アジア杯で負けているUAEにはチャレンジャーとして、リベンジをするつもりでぶつかってほしいと語るセルジオ越後

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ラクなグループじゃないね。冷静に実力を比べれば、日本は十分突破できると思うし、もちろん突破してほしいと願っている。ただ、ひとつ間違えると厳しくなる。それが率直な感想だ。

9月から始まる2018年ロシアW杯アジア最終予選の組分けが決まった。日本(FIFAランキング57位)はオーストラリア(同50位)、サウジアラビア(同60位)、UAE(同68位)、イラク(同105位)、タイ(同119位)と同じB組に入った。

最終予選はホーム&アウェー方式で、各組上位2ヵ国が本大会の出場権を獲得。B組3位のチームはA組3位、さらに北中米カリブ海地区4位とプレーオフを戦うことになるけど、おそらくB組は日本、オーストラリア、サウジアラビア、UAEの実質4ヵ国で2枠を争う展開になるだろう。

最大のライバルはやっぱり昨年のアジア杯王者オーストラリア。少し前まで世代交代に苦労していたけど、ここ1、2年でMFルオンゴ、DFスミスなど若手が台頭してきた。過去、日本が何度も痛い目に遭わされてきたFWケーヒルも健在。このグループでは最もバランスの取れたチームだろう。日本はフィジカルの強いチームを苦手とするだけに脅威だよ。

UAEは日本がアジア杯準々決勝でPK戦の末に敗れた相手。これまでのUAEは毎年のように監督がころころと代わって、“個人技はあるけど、まとまりのないチーム”という印象が強かった。でも、現在のアリ監督はすでに就任4年目。異例の長期政権だ。それだけ国からも選手からも信頼を得ているのだろう。

また、現在のチームの主力はU−20W杯、ロンドン五輪などの国際舞台を経験してきた、いわば“UAEの黄金世代”。年齢的にも20代半ばでキャリアのピークを迎えつつある。チームとして一番いい時期にきているんじゃないかな。

そして不気味なのが、情報に乏しいサウジアラビアだ。かつての中東の雄も最近は過去2大会連続でW杯出場を逃し、アジア杯でも過去2大会連続でグループリーグ敗退するなどパッとしなかった。ところが、今回の2次予選ではUAEと同じグループに入り、無敗の首位通過を果たしている。

また、昨年8月に就任したオランダ人のファン・マルバイク監督の存在も大きい。10年南アフリカW杯でオランダ代表を率いて準優勝、グループリーグでは日本と対戦して勝利を収めている指揮官だけに何か手を打ってくるはず。中東のなかでも、特に独特の雰囲気に包まれるアウェー戦もいやだね。

試合日程を見ると、ラスト2試合がホームのオーストラリア戦、アウェーのサウジアラビア戦となっている。どちらも簡単な試合にはならないだろうから、そこまでに勝ち点を稼いでグループ首位に立っておきたい。

そのためにも、やっぱりスタートが非常に大切になる。開催地や対戦相手に比較的恵まれている最初の3試合(ホームでのUAE戦、アウェーでのタイ戦、ホームでのイラク戦)を全部勝って勢いに乗りたいところ。開幕前の現時点でW杯に出場できる可能性は50%。でも、そこで3連勝できれば60%にも70%にもアップする。

9月1日の初戦、相手のUAEには昨年のアジア杯で負けている。選手たちにはチャレンジャーとして、リベンジをするつもりでぶつかってほしい。

(構成/渡辺達也)