「響け!ユーフォニアム2」8話。これから全国大会だというのに暗雲が
熱血根性吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム2」5話。今回は部に来られなくなった副部長あすかと、大学を辞めたがる久美子の姉の回。
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVで見られます。
今回、風邪をひいた久美子の元に、高坂麗奈が見舞いにくるシーンがある。
他の友だちの差し入れは、ガチャフィギュア、プリン。
麗奈が久美子に持ってきたのは新品のCD。
値段差ありすぎでは。
麗奈、愛の深い女。仲良しノルマ達成。
吹奏楽部のカリスマ、副部長の田中あすかが、親の都合で部に来られなくなった。
久美子の姉の麻美子が、大学をやめたいと親と大喧嘩を始めた。
熱を出した久美子は、姉と口論した。
問題だらけの重たい回だ。
せっかくこれから全国大会だというのに、暗雲立ち込めている。部の演奏も、音が辛気臭くなる。
しかし、全体に漂う空気はそこまで暗くない。
今までにないくらい、久美子がはっきりと自分の意思を表明しているからだ。
1つは、久美子が、部を辞めて受験に専念しだした葵と話しているシーン。
三年生の葵は言う。
「あすかって、なんでもうまくこなしちゃうから、そういうのとは無縁な人なんだと思ってたよ」
久美子は静かに、強く言う。
「そんなことないよ。そんなこと、ないでしょ」
傍観者的な彼女が、麗奈以外の人のことについて、迷いなく感情を露わにするようになった。
ぼんやり受け身気味なことが多い彼女の、大きな成長だ。
2つめは姉の麻美子との会話。
麻美子は、吹奏楽なんて役に立たない、大学に行けと姉が言い続けていた。なのに、自分が中退する矛盾の姿勢を見せたことで、久美子はいらだつ。
「あたしだって久美子みたいに部活を続けたかった、トロンボーンだって辞めたくなかった!」と麻美子は親とのケンカで言い出した。
自室に麗奈が遊びに来ているのにもかかわらず、姉に叫ぶ。
「続けたかったなんて言わないでよ!吹奏楽嫌いなんでしょ?だったらあんなこと言わないでよ、今になって、続けたかったなんていうのずるいよ」
久美子は、姉が大学に行ってからほとんどしゃべっていない。
今回の大学中退問題が出てからも、なるべく接しないよう避けていた。
そして、彼女が怒鳴れる相手は、姉だけだ。
今回で、久美子が幼少期に、トロンボーンを吹いていた姉に憧れていたこと、一緒に演奏をしたいから楽器をはじめたことが明かされる。
演奏する姉が、かっこいいと思っていた。
だから、今グダグダに矛盾している姉に対して、感情が制御できない。
姉に対し、吹奏楽に対し、本音をはっきり述べたのは、姉妹関係においての進歩であり、自分の「好き」の気持ちの再確認だ。
幼いころ久美子が読んでいた絵本、「しろいこいぬとくろいこいぬ」。
ガース・ウイリアムズの「しろいうさぎとくろいうさぎ」に、絵柄が非常によく似ている。
いつまでも仲良く一緒にいたいと願う、二匹のうさぎの物語。
このアニメのオープニングで、麻美子が幼い頃の久美子にトロンボーンを吹かせてあげているシーンがある。
麻美子は、嬉しそうだ。久美子は、楽しそうだ。
あの喜びは、今は2人の中にはない。
今回は3人の男性が目立っていた。
