塚地「僕的には危機感がある」イカ大王は沖縄で何を思う「LIFE!」#19
「うぃ〜っす」「ウィッス」「マッス!」「ぉはよぉございます」「これはこれは」「ちっす」「ぜひぜひー」
『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK総合 毎週木曜22:25〜)。第19回(10月27日放送)のコントは全員参加の「打ち上げ」を始め、「盗聴」「プラス車掌」「何度でも」の4本。これにムロツヨシによる「LIFE!ANSWER」とイカ大王in沖縄が加わるという、盛りだくさんな回だった。
「打ち上げ」はシーズン4開始以来、初めてレギュラー9人全員が揃ったコント。全員がメディアプロデューサー、ブランディングアドバイザー、自称マルチプロデューサーなど、何をやってるかよくわからない業界関係者となって、打ち上げ会場でそれぞれ挨拶して回る。その会話の中身はスッカスカ!
・「アレ、マジでうまくいってよかったです」「もろもろ大変でしたけどね〜」「また何かあったら!」
・「で、あっちは……?」「ペンディングっすね〜」「ですねですね〜」
・「もしかして例の?」「例の、例の」「今度お願いします」「逆にホントお願いします」
・「これはこれは」「いやいや」「ご活躍で」「いやいやいや」
打ち上げ会場の名称も「業界関係者上半期大打ち上げ」と超ざっくり。宴もたけなわというわけで、「日本業界振興会会長」(内村)がしわがれ声でご挨拶するのだけど、さすが業界の長だけあって中身がないこと極まれり。
「ウィッスあざっすもろもろなるはやでWin-Winのさーせんアモーレギャンかわぐうかわらっしゃぁせらっしゃぁせ、よぉ〜っ」
(パン!)
「おつかれした〜」「した〜」
全員がなんらかのキャラに扮しており、いわば全員がボケ。撮影はワンカットの長回しで、チームの一体感がよく出ているコントであった。最後にみんなで「LIFE!」とタイトルコールをしてもよかったくらいである。
「盗聴」は、企業スパイの下別府(星野源)が会議室に盗聴器をしかけ、仲間(内村光良、塚地武雅)が待つバンに帰ってくるところから始まる。これから始まる重役会議を盗聴するつもりだが、会議の準備をしているOL3人組(石橋杏奈、臼田あさ美、清野菜名(ゲスト))の会話が聞こえてきて苦笑いするスパイたち。しかし、いつしかOLたちの話題は、最近中途入社した下別府のナルシストぶりに移り……。
OLが噂話に花を咲かせる会議室と、スパイが聞き耳を立てるバンの中の2つの場面が同時進行する。このコント、「OLの会話を盗聴するスパイ」という設定だけなら、実はOL2人・スパイ2人でも成り立つ。だが、ゲストに清野菜名を迎えてまで「OLとスパイの3on3」に設定することで、物語に重みが生まれるのだ。
OLたちは、自分たちが目撃した下別府のナルシストエピソード(エレベーターでガラスに映る自分を見ながら前髪を直してた等)をそれぞれ披露して「きも〜い!」と共感する。OLが2人より3人いるほうが、エピソードに厚みを出すことができ、全員が共感している様子から「下別府は普段ホントにナルシストなんだな」という思わせてくれる。
それを聞いているスパイたちは、手前に星野扮する下別府、後ろに少し離れて内村と塚地が並ぶという構図。コントの序盤で下別府が「こう見えても僕、あの会社では超有望社員なんですよ」と自信たっぷりに語っていたのもフリになり、顔を覆って恥ずかしがる下別府を先輩スパイたちが冷ややかな目で見つめる。ベテラン2人を後ろに置いたことで無言の圧の重みが増し、スパイ達の中で下別府の株が急落したことがわかりやすくなる。
人が3人集まると「社会」が生まれる。OL3人、スパイ3人、それぞれの空間で社会が生まれ、その2つの社会を盗聴器で結合したコントなのだ。巧みな構成が憎い。
「夏だ飛び出せLIFE!」で、ラジオ体操で全国行脚をするよう「NHKなんで」の三津谷さんから命じられていた塚地。夏に回ったのは東京都近郊の3箇所だけだったが、今回は沖縄に飛んだ。イカ大王in沖縄である。
商店街を盛り上げるためにラジオ体操を、ということで、170軒のお店にビラを配るイカ大王。沖縄の街でも大人気。実はイカ大王、コントで登場したのはシーズン1だけ。「イカ大王体操第2」のリリースや、タワレコ前でのプロモーション、北の大地コンサートへの出演、紅白歌合戦で見切れるなど、LIFE!の広告塔として地肩の強さを活かしてきた。
その活躍に対して「今一番焦っている」という人物がいる。他でもない、イカ大王を演じる塚地武雅本人だ。
塚地「今年になって『コレ!』っていうキャラを作れてないんですよ。僕的には、危機感がある。あ、やべ、コントなくなってきた俺、みたいな。源くんなんて”うそ太郎”とか”オモえもん”とか人気キャラクターが次々出てきているのに、俺はいつまでイカ大王を引っ張るのか……って」(『Quick Japan vol.128』「LIFE!大百科」より)
確かに、前シーズンでは「キスがうまいだけの男」等があったのに、今年は「ゲスニックマガジン」の”週刊サファイヤ”など、脇を固めることが多い塚地。しかし逆に考えれば、これから塚地のキャラコントができればシーズン4はさらに勢いづく。ドラゴンボールのフリーザでいう「まだ変身を残している」状態といえるだろう。塚地の焦りが実るとき、LIFE!はさらに飛躍するはずだ。
次回の『LIFE!』は1週休みで放送は11月10日(木)22時25分から。次がシーズン4の20回目。そろそろ1年の折り返し地点かも?
