・仕事をしても報われないと感じることが多い(A)
・人からほめられることが仕事の一番のモチベーションになる(A)
・成功したことは人の力、失敗したことは自分のせいだと感じる(A)
・仕事での失敗や成功を引きずらない(B)
▼結果診断!「私らしく」働けている?
【Aが多かった人】
目の前にある仕事よりも将来設計やこれからのキャリアのこと、人間関係や周りからどう見られているかに対する意識が強い人は、「私らしく働けていない」状態。自分が何に対して納得がいっていないのかを、いま一度見つめ直してみることが大切です。
【Bが多かった人】
仕事の面白さを知りながらも、「仕事は辛いこともあって当然」と割り切れている人は、「私らしく働けている」可能性あり。ただし、何事にも柔軟に対応できる姿勢は大事にしつつも、ある程度の希望や人生展望は持っておいたほうがいいかもしれません。
【AとBが同数だった人】
それなりにいまの仕事内容には満足しているけれど、将来に対する漠然とした不安を抱えていたり、報われないと感じていたりする人は、「どちらでもない」タイプ。仕事に対する考え方や働くということについて多角的な視点を持って捉えてみましょう。
■キャリアの壁1:やりがいが見つからないときは、どうしたらいい?
仕事にやりがいを見いだせないって、本当に辛いですよね。仕事は仕事と割り切れればいいけれど、それができる女性は少ないような気がします。どちらかといえば男性のほうが、仕事と個人的な感情を切り離すのが上手かもしれません。
女の人はそのまじめさゆえに、自分と仕事の距離が近くなりすぎる傾向があります。それがマイナスに作用すると、「がんばっているのに、誰もわかってくれない」とか、「結果を出したのに認めてもらえない」となって、気持ちが折れてしまう。
でも仕事というのは、がんばれば報われるとは限らない。私にも、やる気満々だったプロジェクトが本社の都合で中止になることがよくありました。昔はそのたびに悩んだり怒ったりしていたけれど、「こんなことで一喜一憂するのはエネルギーの浪費だな」と思うようになったのです。もちろん仕事はちゃんと結果を出すけれど、怒っても仕方のないことはさっさと割り切って次へ進む。それがプロだと思います。
▼モチベーションアップは自分の考え方次第
仕事をしているときに味わえる、いい感情はおよそ3つあります。納得できていること。集中できていること。そして達成感というか、「終わった〜!」という完了感。この3つの感情を仕事中に味わえているなら、比較的いい状態で仕事ができていると言っていい。そしてこの感情は、自分が心を整えることで、いくらでもつくり出せると思うのです。
会社や上司から与えられた仕事にやる気を見いだせないなら、自分なりのやる気が出る動機を探せばいいんです。たとえば単純作業を命じられたら、「これは時間内にどれだけできるかのゲームだ」と思う。売れそうにない商品を売れと言われたら、「売れないという事実をデータで証明するために、まずは売ってみよう」というように、自分が納得できる理由を考える。この習慣が身につけば、どんな状況でもモチベーションを失わず働けると思います。
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やりがいは与えられるものではなく、つくるもの!
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■キャリアの壁2:中長期でキャリアのことをどう考えればいいの?
