12日、群馬県上野村、日航機墜落現場付近の尾根。(撮影:常井健一)

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日航ジャンボ機墜落事故から20年を迎えた12日、日本航空の新町敏行社長は、墜落現場の群馬県御巣鷹(おすたか)の尾根に慰霊登山した。新町社長が御巣鷹に登るのは就任後3度目で、事故当日にあたる12日に日航社長が慰霊登山するのは、13回忌の97年に近藤晃社長(当時)が行って以来8年ぶりとなる。御巣鷹の尾根には午前11時までに、64家族255人(昨年は最終で274人)の遺族が訪れ、犠牲者の冥福を祈った。

 約2時間で登山を終えた新町社長は、したたる汗をぬぐいながら記者団に対し「高齢のご遺族もつえをついて一生懸命に登っておられて、涙が出るような思いをした。私自身も汗の一滴一滴に安全運航を誓いながら登った」と述べた。

 昨夜から続く雨が降る中、新町社長は社員2人と午前7時15分に登りはじめ、1時間後に山頂に到着し、事故の犠牲者を慰める「昇魂之碑」に花をささげ、犠牲となった520柱の御霊(みたま)に手を合わせた。新町社長は、雨でぬかるんだ幅1メートルほどの険しい山道を黙々と歩き、途中すれ違う遺族らに言葉をかけ、道を譲り合った。

 遺族が求めている事故機JAL123便の残存部位の保存・公開について、新町社長は「(事故要因とされる一部を除き、将来的に破棄するという)同社としての方針に変化はないが、いろんな遺族の思いがある。私なりに考えてみたい」との考えを示した。

 13回忌を迎えた97年以後の兼子勲前社長時代は、混乱を避けるためという遺族への配慮から、各自の判断で日程をずらして慰霊登山を行い、新町社長も今年4月と6月に済ませていた。その後も度重なるトラブルや大荒れとなった株主総会後の登山への心境を問うたライブドア・ニュースの質問に、新町社長は「安全上のトラブルがここまで発生して、今まさに全社を挙げて安全の再構築、安全運航の堅持への誓いを新たにしている段階。少なくともグループの代表、自分自身としても20年目の今年はこの日に登りたかった」と答えた。【了】

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