昨年1月(取材は2015年12月)にフットボール界のレジェンド、サッカー元日本代表・小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)選手とフットサル元日本代表・小野大輔(バルドラール浦安)選手の“W小野対談”をお送りしたが、そんなお二人が2016年末に再び、AZrenaの対談取材に応じてくれた。

J1昇格を決めた札幌所属の伸二選手と、今季から新天地・浦安でプレーする大輔選手。1年の振り返りとして何を語り、今後何を目指すのか。

 

大輔:まずは今年の振り返りからいこう。

伸二:今年はチームがJ1昇格を決めてくれたのでよかったけど、個人としては怪我であったり、痛みを抱えながら1年やってきたのであまり充実はしてなかったね。

大輔:違うチームに来て1年目で選手も全員変わった中ではうまくやれた方かな、と思うけど、チームの勝ちがあまり伸びていないので、これからまた頑張ってプレーオフには行きたい。浦安のみんなはうまい。前のチームが下手とかではないけど、今までとは違うスペインのフットサルをやろうとしているからね。

 

大輔:今年は俺が伸二の試合を1回観に行って、(伸二は)途中から出てきた。お世辞とかではなくて、伸二が出てくると本当に空気が変わる。観ている人の期待も大きくて、熱が上がってくるからだろうね。

伸二:38度5分くらいまでね。

大輔:そうそう。38度5分までね。

伸二:そういう熱ちゃうやろ(笑)

 

 

大輔:(笑)俺はサッカー詳しく分かるわけじゃないけど、でも他の選手と比べるとやっぱり伸二はパスの質やタイミング、狙っているところが違っていて、「そこか!」「そっち行く?」と思わせるプレーをするので、観ている人はワクワクするんだろうな、とは思った。

伸二:90分という時間の中でもちろんスタメンで出る選手も大事だけど、途中から出る選手も重要で、勝敗を左右する部分ではあるから。スタメンで出られた方がいいけど、自分の体の状態としてそれが可能ではなかったので、とにかく途中で出て、勝つための準備をしていきたい、しないといけないとは考えていたね。体だけではなく、心の部分や試合の流れを読み、状況を把握することに常に頭を働かせてきた。

 

 

 

大輔:俺の場合、前のチームは自分の調子が悪いとそれが結果に出ちゃっていたけど、今は周りもやり慣れているから、ある程度自分のやることに集中できるようになったね。でも練習が朝から夜になったのはかなりきつい。

伸二: OFFで東京に帰って来た時にご飯に誘っても来れない時もあったよね。

大輔:珍しく行けないこともあったよね。誘われたら基本断らないんだけど。ちょうど200試合出た時だったかな。

伸二:たしかそう。だからなんか調子悪いのかな?と思ったよ。今日はやっぱりやめておくと連絡があって。人は変わるものだな、と(笑)

 

大輔:話を戻して、今年インパクトのあった自分の試合でいくと、元いた湘南に1-8で負けるということがあって。この試合まで連勝していたりして、結構大事な一戦だったんだよね。正直湘南相手に流れに飲まれると思っていなかったけど、あの日は飲まれまくっていたから。相手チームにシュートを打たれれば入ってしまうという状況で、逆にこっちの決定機は全然入らない。こんなことあるんだ、と今までやってきて初めての経験で。さっき伸二も言ってたけど、流れを読むことは大切だと実感した試合だったね。

 

 

伸二:Fでやりにくいチームとかあるの?

大輔:自分が元いたチームと外人がいるところはやりにくい。大阪に勝てていないのは別に(※)木暮が監督をやっているからじゃなくて、外国人がいいブラジル人が3人いるからだよ!

