「響け!ユーフォニアム2」7話。優子「あんまり舐めないでください」
熱血根性吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム2」5話。今回は副部長あすかの退部問題と、駅ビルコンサートの回。
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVで見られます。
今回演奏されたのは、T─SQUAREの「宝島」。
サルサアレンジにしたもので、打楽器のリズム、アゴゴ(大小2つのベルが付いているやつ)やシェイカーの音が軽快。
野外コンサートや文化祭など、一般客が多く集まる場所で演奏されることが多い。
拍手、声出し、ダンスなど、パフォーマンス要素をたくさん盛り込むことができる、楽しい曲だ。
YouTubeで「宝島 吹奏楽」で検索すると、2016年11月12・13日に行われた「18回全日本高等学校吹奏楽大会in横浜 プロムナードコンサート」で披露された数々のパフォーマンスがアップされているのを見ることができる。
編曲の真島俊夫は、日本の吹奏楽の立役者の一人。
彼は2016年4月21日にがんで亡くなっている。
2016年の、11月16日以降。
放送はこの日じゃないと、だめだったのだろう。
今まで全国大会に向けて必死に練習してきた北宇治高校吹奏楽部。
6話・7話では文化祭と駅ビルコンサートを入れることで、「演奏は楽しいものだ」という方向を強調した。
選曲は「学園天国」「君は天然色」「宝島」。誰もが聞いたことのあるポップス。
顧問の滝先生が、全国大会前の時期に、これらの曲を計算しないで入れるわけがない。
初心者加藤葉月や、復帰したばかりのフルート傘木希美が参加する演奏としても、最適だろう。
滝先生が今回、バリトンサックス担当で部長の小笠原晴香にソロを任せたのは、彼女にとって必要なものを見抜いてのことだと思う。
そもそも「宝島」の2回入るソロは、本来アルトサックスのパート。わざわざ変えている。
バリサクは吹奏楽においては伴奏にも主旋律にもまわることができる、遊撃手のようなポジション。音を豊かにする重要な役割だ。ジャズだとソロ演奏もこなす。
ただ、吹奏楽だとトランペットやアルト・テナーサックスほど派手ではない。
彼女は、貧乏くじを引いた状態だった。
昨年度、真面目な1年生(現2年生)が蜂起し、一斉に部を抜けた。
こんなぐちゃぐちゃな部の中で、次期部長なんて誰もやりたくない。
1期第7話では、コンクール前に晴香の心がパンクした
人望のある副部長の田中あすかと、久美子に泣きながら叫ぶ。
「やっぱり私が部長なんて無理だったんだ。あすかが部長だったら、そしたらこんなことにはならなかったのに」
「優しいなんて、他に褒めるところがない人にいうセリフでしょ!私わかってるんだから!」
「あすかが断ったから、私がやらなきゃいけないことになったんだよ!?」
とはいえ晴香は、部長になるのを今まで断ったことはない。
晴香の責任感。本人は「引き受けちゃう」性格を、時折憂いている。
本当に精神的にやられて部を休んだ次の日。
「休んでしまってすみませんでした」「今日からまた頑張ります」と言った時、部の全員から拍手が起きた。
本人は「拍手するところじゃないって」と焦っていた。
部長として毎日部活にきて、みんなの前に立つ、そのことがどれだけ辛く大変か。彼女は逃げない勇気のある人だ、と全員がわかっている。
2期7話。晴香は決意して、みなの前に立つ。
「あすか以外、頼りない先輩ばっか、って感じている人もいるかもしれない。でも、それでもついてきてほしい」
こういう時、なんでも正直に口にする2年生吉川優子が、すぐに反応するのが、本当にいい。
「あんまり舐めないでください。そんなこと言われなくても、みんなついていくつもりです!」
晴香は、目立つリーダーではない。
細かなところに気を配り、みんなの後ろで支え、時に勇気を持って前に立つ。
責任感が強くて、ちょっと自信はない。たまに泣いちゃう。
でも頑張っているうちに、みんなの気持ちは共鳴する、ついてくる。
晴香は、バリトンサックスそのものだ。