10年後、20年後のキャリアについて考えると不安なことだらけですよね。10年後もいまの会社があるとは限らないし、人工知能が発達したら自分のスキルは無用になるかもしれない。でも具体的に何をすればいいかとなると、よくわからない。そういう人は少なくないと思います。
私は自分が20〜30代だったころ、60歳、70歳になったときのことを考えたことは一度もありませんでした。でも当時何も考えなかったせいで、何か問題が起きたかというと、いまのところ何もありません。やっぱり人生って、そのときになってみないとわからないんですよ。
もちろん、長期的な人生設計を考えることはマイナスではないけれど、気をつけてほしいのは、それにとらわれること。人生はいろいろあるから、変更がある前提で立てたほうがいい。そうでないと計画変更をストレスとして感じてしまいます。
ただし、「自分は子育て中でもなんらかの仕事はしていたい」とか、「子どもができたらいったんキャリアはストップするけれど、いずれまた働きたい」というざっくりした展望は持っておくこと、それを会社に伝えておくことは大事です。そうすれば会社も支援しやすくなる。それは決して会社に甘えるという意味ではなく、自分が仕事でがんばっていくために、会社といい関係をつくっていくということ。そうすれば上司も、手の差し伸べ方を考えられる。その程度の将来展望は持っておくべきだと思います。
▼先のことはざっくり決める考えすぎても仕方ない
私も50歳近くなりましたが、いまだにいろいろな不安を抱えています。一見盤石なキャリアを持つ同年齢の女友達を見回しても、この先の明確な道筋をつけられている人は一人もいない。「四十にして惑わず」というけれど、それは平均寿命が短かったときの話。不安がゼロになることは、多分一生ないのでしょう。
じゃあどうするかというと、「今日という日を大切にするしかない」というのが今のところの私の解。もちろん理想通りにはいかないだろうけれど、今日で人生が終わるというその瞬間、「ああ、終わるのか。でも悔いはなかったな」というふうに締めくくれたら、それでいい。悔いを残さないためには、一日一日をていねいに生きていくしかありません。今日自分がやるべきTo Doをやり切るというような、小さいことを積み重ねていく。そうすることで、自分でも想定していなかった出会いやチャンスにつながっていくことは絶対にあると思います。
だから、将来について不安になりすぎなくてもいいんじゃないかしら。むしろそれにとらわれて、今日の仕事が手抜きになってしまうほうがまずい。会社の視点からすると、結果が出ていなければ、悩んでいるのもサボっているのも一緒。そこは切り分けるようにしてくださいね。
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将来にとらわれすぎて今日の仕事がおろそかになることのほうがまずい!
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■キャリアの壁3:もう辞めたい! そう思ったら、どうしたらいい?
仕事を辞めたくなったら、ためしに辞めたあとのことを徹底的にシミュレーションしてみてください。
私は会社員時代、仕事でフリーランスの同時通訳の方にお会いする機会が多かったので、通訳の仕事に無性にあこがれたことがあります。そこでいろいろと調べてみたら、私がお会いした人たちは同時通訳の世界でも頂点にいる人たちで、そこまで行けるのはほんの一握りだとわかったのです。そうこうするうち、私を悩ませていた仕事が一段落。そうしたらなんだか気が済んでしまって、「なんだ、私疲れていただけだ」と気がついた。結局、通訳は目指しませんでしたが、自分の気持ちを確認できたので、調べてみてよかった。もし何もせず諦めていたら、悔いが残っていたことでしょう。
▼自分にとっていまの会社はどんな存在か分析してみて
やりたいことがあっても、あこがれだけで飛び込むのは危険。ましてやよく調べずに会社を辞めてしまうなんてことはダメ。いまはいくらでも情報をとれる時代ですし、副業を許可する会社も増えています。会社員をしながら少しだけ試験的に始めてみてもいい。その結果、「絶対にやりたい」と思うなら、たとえ失敗しても悔いはないでしょう。
転職するか、それともいまの会社にとどまるか悩んでいるような場合は、図のように、自分にとっての会社の強みと弱みをSWOT分析してみてもいいかもしれません。
気をつけてほしいのは、「イヤ」が理由で辞める場合。ブラック企業の場合は別ですが、「イヤだから」という理由で辞めても、その「イヤ」はどこに移ってもなくならない。それに面接する人も「この人はイヤなことがあったらすぐ辞めるんだろうな」と思うから、なかなか採用されません。「いまの仕事はもうやりきった!」という満足感とともに、「もっと違うことに挑戦したい」という前向きな理由が生まれたときが、次のステップを踏み出すときでしょうね。
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辞めたあとのことを、徹底的にシミュレーションしてみましょう!
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キャリアカウンセラー。成蹊大学文学部卒業後、IT業界専門の展示会主催会社などを経てマイクロソフト日本法人に転職。営業・マーケティング部門で数少ない女性の営業部長を務める。2007年、キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。『プレイングマネジャーの教科書』など著書多数。
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(キャリアカウンセラー 田島 弓子 構成=長山清子 撮影=市来朋久)