いずれも、子どもたちに信頼感を与える、揺らがない教育姿勢を見せている。
・久美子の父親
久美子の父親、黄前健太郎は昔ながらの、厳格な父だ。
今までの回を見ると、あまりしゃべる方ではなさそうだ。
姉の麻美子が大学を辞めて美容師になりたい、と言った時。
「大学に行くと決めて、受験したのはお前自身だ。違うか。もし本当に辞めるなら、この家から出ていきなさい。生活費も、美容師になる費用も、自分でなんとかしろ」
「リスクを背負わずに、やりたいことができると思うな。お前の言っていることは、あまりにも自分に都合が良すぎる。本気なら覚悟を示せ」
厳しい言葉だが、「自分で覚悟して挑むのならばやれ」という意味をちゃんと含んでいる。
久美子曰く、家賃も学費も親に払ってもらっている麻美子。
自由を奪うのではない。
行動には責任が伴う。母親にさんざん食いついた麻美子も、何も言い返せなくなっている。
・滝先生
「田中さんが今週末までに、部活を続けていくことの確証が得られなかった場合、全国大会の本番は中川(夏紀)さんに出てもらうことにします」
最初から「決定」として、顧問の滝先生は発表した。
7話では、部活動を辞めさせようとする田中あすかの母親に対して、確固とした態度で話している。
「私は何があっても、その退部届を受け取るつもりはありません」「私は本人の意思を尊重します。田中さんが望まない以上、その届けは受け取りません、何があってもです」
今回、全国大会の本番で夏紀と変更する話をしたのは、彼だけが決めたことではない。
あすかと夏紀が、そうしたいと言ったからだ。
夏紀はすでに練習を始めているし、あすかは「迷惑はかけない」と繰り返し宣言している。
7話では、根も葉もない噂で揺れる部に対し、はっきりした言葉のみで否定している。
教師側に心配がないわけがない。しかしそれを絶対出さず、きちんと事実だけを伝える姿勢は、子どもたちの不安を取り除く。
・橋本先生
このタイミングで橋本先生を呼んできたのは、滝先生の計算だろう。
橋本先生はズバズバものを言いつつ皆を盛り上げるタイプ。
外部の人に、気を使われずに、率直に演奏の感想を言われるのが、何より今はキくはずだ。
「みんな全然面白くなさそうだよ?」「いろんな学校の子に言ってるけど、ぼく実はコンクールってあんまり好きじゃない。一生懸命やってるなら、金でも銀でもいいって思ってる」
「音を楽しむと書いて音楽。金だの銀だの意識して、縮こまって堅くてジメジメした演奏になってたら、意味がない」
コンクールが好きか嫌いかの話は、鎧塚みぞれ・傘木希美をはじめとした2年生のトラブルで何度も問われてきた。
橋本先生はプロであり、夏の合宿の時に非常に厳しい指導をしてきたのを、みなが知っている。
「頑張れば金でも銀でもいい」のではなく「金でも銀でもいいけど、いい演奏をしなければ意味がない」ということだ。
麗奈が言っていた、好き嫌いの話は「勝者の意見」、と意見と重なってくる。
「いろんな学校の子に」の一言も大きい。
今皆が苦しんでいるのは、一人の生徒のこと。
たくさん学校があって、たくさんの生徒が頑張っていて……視点がちょっとでもずれれば、自ずと視野は広くなる。
次回9話は、この作品のタイトルでもある「ひびけ!ユーフォニアム」。
誰も知らない田中あすかの素顔に、久美子が踏み込む。カモンジョイナス!
