「べっぴんさん」43話。紀夫くん、居場所のなさに苦しむ
連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第8週「止まったままの時計」第43回 11月21日(月)放送より。
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎
紀夫くん(永山絢斗)の生還祝の会を新店舗で行ったが、なんだか紀夫くんの様子がおかしくて・・
紀夫くんが帰ってきたら、すべてまるっとうまくいくかと思いきや、またまた不穏な気配。
紀夫くんは収容所に入っていて、ずっと早く帰ってすみれとさくらを守りたいと思い続けていたらしい。
いざ帰ってきて「坂東営業部を僕が復活させます」と宣言したものの、すみれは店をもって働いていて、ゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)は坂東営業部復活の土台づくりをしていた。
居場所のなさを感じる紀夫。
「この国は変わったなあ」としんみり。
すみれが預かっていた時計をじっと見る。11時15分で止まったままのそれは、サブタイトルにある通り紀夫そのもの。時計のねじを巻いて動き出してほしい。
◯すれ違った外国人に対する顔が険しい。
◯外国の食べ物を見てちょっと拒否反応が起こしているっぽい。
◯さくらと仲良くしている男(栄輔)を気にしてる。
◯君枝(土村芳)の夫・昭一(平岡祐太)、良子(百田夏菜子)の夫・勝二(田中要次)と初対面でいきなり
「(女だけで商売することを)男が笑って見てるなんて、心配やないんですか。僕にはよう理解できません」とずばり言ってしまう。
◯「簡単にひとを信頼したらあかん」と言う。
◯「僕の出る幕はない」と坂東営業所の当主の座を捨て働き口を探そうとする。
◯戸の裏に入って体育座り。
43話、1回だけでこんなに大変そうな描写。もともとちょっと変わった人ではあったけれど、これからどうなるのか。
それにしても、引き戸の裏に入り、さらにちょっと戸を締める動作は、内向的な人間をみごとに表していた。
「べっぴんさん」で特徴的な淡い画面は、公式サイトを見たら、「被写界深度の浅い4Kカメラを使って、にじむような光がもたらす空気感を大切に撮っています。」とあった。
43回で顕著だったのは、帰ってきたばかりで、坂東家のひとたち(使用人も含む)みんなに歓迎されているとき。やたらとみんなが淡い光に包まれていて、最初、これって家族そろってよかったね! という意味かと思ったが、よくよく考えたら、紀夫くんにとってみんながまぶし過ぎるという表現なのではないか。深い!
「べっぴんさん」では、主人公のすみれもその夫・紀夫も、ふたりして内気でナイーブ。彼らがどう世の中と向き合っていくか、やさしい目線で描いているのが良い。すみれはとりあえず成長したから、紀夫くんもがんばってほしい。
(木俣冬)
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎
43話はこんな話
紀夫くん(永山絢斗)の生還祝の会を新店舗で行ったが、なんだか紀夫くんの様子がおかしくて・・
止まった時計
紀夫くんが帰ってきたら、すべてまるっとうまくいくかと思いきや、またまた不穏な気配。
紀夫くんは収容所に入っていて、ずっと早く帰ってすみれとさくらを守りたいと思い続けていたらしい。
いざ帰ってきて「坂東営業部を僕が復活させます」と宣言したものの、すみれは店をもって働いていて、ゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)は坂東営業部復活の土台づくりをしていた。
居場所のなさを感じる紀夫。
「この国は変わったなあ」としんみり。
すみれが預かっていた時計をじっと見る。11時15分で止まったままのそれは、サブタイトルにある通り紀夫そのもの。時計のねじを巻いて動き出してほしい。
紀夫くんの危うさ
◯すれ違った外国人に対する顔が険しい。
◯外国の食べ物を見てちょっと拒否反応が起こしているっぽい。
◯さくらと仲良くしている男(栄輔)を気にしてる。
◯君枝(土村芳)の夫・昭一(平岡祐太)、良子(百田夏菜子)の夫・勝二(田中要次)と初対面でいきなり
「(女だけで商売することを)男が笑って見てるなんて、心配やないんですか。僕にはよう理解できません」とずばり言ってしまう。
◯「簡単にひとを信頼したらあかん」と言う。
◯「僕の出る幕はない」と坂東営業所の当主の座を捨て働き口を探そうとする。
◯戸の裏に入って体育座り。
43話、1回だけでこんなに大変そうな描写。もともとちょっと変わった人ではあったけれど、これからどうなるのか。
それにしても、引き戸の裏に入り、さらにちょっと戸を締める動作は、内向的な人間をみごとに表していた。
光の役割
「べっぴんさん」で特徴的な淡い画面は、公式サイトを見たら、「被写界深度の浅い4Kカメラを使って、にじむような光がもたらす空気感を大切に撮っています。」とあった。
43回で顕著だったのは、帰ってきたばかりで、坂東家のひとたち(使用人も含む)みんなに歓迎されているとき。やたらとみんなが淡い光に包まれていて、最初、これって家族そろってよかったね! という意味かと思ったが、よくよく考えたら、紀夫くんにとってみんながまぶし過ぎるという表現なのではないか。深い!
「べっぴんさん」では、主人公のすみれもその夫・紀夫も、ふたりして内気でナイーブ。彼らがどう世の中と向き合っていくか、やさしい目線で描いているのが良い。すみれはとりあえず成長したから、紀夫くんもがんばってほしい。
(木俣冬)