中国では近年、ネット通販の台頭に伴い、リアル店舗の衰退が指摘されるようになっており、中国各地でデパートやショッピングセンター、大型スーパーマーケットが閉店に追い込まれているという。中国はデパートやショッピングセンターが非常に多く、どこも似たり寄ったりの品揃えだという要素もあるが、リアル店舗がネット通販に駆逐されるという構図は米国においても見られることであり、中国でネット通販市場が勢い良く伸びていることは事実だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国では近年、ネット通販の台頭に伴い、リアル店舗の衰退が指摘されるようになっており、中国各地でデパートやショッピングセンター、大型スーパーマーケットが閉店に追い込まれているという。中国はデパートやショッピングセンターが非常に多く、どこも似たり寄ったりの品揃えだという要素もあるが、リアル店舗がネット通販に駆逐されるという構図は米国においても見られることであり、中国でネット通販市場が勢い良く伸びていることは事実だ。

 中国でリアル店舗を持ち、小売業を営んでいる人にとっては、ネット通販は脅威に映っているようだ。日本ではリアルならではの魅力を打ち出すことで、ネット通販と棲み分けができている店もある。中国メディアの伝送門はこのほど、「日本のリアル店舗のサービスはすごすぎる」と伝えつつ、日本の成功事例を分析し、それに見倣うように勧めている。

 記事は、日本のリアル店舗がネット通販に駆逐されずに生き残ることができているのは、消費者にネット通販ではできない「体験」を提供しており、礼儀正しく配慮の行き届いたサービスを提供しているためだと指摘。顧客体験を重視し、サービスを強化することでネット通販にはない買い物の楽しさを提供していると論じた。

 一方で、日本でリアル店舗が駆逐されない要因としては、日本には「リアル店舗で買い物をする」文化と習慣が根付いていることも大きな要因であると指摘。日本は先進国であり、余暇の時間を多く持つことができるため、デパートなどに実際に出かけて買い物を楽しむ文化が発達しているとする一方、中国は依然として発展途上にあり、多くの消費者は働くことに忙しいためネットショップで買い物をせざるを得ない状態だと説明した。

 結論として、中国のリアル店舗が日本で見られるようなサービスや体験を提供しても、ネット通販で買い物をする文化と習慣が根付きつつある中国において、果たして客足を取り戻せるかは分からないと論じた。

 記事が指摘しているとおり、中国では週に2日の休みがない人は非常に多く存在する。休みが1日もないという中国人も決して少数派ではない。しかし、忙しい生活のなかでも、デパートに足を運び、買い物を楽しむのが好きな中国人がいるのも事実であり、従って消費者が魅力を感じる商品を徹底的に分析して仕入れ、他の店舗との差別化を図りつつ、ネット通販では提供できない体験を追求するといった工夫は、中国のリアル店舗にとって努力するだけの価値はあると思われる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)