……ほんと久美子って「巻き込まれ」じゃなくて「地雷ふんじゃった」体質なんだよなあ。
今夜スタート「響け!ユーフォニアム2」青春はやり直せないことだらけだけど、1期を振り返ってみた
初回からタブーに踏み込んだ「響け!ユーフォニアム2」
「響け!ユーフォニアム2」2話。吹奏楽部崩壊といじめの傷跡
「響け!ユーフォニアム2」3話。うざい先輩って、正直な人ってことだよ
「響け!ユーフォニアム2」4話。人って打算的に動くもの、かなあ
「響け!ユーフォニアム2」5話。金で喜ぶわけにはいかない
「響け!ユーフォニアム2」6話。大事なものを喪失したら
「響け!ユーフォニアム2」7話。優子「あんまり舐めないでください」
(たまごまご)
9話参考→「響け!ユーフォニアム2」を見逃すな「ギュッと捕まえて、その皮剥がしてやる」
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVで見られます。
今回、風邪をひいた久美子の元に、高坂麗奈が見舞いにくるシーンがある。
他の友だちの差し入れは、ガチャフィギュア、プリン。
麗奈が久美子に持ってきたのは新品のCD。
値段差ありすぎでは。
麗奈、愛の深い女。仲良しノルマ達成。
ケンカは大事な一歩
吹奏楽部のカリスマ、副部長の田中あすかが、親の都合で部に来られなくなった。
久美子の姉の麻美子が、大学をやめたいと親と大喧嘩を始めた。
熱を出した久美子は、姉と口論した。
問題だらけの重たい回だ。
せっかくこれから全国大会だというのに、暗雲立ち込めている。部の演奏も、音が辛気臭くなる。
しかし、全体に漂う空気はそこまで暗くない。
今までにないくらい、久美子がはっきりと自分の意思を表明しているからだ。
1つは、久美子が、部を辞めて受験に専念しだした葵と話しているシーン。
三年生の葵は言う。
「あすかって、なんでもうまくこなしちゃうから、そういうのとは無縁な人なんだと思ってたよ」
久美子は静かに、強く言う。
「そんなことないよ。そんなこと、ないでしょ」
傍観者的な彼女が、麗奈以外の人のことについて、迷いなく感情を露わにするようになった。
ぼんやり受け身気味なことが多い彼女の、大きな成長だ。
2つめは姉の麻美子との会話。
麻美子は、吹奏楽なんて役に立たない、大学に行けと姉が言い続けていた。なのに、自分が中退する矛盾の姿勢を見せたことで、久美子はいらだつ。
「あたしだって久美子みたいに部活を続けたかった、トロンボーンだって辞めたくなかった!」と麻美子は親とのケンカで言い出した。
自室に麗奈が遊びに来ているのにもかかわらず、姉に叫ぶ。
「続けたかったなんて言わないでよ!吹奏楽嫌いなんでしょ?だったらあんなこと言わないでよ、今になって、続けたかったなんていうのずるいよ」
久美子は、姉が大学に行ってからほとんどしゃべっていない。
今回の大学中退問題が出てからも、なるべく接しないよう避けていた。
そして、彼女が怒鳴れる相手は、姉だけだ。
今回で、久美子が幼少期に、トロンボーンを吹いていた姉に憧れていたこと、一緒に演奏をしたいから楽器をはじめたことが明かされる。
演奏する姉が、かっこいいと思っていた。
だから、今グダグダに矛盾している姉に対して、感情が制御できない。
姉に対し、吹奏楽に対し、本音をはっきり述べたのは、姉妹関係においての進歩であり、自分の「好き」の気持ちの再確認だ。
幼いころ久美子が読んでいた絵本、「しろいこいぬとくろいこいぬ」。
ガース・ウイリアムズの「しろいうさぎとくろいうさぎ」に、絵柄が非常によく似ている。
いつまでも仲良く一緒にいたいと願う、二匹のうさぎの物語。
このアニメのオープニングで、麻美子が幼い頃の久美子にトロンボーンを吹かせてあげているシーンがある。
麻美子は、嬉しそうだ。久美子は、楽しそうだ。
あの喜びは、今は2人の中にはない。
ゆらがない男性の目線
今回は3人の男性が目立っていた。
いずれも、子どもたちに信頼感を与える、揺らがない教育姿勢を見せている。
・久美子の父親