あとはやっぱり関西弁が苦手だからかな。関西のチームに勝ってないイメージ。コテコテのボケとかツッコミとか、俺苦手なのよね。

※木暮賢一郎:元フットサル選手。Fリーグ・シュライカー大阪監督。小野伸二・大輔両選手と同学年。伸二選手とは小学生時代に全日本少年フットサル大会(バーモントカップ)決勝で対戦している。大輔選手とは日本代表でチームメイト。

伸二:そういうことできないもんね(笑)フットサルって結構試合開始時間バラバラじゃない?俺らも一緒ではないけど、だいたいは決まってるから。

大輔:14時スタートが多いかな。でもセントラルだと時間が遅くなったりする。

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伸二:俺の方は今年に関して言うと、みんなが頑張ってくれて、1点差で勝つ試合が多かった。守備ももちろんだし、キーパーがどれだけセーブしてくれたか分からない。運もあるね。昨年だったら入っていたものが、ポストやバーに当たったり、相手がミスしてくれたり。別に軽く考えて運と言っているのではなくて、みんなの気持ちが入っていたからそういう形になったと思う。

 

大輔:よく考えたら伸二は日本だけでも240試合も出てることになるわけ?

伸二:うん。オランダも4年半いて、100(試合)は超えてる。

大輔:海外と日本でやっぱり違うもの?

伸二:それはどこだってチームのカラーがあるから絶対全て違う。でも自分がやることは変わらないよ。

大輔:でも国によってサッカーは違うわけじゃん?オーストラリアとか代表は何となく分かるけど、クラブのサッカーってよく分からないし、オランダだってサッカー先進国のイメージがあるくらい。

伸二:オランダだけでなく、オーストラリアもレベルは高いし、いい選手はいっぱいいた。オーストラリアだったら簡単に行ける、みたいな感じで行くと絶対できない。

オーストラリアではできて1年目のチーム(ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ)だったので、サポーターには特に愛された部分はあったと思う。反面、実はサッカー熱に関して言うと、初めはほとんどなかっただろうね。オーストラリアには他にもラグビーやクリケットなどの人気スポーツがあって、サッカーはおそらく国民の中でも4番目くらいの競技だから。試合会場にもサッカーを観に来ていなくて、お酒を飲みに来ているというのは感じた。

でもそうじゃなくてサッカーも楽しいよ!ということを伝えようとしていったら、だんだんサッカーにも感動があると分かってもらえるようになったわけ。シーズン始まった頃は8,000人くらいしか入っていなかったスタジアムも終盤には1万3,000〜4,000人は当たり前になっていたからね。

熱狂的なサポーターも付いたし、参入して初年度でリーグ優勝して、オーストラリアで1番と言われるくらいのチームになっていった。

チームを変えれば環境も変化するわけだけど、大輔はどんな感じで今のチームに入っていたの?

 

 

大輔:実は最初、チーム内ですごい競争が生まれると思っていたんだけど、入ってすぐに3〜4人一気に怪我して、あれ?って感じではあったんだよね。

伸二:自分で削りにいったんでしょ?(笑)

大輔:いやいや…それで試合のスタートから出ることが多くて、初めの方は点も結構取れてたんだけど、だんだん入らなくなってきて。久々に決めたと思ったら今度は俺が怪我しちゃった感じ。今は離脱していた選手も戻ってきて、楽しみも不安もあるけど、悩んだら伸ちゃんに飲みに連れていってもらうから大丈夫。
そっちは今季からまたJ1でプレーするわけだけど、どんなことを今思い描いているの?

伸二:別にJ1、J2だからどうこうという考えは特にないし、できればまた海外に行きたい気持ちもある。ただ、よく考えたら久々のJ1で自分達の同級生もまだ頑張っていて、また彼らとやれるのは楽しみだね。あとは痛みとうまく付き合っていって、よくしていかないと。観ている人は期待してくれているから、それに応えられるように準備していきたいね。

大輔:俺も怪我はずっと持っているから、それと付き合いながら、少しの時間でも最高のパフォーマンスを出して、チームに貢献していきたい。

伸二:コンサドーレはJ1に上がって、1年でJ2に落ちるというのが定番になってしまっているので、そうならないように全力でやっていきます。

 

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