(井上マサキ)
『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK総合 毎週木曜22:25〜)。第19回(10月27日放送)のコントは全員参加の「打ち上げ」を始め、「盗聴」「プラス車掌」「何度でも」の4本。これにムロツヨシによる「LIFE!ANSWER」とイカ大王in沖縄が加わるという、盛りだくさんな回だった。
全員キャラ全員ボケの幸福
「打ち上げ」はシーズン4開始以来、初めてレギュラー9人全員が揃ったコント。全員がメディアプロデューサー、ブランディングアドバイザー、自称マルチプロデューサーなど、何をやってるかよくわからない業界関係者となって、打ち上げ会場でそれぞれ挨拶して回る。その会話の中身はスッカスカ!
・「で、あっちは……?」「ペンディングっすね〜」「ですねですね〜」
・「もしかして例の?」「例の、例の」「今度お願いします」「逆にホントお願いします」
・「これはこれは」「いやいや」「ご活躍で」「いやいやいや」
打ち上げ会場の名称も「業界関係者上半期大打ち上げ」と超ざっくり。宴もたけなわというわけで、「日本業界振興会会長」(内村)がしわがれ声でご挨拶するのだけど、さすが業界の長だけあって中身がないこと極まれり。
「ウィッスあざっすもろもろなるはやでWin-Winのさーせんアモーレギャンかわぐうかわらっしゃぁせらっしゃぁせ、よぉ〜っ」
(パン!)
「おつかれした〜」「した〜」
全員がなんらかのキャラに扮しており、いわば全員がボケ。撮影はワンカットの長回しで、チームの一体感がよく出ているコントであった。最後にみんなで「LIFE!」とタイトルコールをしてもよかったくらいである。
OLとスパイの3on3
「盗聴」は、企業スパイの下別府(星野源)が会議室に盗聴器をしかけ、仲間(内村光良、塚地武雅)が待つバンに帰ってくるところから始まる。これから始まる重役会議を盗聴するつもりだが、会議の準備をしているOL3人組(石橋杏奈、臼田あさ美、清野菜名(ゲスト))の会話が聞こえてきて苦笑いするスパイたち。しかし、いつしかOLたちの話題は、最近中途入社した下別府のナルシストぶりに移り……。
OLが噂話に花を咲かせる会議室と、スパイが聞き耳を立てるバンの中の2つの場面が同時進行する。このコント、「OLの会話を盗聴するスパイ」という設定だけなら、実はOL2人・スパイ2人でも成り立つ。だが、ゲストに清野菜名を迎えてまで「OLとスパイの3on3」に設定することで、物語に重みが生まれるのだ。
OLたちは、自分たちが目撃した下別府のナルシストエピソード(エレベーターでガラスに映る自分を見ながら前髪を直してた等)をそれぞれ披露して「きも〜い!」と共感する。OLが2人より3人いるほうが、エピソードに厚みを出すことができ、全員が共感している様子から「下別府は普段ホントにナルシストなんだな」という思わせてくれる。
それを聞いているスパイたちは、手前に星野扮する下別府、後ろに少し離れて内村と塚地が並ぶという構図。コントの序盤で下別府が「こう見えても僕、あの会社では超有望社員なんですよ」と自信たっぷりに語っていたのもフリになり、顔を覆って恥ずかしがる下別府を先輩スパイたちが冷ややかな目で見つめる。ベテラン2人を後ろに置いたことで無言の圧の重みが増し、スパイ達の中で下別府の株が急落したことがわかりやすくなる。
人が3人集まると「社会」が生まれる。OL3人、スパイ3人、それぞれの空間で社会が生まれ、その2つの社会を盗聴器で結合したコントなのだ。巧みな構成が憎い。
塚地「僕的には危機感がある」
「夏だ飛び出せLIFE!」で、ラジオ体操で全国行脚をするよう「NHKなんで」の三津谷さんから命じられていた塚地。夏に回ったのは東京都近郊の3箇所だけだったが、今回は沖縄に飛んだ。イカ大王in沖縄である。
商店街を盛り上げるためにラジオ体操を、ということで、170軒のお店にビラを配るイカ大王。沖縄の街でも大人気。実はイカ大王、コントで登場したのはシーズン1だけ。「イカ大王体操第2」のリリースや、タワレコ前でのプロモーション、北の大地コンサートへの出演、紅白歌合戦で見切れるなど、LIFE!の広告塔として地肩の強さを活かしてきた。
その活躍に対して「今一番焦っている」という人物がいる。他でもない、イカ大王を演じる塚地武雅本人だ。
塚地「今年になって『コレ!』っていうキャラを作れてないんですよ。僕的には、危機感がある。あ、やべ、コントなくなってきた俺、みたいな。源くんなんて”うそ太郎”とか”オモえもん”とか人気キャラクターが次々出てきているのに、俺はいつまでイカ大王を引っ張るのか……って」(『Quick Japan vol.128』「LIFE!大百科」より)
確かに、前シーズンでは「キスがうまいだけの男」等があったのに、今年は「ゲスニックマガジン」の”週刊サファイヤ”など、脇を固めることが多い塚地。しかし逆に考えれば、これから塚地のキャラコントができればシーズン4はさらに勢いづく。ドラゴンボールのフリーザでいう「まだ変身を残している」状態といえるだろう。塚地の焦りが実るとき、LIFE!はさらに飛躍するはずだ。
次回の『LIFE!』は1週休みで放送は11月10日(木)22時25分から。次がシーズン4の20回目。そろそろ1年の折り返し地点かも?
(井上マサキ)