藤本那菜(写真:Getty Images)
24日、テレビ朝日「報道ステーション」では、女子アイスホッケー選手でスマイルジャパンの守護神・藤本那菜(28)を特集。スポーツキャスター・松岡修造氏が行ったインタビューの模様を伝えた。

藤本は、約20キロの防具を着用してゴールを守るゴーリー(ゴールキーパー)として活躍。今年2月の平昌五輪最終予選でも、敗戦が許されないドイツ戦で、その猛攻を1点に抑え、五輪出場の立役者となった。

そのかわいらしいルックスから、「普段歩いていると、あんまりアイスホッケーやってるようには見られない」という藤本だが、2015年の世界選手権では、日本人選手として初となるベストGKに選ばれるなど、今や「世界一の選手」といっても過言ではない。

その強みは、「パックに対して、しっかり正面に入る」動きにあるという。ゴールを背に、パックの正面に位置取りができれば、当然ゴールに入るスペースは少なくなる。春名真仁コーチも、そのポジショニングのスピードについて「速く走れるというよりは、細かく小さなスケートのスキルが非常にうまい」と絶賛した。

だが、これまでの競技生活について、藤本は「小学校1年生から4年生くらいまで全部のポジションをやったんですけど、あんまり上達が見込めなくて。チームにキーパーがたまたまいなくなったときに最終的に回ってきたポジションでした」と苦笑い。

また、小学5年生でゴーリーになった後も、当時のコーチである父・絢士さんから「スティックでヘルメットを殴られない練習はないくらい怒られてました。本当に向いてないというか、辛いので辞めたいと思ってた」と明かす。それでも、「負けず嫌いな面もあった」という彼女は、地道な努力を続けたことで次第に頭角を現した。

すると、藤本は高校2年生で初めて日本代表に選出。2014年に出場したソチ五輪では、5戦全敗という結果に終わり、「正面に入るスピードが遅いとか。私の今のプレーでは世界に追いつけない」と挫折も味わったが、「世界を見れたことで、逆に自分がそこに到達するまでにどれだけやらなきゃいけないというのが見えた。あとはそれをやればいい」と手応えも掴んでいたという。

インタビューの最後に、松岡氏から「向いてない人が世界のトップになるストーリーはなかなかない」と驚かれた藤本だが、世界トップの選手に肩を並べた今、「運動神経とか、スポーツの才能がなかったとしても、そういう地道なトレーニングの積み重ねとか、諦めないで努力できる力が他の人よりもちょっとあった」と振り返った。