「べっぴんさん」51話「男会結成ですな」

写真拡大

連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第9週「チャンス到来!」第51回 11月30日(火)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:中野亮平


51話はこんな話


商売に対して欲のないすみれ(芳根京子)だったが、明美(谷村美月)も入れて4人でキアリスをやっていることを知ってもらうため、大急百貨店に出店することを決意する。

すみれ、決意する


すげえ、キアリスのタグが手縫いだ・・・!

「知らぬ間に誰かを傷つけてしまうことがあります。でも、そのことに気がつくことができれば、ひとは優しくなれるのです」(語り/菅野美穂)

新聞記者は知らぬ間に傷つけたわけでなく明らかに意識的だろうに・・・。傷つけたわけじゃないすみれが明美のことを気にして、「私は悔しかった。4人のお店を知ってもらいたいってそう思ったの」と大手デパート大急に出店を決意する。
紀夫君(永山絢斗)から「可能性」について説かれたすみれは、出店することで明美のリベンジの「可能性」を見い出したのだ。すばらしい。

紀夫君も、社内でこっそり「女房も説得できいなんて」でも「ゆくゆくは社長やから支えていかな」などと言われているのを聞いてしまったため、必死だ。
すみれが立派なのは、この決意を伝えるために、わざわざ坂東営業所へ出向き、潔(高良健吾)やゆり(蓮佛美沙子)のいる前で、話を受けると伝える。これで紀夫君も鼻が高い。夫を立てる妻、すばらしい。

夫婦の形として素敵だったのが、蓮佛美沙子と高良健吾の「そう?」「そう」の語尾の伸ばし方。息が合っていた。

男3人集まれば


昭一(平岡祐太)「わしらが手綱を引かな、あぶなかしくて見てられません」
勝二(田中要次)「男会結成ですな」
女3人集まればかしましい。男3人集まれば・・・YMO、アルフィー、サンボマスター、少年隊、シブがき隊、
ネプチューン、羞恥心、ダチョウ倶楽部、レツツゴー三匹、サンバルカンなどなどいろいろ。
夫3人組はなぜか、大急出店に意欲を見せる。経理をちゃんとして、生産ラインを立てて、縫い子を増やして・・・と話をどんどん進めていく。
基本、利益拡大を目的に仕事している男たちは、敗戦以後、元気があまりなかった。それが久々の大きな話を目の前にして元気になっていく。
一方、女たちは、基本、家庭を守る役割なので利益追求に目がいかない。良いものを丁寧につくるという理想を追求していたすみれたちが、現実(利益追求主義)と向き合っていくとどうなるのか。

そんなとき、「なんやかんや言って帰る家があって、待ってる人がいるんやもんな」と相変わらず孤独な明美。
その姿を映したあと、「影は人の寂しさに忍び寄るものなのです」(語り)と、謎の人影が「妖怪人間ベム」的なあやしげな雰囲気で(「とと姉ちゃん」でもこのノリあったなあ)登場・・・。明美ピンチ? でもね、明美には両親はいないけれど、夫になる人を自ら探そうとしている様子がない。寂しいのなら、見合いでもしたらどうかと思ってしまうが、天涯孤独だと結婚もままならないのか。
(木俣冬)