バリトンサックス奏者の吉田隆一は、今回の演奏シーンを見て、こう語っている。
晴香のソロは誰が聞いても、一発ですごさが伝わる演奏だった。
リズム、抑揚、スタッカート、ため。一音ずつの表情全てが、今まで「吹奏楽」で描いてきたものと違う。久美子の「えっ!?」という顔が一瞬入るのも、もっともだ。
原作3巻では、こう表現されている。
「その音がなんともファンキーだったからだ。これまでのコンクールや練習とは比べものにならないほど、小笠原の音は輝いていた。なんというか、すごくカッコいい」
この「カッコいい」は、他校の佐々木梓がぽそっとつぶやいている。
勇気の人、晴香を表現するには、シンプルだけど欠かせない言葉だ。
正直、彼女にはジャズの道も選んでほしい。けれどもきっと、今は選ばないだろうな。
小笠原晴香は当分は、吹奏楽部のバリトンサックスであろうとし続けるはず。
さて8話予告は……ひたすら重そう。久美子の姉・麻美子の物語と、部を辞めざるを得なかった葵ちゃんの話。
すっきりさせないといけない膿が、どろりと出てくるはず。
ところで今回、久美子と麗奈の仲良しシーンが無かった……と思ったら、加藤葉月と川島緑輝の仲良しシーンが。
初心者でくじけそうな葉月に、緑輝がチョップを入れる。これは1期9話で葉月が緑輝に入れていた。14話(BD収録)でもお互いにチョップしている。
チョップは2人の、かけがえのない絆なのです。
今夜スタート「響け!ユーフォニアム2」青春はやり直せないことだらけだけど、1期を振り返ってみた
初回からタブーに踏み込んだ「響け!ユーフォニアム2」
「響け!ユーフォニアム2」2話。吹奏楽部崩壊といじめの傷跡
「響け!ユーフォニアム2」3話。うざい先輩って、正直な人ってことだよ
「響け!ユーフォニアム2」4話。人って打算的に動くもの、かなあ
「響け!ユーフォニアム2」5話。金で喜ぶわけにはいかない
「響け!ユーフォニアム2」6話。大事なものを喪失したら
(たまごまご)
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVで見られます。
真島俊夫の「宝島」
今回演奏されたのは、T─SQUAREの「宝島」。
サルサアレンジにしたもので、打楽器のリズム、アゴゴ(大小2つのベルが付いているやつ)やシェイカーの音が軽快。
野外コンサートや文化祭など、一般客が多く集まる場所で演奏されることが多い。
拍手、声出し、ダンスなど、パフォーマンス要素をたくさん盛り込むことができる、楽しい曲だ。
YouTubeで「宝島 吹奏楽」で検索すると、2016年11月12・13日に行われた「18回全日本高等学校吹奏楽大会in横浜 プロムナードコンサート」で披露された数々のパフォーマンスがアップされているのを見ることができる。
彼は2016年4月21日にがんで亡くなっている。
2016年の、11月16日以降。
放送はこの日じゃないと、だめだったのだろう。
優しいバリサク・晴香部長
今まで全国大会に向けて必死に練習してきた北宇治高校吹奏楽部。
6話・7話では文化祭と駅ビルコンサートを入れることで、「演奏は楽しいものだ」という方向を強調した。
選曲は「学園天国」「君は天然色」「宝島」。誰もが聞いたことのあるポップス。
顧問の滝先生が、全国大会前の時期に、これらの曲を計算しないで入れるわけがない。
初心者加藤葉月や、復帰したばかりのフルート傘木希美が参加する演奏としても、最適だろう。
滝先生が今回、バリトンサックス担当で部長の小笠原晴香にソロを任せたのは、彼女にとって必要なものを見抜いてのことだと思う。
そもそも「宝島」の2回入るソロは、本来アルトサックスのパート。わざわざ変えている。
バリサクは吹奏楽においては伴奏にも主旋律にもまわることができる、遊撃手のようなポジション。音を豊かにする重要な役割だ。ジャズだとソロ演奏もこなす。
ただ、吹奏楽だとトランペットやアルト・テナーサックスほど派手ではない。
彼女は、貧乏くじを引いた状態だった。
昨年度、真面目な1年生(現2年生)が蜂起し、一斉に部を抜けた。
