滋賀学園vs龍谷大平安

両エースの明暗

神村月光(滋賀学園)

　滋賀学園は1回に先制を許すが、その裏に四球三つで満塁のチャンスを作ると、4番・馬越大地(2年)の内野安打で同点。7番・山口竜輝(2年)のライト前タイムリーで逆転に成功した。

　先発の神村 月光(1年)は2回以降、龍谷大平安打線を4安打無失点と立ち直った。打線は中盤以降も相手の四球やミスなども絡めて得点を重ね、7回には一挙3点を奪って7点差となり、コールドゲームが成立。近畿大会初の決勝進出を果たした。

　校歌を歌いながら滋賀学園の選手たちは、｢ヒット数は龍谷大平安の方が多い｣と感じ、コールドゲームで勝ったことに驚いた。勝負のポイントは1回の攻防。龍谷大平安の市岡 奏馬(2年)が立ち上がりに苦しむ前に、滋賀学園の神村も立ち上がりが不安定だった。一死二塁から連打で1点を失う。ただ2点目をセンター・西村 大樹(2年)がホームへ好返球して凌いだ。これが｢大きかった｣と神村は胸をなで下ろした。その裏に味方打線に逆転してもらい、1年生右腕はリズムにのった。｢龍谷大平安は凄いチームで、少しでも甘くなると打たれる。1球、1球ていねいに投げました｣と2回以降は得点を与えなかった。さらに1回に打たれた球が変化球であることも見直し、直球主体の配球に切り替えたことも功を奏した。山口達也監督も｢落ちついて投げられるようになった｣とエースの成長を感じている。滋賀3位から近畿大会決勝へ進出。連戦になるが、｢ここまできたら決勝を勝って神宮大会に行きたい｣と目を輝かせた1年生エースが、大阪桐蔭に挑む。

　一方、敗れた龍谷大平安の原田英彦監督は、エース・市岡の乱調を嘆いた。｢この秋に市岡を自立させたかったが、できなかった。相手のヒット数の方が少ない。本当に自滅ですね｣。この試合で市岡が投じた126球のうち、70球がボールだった。｢メンタルの部分しかないです。初回からちゃんと投げられるようにルーティーンもやらせているが、(市岡は)自分で義理でやっているだけ。感じていない｣と乱調の原因を分析した指揮官。｢帰って練習してきます｣と話し、球場をあとにした。