耐火材製造のニチアス< 5393 >は5日、同社のアスベスト(石綿)の製造・管理状況について情報を開示した。同社広報部によると、先月29日にクボタ<6326>がアスベスト関連について、近隣住民で中皮腫を発症した一般住民3人に対して見舞金を支払うことを公表したことを受けて、同社でも工場の近隣住民への不安を和らげるため今回、これまでの事実を整理発表した。

  それによると、同社5工場での従業員・退職者を含むアスベスト疾患死亡者数は、昭和51年から平成16年までの29年間に、61人に上り、療養者は5人だった一方、工事関係者では死者が25人、療養者が1人だった。いずれもがんの一種である中皮腫や、肺がん・合併症で亡くなった。また、じん肺での従業員の死亡者数は39人、療養者は14人。工事関係者などでのじん肺死亡者数は16人、療養者は4人だった。

  同社の5工場の所在地は、神奈川県横浜市(鶴見工場)、奈良県王寺町(王寺工場)、岐阜県羽島市(羽島工場)、静岡県袋井市(袋井工場)、茨城県千代川村(結城工場)。工場周辺でのアスベストに関する問題は、現時点まで起きていないとしている。

  同社では死亡者と療養者に社内規定に基づき補償を実施しており、アスベストによる因果関係が認定された被害者が対象となっている。一方、昭和47年以降に入社した従業員のアスベストによる死亡、または療養は起こっていないとしている。【了】