こんなぐちゃぐちゃな部の中で、次期部長なんて誰もやりたくない。
1期第7話では、コンクール前に晴香の心がパンクした
人望のある副部長の田中あすかと、久美子に泣きながら叫ぶ。
「やっぱり私が部長なんて無理だったんだ。あすかが部長だったら、そしたらこんなことにはならなかったのに」
「優しいなんて、他に褒めるところがない人にいうセリフでしょ!私わかってるんだから!」
「あすかが断ったから、私がやらなきゃいけないことになったんだよ!?」
とはいえ晴香は、部長になるのを今まで断ったことはない。
晴香の責任感。本人は「引き受けちゃう」性格を、時折憂いている。
本当に精神的にやられて部を休んだ次の日。
「休んでしまってすみませんでした」「今日からまた頑張ります」と言った時、部の全員から拍手が起きた。
本人は「拍手するところじゃないって」と焦っていた。
部長として毎日部活にきて、みんなの前に立つ、そのことがどれだけ辛く大変か。彼女は逃げない勇気のある人だ、と全員がわかっている。
2期7話。晴香は決意して、みなの前に立つ。
「あすか以外、頼りない先輩ばっか、って感じている人もいるかもしれない。でも、それでもついてきてほしい」
こういう時、なんでも正直に口にする2年生吉川優子が、すぐに反応するのが、本当にいい。
「あんまり舐めないでください。そんなこと言われなくても、みんなついていくつもりです!」
晴香は、目立つリーダーではない。
細かなところに気を配り、みんなの後ろで支え、時に勇気を持って前に立つ。
責任感が強くて、ちょっと自信はない。たまに泣いちゃう。
でも頑張っているうちに、みんなの気持ちは共鳴する、ついてくる。
晴香は、バリトンサックスそのものだ。
「カッコいい」バリサクソロ
バリトンサックス奏者の吉田隆一は、今回の演奏シーンを見て、こう語っている。
宝島のソロは、吹奏楽、クラシック文脈のアーテュキレーションで演奏すると上手くいかないことが多いのですが(ラテンのニュアンスを知り尽くした真島俊夫さんのアレンジなので、手加減ないのです)、晴香部長のアーテュキレーション、完璧で素晴らしかった。#anime_eupho
— 吉田隆一/黒羊サンチーム(@hi_doi) 2016年11月16日
晴香のソロは誰が聞いても、一発ですごさが伝わる演奏だった。
リズム、抑揚、スタッカート、ため。一音ずつの表情全てが、今まで「吹奏楽」で描いてきたものと違う。久美子の「えっ!?」という顔が一瞬入るのも、もっともだ。
原作3巻では、こう表現されている。
「その音がなんともファンキーだったからだ。これまでのコンクールや練習とは比べものにならないほど、小笠原の音は輝いていた。なんというか、すごくカッコいい」
この「カッコいい」は、他校の佐々木梓がぽそっとつぶやいている。
勇気の人、晴香を表現するには、シンプルだけど欠かせない言葉だ。
正直、彼女にはジャズの道も選んでほしい。けれどもきっと、今は選ばないだろうな。
小笠原晴香は当分は、吹奏楽部のバリトンサックスであろうとし続けるはず。
さて8話予告は……ひたすら重そう。久美子の姉・麻美子の物語と、部を辞めざるを得なかった葵ちゃんの話。
すっきりさせないといけない膿が、どろりと出てくるはず。
ところで今回、久美子と麗奈の仲良しシーンが無かった……と思ったら、加藤葉月と川島緑輝の仲良しシーンが。
初心者でくじけそうな葉月に、緑輝がチョップを入れる。これは1期9話で葉月が緑輝に入れていた。14話(BD収録)でもお互いにチョップしている。
チョップは2人の、かけがえのない絆なのです。
今夜スタート「響け!ユーフォニアム2」青春はやり直せないことだらけだけど、1期を振り返ってみた
初回からタブーに踏み込んだ「響け!ユーフォニアム2」
「響け!ユーフォニアム2」2話。吹奏楽部崩壊といじめの傷跡
「響け!ユーフォニアム2」3話。うざい先輩って、正直な人ってことだよ
「響け!ユーフォニアム2」4話。人って打算的に動くもの、かなあ
「響け!ユーフォニアム2」5話。金で喜ぶわけにはいかない
「響け!ユーフォニアム2」6話。大事なものを喪失したら
(たまごまご)