桐生第一vs千葉明徳
桐生第一・内池 翔
千葉代表の千葉明徳、群馬代表の桐生第一。ともに県2位で「関東切符」を勝ち取った両校の対決は市営大宮球場で行われた。折しも「ハロウィン」のこの日は晩秋を思わせるような肌寒い天候になったが、ぎっしり埋まった両校の応援席は熱気ムンムン。試合前ノックの時から熱い声援が飛び交っていた。
試合は序盤、投手戦の様相を呈した。1回表のまっさらなマウンドに立った桐生第一の先発・内池 翔（3年）は身長177?のサウスポー。130?台の伸びのあるストレートを軸に、スライダー、カーブなどで上手く緩急を使う。
一方、千葉明徳の先発・鈴木 翔（2年）は160?と小柄ながら本格派の右腕。身長を目一杯使って真っ向から投げ下ろす。東京学館浦安との千葉大会準決勝では3失点完投勝利。千葉明徳を秋季は初となる関東地区大会へ導いた。3回まで桐生第一の内池は被安打1で2奪三振、千葉明徳の鈴木は被安打1で3奪三振。ともにつけ入るスキを与えない投球を見せ、3つずつゼロを並べた。
均衡が破れたのは4回裏だった。この回先頭の2番・�眦� 修平（2年）が四球で出塁し、犠打で二塁に進む。ここで登場したのが1年生ながら旧チームからレギュラーを張る4番・鏑木 風雅（1年）。注目の選手だ。鏑木はベンチと応援席の期待に応え、左打席からレフトへ適時二塁打を放つ。
なおも5番・寶田 善統（2年）の内野安打で一死一三塁と好機を広げた桐生第一は、6番・内池がスクイズを決めて1点を追加。さらに7番・小野 柊人（2年）と9番・齋藤 馨（2年）の適時打で2点を加えて、計4点を奪った。
これで主導権を握った桐生第一は5回裏、4回途中から登板の変則左腕・持永 真之介（2年）から5番・寶田が適時打を放ち、リードを5点に広げる。
千葉明徳・鈴木 翔
内池 翔の前にわずか1安打と沈黙していた千葉明徳打線が目を覚ましたのは6回表だった。一死から9番・平山 雄規（2年）のヒットなどで一、二塁とし、内池を攻め立てる。しかし内池は冷静だった。見事なけん制で二塁走者をアウトにすると、6回も得点を許さなかった。
ピンチを切り抜けた桐生第一はその裏（6回裏）、先頭の7番・小野 柊人が二塁打を飛ばし、犠打で三塁に達すると、再登板の千葉明徳・鈴木から9番・齋藤 馨がきっちり犠飛を放って、小野をホームへ還す。好機を逃した千葉明徳と、確実にものにした桐生第一。6回の攻防で、試合の流れは完全に桐生第一に傾いてしまった。
それでも千葉明徳は8回表、先頭の6番・菅井 紀美靖（1年）の中前打などで一死二塁として喰らいつく。だが二死後、桐生第一は右下手投げの青木 快人（2年）につなぐ盤石のリレー。サブマリン・青木は失策と死球で満塁とされたが後続を断ち、ピンチを切り抜けた。千葉明徳にとっては6回に続いてあと1本が出ない、悔やまれるイニングになってしまった。
決着がついたのは8回裏。桐生第一は左翼に回っていた6番・内池のヒットを取りかかりに、二死二、三塁の得点機をつかむ。すると9番・齋藤がこの試合2本目となる適時打をセンターへ。桐生第一に7点目が入り、桐生第一の8回コールド勝ちと、2回戦進出が決まった。
2回戦でぶつかるのは埼玉1位の浦和学院。桐生第一にとって浦和学院は、福田 治男監督と森士監督が上尾、東洋大を通じての先輩・後輩という関係から、よく練習試合をする間柄でもある。互いの手の内を知る名将同士の激突は目が離せない熱戦になりそうだ。
千葉明徳は悔しい初戦敗退となったが、マナーがいい気持ちの良いチームだった。7回のエール交換の際、応援席の控え選手、チアリーダー、そして吹奏楽部員が、桐生第一のエールに対し、深々と頭が下げていたのも強く印象に残る。甲子園優勝の経験もある名門と大舞台で戦った得難い経験を来春、来夏の戦いにつなげてほしい。
また8回二死まで無失点の桐生第一のエース・内池 翔は楽しみな投手。67?とやや細身なだけに、ひと冬越して下半身に厚みが増せば、もっと球速が上がりそうだ。
（取材・文＝上原 伸一）
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