「べっぴんさん」46話。狂犬の潔でテコ入れか

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第8週「止まったままの時計」第46回 11月24日(木)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


46話はこんな話


すみれ(芳根京子)の姉・ゆり(蓮佛美沙子)が麻のサマードレスでファッションショーを行うアイデアを考えつく。売上が上がらず家賃の支払いも不安なすみれは縫製を請け負うことに。

やっぱりおもしろに行くのか?


「自分でも説明のつかない行動に出てしまう時
人は 大抵 自分を見失っているものです」 語り・はな/菅野美穂

「自分の居場所を見つけられるかどうかで
人生いうのは 大きゅう変わるもんなんや」  五十八/生瀬勝久

「何のために 人は仕事をするのでしょう」 語り・はな

五十八とはなの夫婦が語る人生哲学が「べっぴんさん」を高尚なものにしているが、その世界に徐々におもしろが侵食しはじめている。

狂犬の潔(激しいテロップ付き) の登場だ。

サマードレス用の薄い麻をつくってもらうために、44話でお尻を触った石鍋さん(鍋島浩)を頼らざる得なくなったとき、ゆりは、夫・潔(高良健吾)を“敵に回したら怖い”キャラ「狂犬の潔」に仕立てる。
一回、ぐっと頭を下げて、上げたらスゴイ形相になってる高良健吾。急に劇画調。これって、ドラマ開始のころ、おとなしくて暗めだったのを反省してのことだろうか。狂犬の潔も嫌いじゃない。高良健吾は顔立ちが濃いので、昭和のヤクザ映画ふうのものをやっても似合う。でも、42話は21.7%でせっかく自己最高記録になったし、当初の世界観を貫いてほしいところだ。

さて。潔のゆりの眉間の皺のほうがこわい。という点から見ても、お似合いの夫婦なんだろう。
そして、もっとこわいのが後ろに控えている中村玉緒。
玉緒、本田博太郎、山村紅葉・・・坂東家本家で横溝正史ミステリーいけると思う。

ところで、サマードレスのデザインはゆりが描いたのだろうか。スタートは遅いけどあとからグイグイ追い上げるタイプ?

はやくもキアリス、ピンチ


売上が思うように上がらないキアリス。
そのうえすみれは、紀夫君(永山絢斗)には「もう 働かなくてええ。ファッションショーが終わったら仕事をやめて家に戻ってくれ」と言われてしまう。
夫婦共働きにとくに疑問を感じない現代とくらべて、戦後の時代は、夫が働き、妻は家事をすることが当たり前。
1980年から2015年の共働きと専業主婦率の推移を見ると、80年代は共働き世帯が専業主婦世帯の半分。となると80年以前のことも想像に難くない。

石鍋さんのお尻触りも当時はありでも今ならセクハラになってしまう。そのうち、紀夫君の考えも石鍋の行為を耐えるシーンも理解できないと思う人のほうが多くなるのだろうか。今を生きる女性のための朝ドラで、「あさが来た」が初の時代劇と注目されたが、戦後が舞台のものもかなり「時代劇」化してきている。
(木俣冬)