遠征のセルフコンディショニング

写真拡大 (全2枚)

 気がつけばオフシーズンもあとわずか。3月の声を聞くといよいよシーズンに突入します。今までの体力づくりや練習が実践に結びつくよう、コンディションを整えて臨んでもらいたいと思います。今回はこの時期や春休み期間を利用して、宿泊を伴う遠征などを行うチームも多いと思いますので、こうした環境が変わったところでのセルフコンディショニングについて考えてみたいと思います。

遠征前に体調を整えておく

 宿泊を伴う遠征の場合、生活環境が変わってしまうことがまず考えられます。まずは遠征前に体調をしっかりと整えておくようにしましょう。体調があまりよくないのに無理をして参加してしまうと、遠征先で具合が悪くなってしまい、結局ずっと部屋で寝込んでしまった…といったことにもなりかねません。

 環境の変化は多かれ少なかれ身体へのストレスともなります。睡眠時間を十分にとり、一日の疲労をなるべく持ち越さないように普段から心がけておきましょう。また突発的なケガや病気に見舞われるリスクはありますので、いざという時のために保険証(なるべく原本がいいのですが、むずかしいようならコピー)を持っていくようにしましょう。

遠征先の詳細を調べておく

遠征先の天候、気温などはあらかじめ調べておこう

 これから行く場所の詳細をあらかじめ調べておきましょう。特に気になるのは滞在日程中の天候や気温でしょうか。寒い地域から暖かい地域へ、また暖かい地域から寒い地域へと遠征先で気候ががらっと変わることもあります。服装なども天候や気温によって左右されますので、雨が多いようなら着替えを多めに準備する、寒いようであれば羽織れるものを持っていくといった準備を行うようにしましょう。

 また指導者の方には遠征先のケガや病気に備えて、宿泊施設や練習施設の近辺を中心に医療機関をチェックしておきましょう。ケガであれば整形外科、体調不良であれば内科といった具合に、それぞれの専門科まで調べておくと安心です。

長距離移動に伴う疲労を考慮する

 長距離移動で何時間も窮屈な座席に座り続けると、疲労がたまるばかりか腰が痛くなったり、ひどい場合は「エコノミークラス症候群」を発症することもあります。首をサポートするネックピローや腰痛予防のためのクッションなどをあらかじめ持参しておくと、こうした移動に伴う疲労を軽減させることが期待できます。またバスや電車、車の中ではシューズの靴紐などをゆるめたり、専用のスリッパなどに履き替えることも足への負担を軽くすることにつながります。移動時間が長くなる場合は適度に休憩をとり、立ち寄ったサービスエリアなどで身体を軽く動かすようにすることを心がけましょう。

[page_break:部屋の環境を確認する/ 食事について]部屋の環境を確認する

 宿泊施設の部屋ではエアコンなどが常時作動できるようになっているところが多く、空気が乾燥しやすい傾向にあります。乾燥した部屋で一晩眠ると喉を痛めやすく、風邪をひいてしまうことも。こうしたことを予防するために、部屋の湿度を上げる工夫をしてみましょう。洗濯物や濡れたタオルを室内に干す、また入浴後のお湯をそのまま湯船にはっておくことなども効果的です。

 また寝具についても枕の高さやマットレスの有無などを確認しておきましょう。よく「枕が変わると眠れない」と訴える選手がいますが、タオルなどを使えばある程度枕の高さを調節することが可能です。どうしても気になるという選手はいつも使っている枕を持参するというのも一つの方法だと思います。特に長期にわたる場合はこうした寝具に関する準備を行ってもよいかもしれません。

食事について

バイキング形式の食事では、栄養バランスを考えて

 宿泊先の食事についてもあらかじめ確認をしておいた方がよいでしょう。食事はバイキング形式なのか、それともお膳で出されるのかといったことがあらかじめわかっていると、食事をとる際に気をつけておきたいことが明確になります。バイキング形式の食事では、好きなものだけではなく野菜や果物、豆類、海藻類といったように栄養バランスを考えて食べるようにしましょう。特にエネルギー源となる炭水化物(ご飯、パン、パスタ等)は身体を動かす原動力となりますので十分にとるようにします。

 これに肉や魚、卵などのたんぱく質、ビタミン・ミネラル類をいろんな料理からとることが出来れば理想的です。また試合を控えている場合は、刺身などの生ものや天ぷらなど油が多く使われているものはなるべく避け、胃腸に負担のかからないものを中心に取るようにしましょう。

 普段とは違った環境下で持てる力を十分に発揮するためには、セルフコンディショニングの積み重ねが大切になってきます。事前準備と体調管理をしっかり行うことで「備えあれば憂いなし」。出来ることからぜひ実践してみてくださいね。

【遠征のセルフコンディショニング】●環境の変化は身体にストレスがかかるため、体調を万全にして臨もう●遠征先の天候や気温、近隣の医療機関などをあらかじめ調べておく●移動による疲労を軽減するために、適切な休憩をとって身体を動かそう●宿泊先では部屋を確認し、乾燥対策や寝具のチェックを行おう●宿泊先の食事がバイキング形式なのかお膳で出されるのかなどを確認しておこう●試合を控えているときは生ものや油っこいものは避けて、消化によいものを食べよう

(文=西村 典子)

次回コラム公開は3月15日を予定しております。

注目記事・【2月特集】実践につながる ティーバッティング