久美子の父親、黄前健太郎は昔ながらの、厳格な父だ。
今までの回を見ると、あまりしゃべる方ではなさそうだ。
姉の麻美子が大学を辞めて美容師になりたい、と言った時。
「大学に行くと決めて、受験したのはお前自身だ。違うか。もし本当に辞めるなら、この家から出ていきなさい。生活費も、美容師になる費用も、自分でなんとかしろ」
「リスクを背負わずに、やりたいことができると思うな。お前の言っていることは、あまりにも自分に都合が良すぎる。本気なら覚悟を示せ」
厳しい言葉だが、「自分で覚悟して挑むのならばやれ」という意味をちゃんと含んでいる。
久美子曰く、家賃も学費も親に払ってもらっている麻美子。
自由を奪うのではない。
行動には責任が伴う。母親にさんざん食いついた麻美子も、何も言い返せなくなっている。
・滝先生
「田中さんが今週末までに、部活を続けていくことの確証が得られなかった場合、全国大会の本番は中川(夏紀)さんに出てもらうことにします」
最初から「決定」として、顧問の滝先生は発表した。
7話では、部活動を辞めさせようとする田中あすかの母親に対して、確固とした態度で話している。
「私は何があっても、その退部届を受け取るつもりはありません」「私は本人の意思を尊重します。田中さんが望まない以上、その届けは受け取りません、何があってもです」
今回、全国大会の本番で夏紀と変更する話をしたのは、彼だけが決めたことではない。
あすかと夏紀が、そうしたいと言ったからだ。
夏紀はすでに練習を始めているし、あすかは「迷惑はかけない」と繰り返し宣言している。
7話では、根も葉もない噂で揺れる部に対し、はっきりした言葉のみで否定している。
教師側に心配がないわけがない。しかしそれを絶対出さず、きちんと事実だけを伝える姿勢は、子どもたちの不安を取り除く。
・橋本先生
このタイミングで橋本先生を呼んできたのは、滝先生の計算だろう。
橋本先生はズバズバものを言いつつ皆を盛り上げるタイプ。
外部の人に、気を使われずに、率直に演奏の感想を言われるのが、何より今はキくはずだ。
「みんな全然面白くなさそうだよ?」「いろんな学校の子に言ってるけど、ぼく実はコンクールってあんまり好きじゃない。一生懸命やってるなら、金でも銀でもいいって思ってる」
「音を楽しむと書いて音楽。金だの銀だの意識して、縮こまって堅くてジメジメした演奏になってたら、意味がない」
コンクールが好きか嫌いかの話は、鎧塚みぞれ・傘木希美をはじめとした2年生のトラブルで何度も問われてきた。
橋本先生はプロであり、夏の合宿の時に非常に厳しい指導をしてきたのを、みなが知っている。
「頑張れば金でも銀でもいい」のではなく「金でも銀でもいいけど、いい演奏をしなければ意味がない」ということだ。
麗奈が言っていた、好き嫌いの話は「勝者の意見」、と意見と重なってくる。
「いろんな学校の子に」の一言も大きい。
今皆が苦しんでいるのは、一人の生徒のこと。
たくさん学校があって、たくさんの生徒が頑張っていて……視点がちょっとでもずれれば、自ずと視野は広くなる。
次回9話は、この作品のタイトルでもある「ひびけ!ユーフォニアム」。
誰も知らない田中あすかの素顔に、久美子が踏み込む。カモンジョイナス!
……ほんと久美子って「巻き込まれ」じゃなくて「地雷ふんじゃった」体質なんだよなあ。
今夜スタート「響け!ユーフォニアム2」青春はやり直せないことだらけだけど、1期を振り返ってみた
初回からタブーに踏み込んだ「響け!ユーフォニアム2」
「響け!ユーフォニアム2」2話。吹奏楽部崩壊といじめの傷跡
「響け!ユーフォニアム2」3話。うざい先輩って、正直な人ってことだよ
「響け!ユーフォニアム2」4話。人って打算的に動くもの、かなあ
「響け!ユーフォニアム2」5話。金で喜ぶわけにはいかない
「響け!ユーフォニアム2」6話。大事なものを喪失したら
「響け!ユーフォニアム2」7話。優子「あんまり舐めないでください」
(たまごまご)
9話参考→「響け!ユーフォニアム2」を見逃すな「ギュッと捕まえて、その皮剥がしてやる」