明徳義塾vs新田

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侍戦士・西浦 颯大(明徳義塾)、覚醒の4打点!

9回裏に右中間最深部に2ランを放った新田5番・工藤 耀介(1年・右翼手)

 甲子園での見慣れた風景がJAアグリあなんスタジアムに数年をかけて到達。秋季四国大会での1試合3本塁打以上は2006年10月28日の1回戦・丸亀城西vs新田(スコア15対12)において丸亀城西が4本塁打をマークして以来である。

 しかも3本塁打はいずれも豪快だった。勝利した明徳義塾は4回表に5番・平石 好伸(2年・一塁手・左投左打・187センチ81キロ・浜寺ボーイズ<大阪>出身)122m先に立つバックスクリーン中央部にぶつける推定130mの高校通算第1号弾。

 一方、新田も9回裏に3点ビハインドを追う土壇場で5番・工藤 耀介(1年・右翼手・左投左打・172センチ70キロ・松山ボーイズ出身)が右中間最深部に打った瞬間わかる2ラン。秋季四国大会8打数7安打・秋季公式戦通算26打数19安打の3番・黒川 貴章(1年・三塁手・178センチ69キロ・愛媛ボーイズ出身)含め、敗戦の中にも打線に大きな光明を見出せる一戦となった。

 そしてこの男にも3回表に待望の先制3ランが。2014年・第2回IBAF15U野球ワールドカップ(大会7位)で侍ジャパンU-15代表のユニフォームを身にまとった3番・西浦 颯大(1年・右翼手・右投左打・177センチ65キロ・熊本北リトルシニア出身)がこの新田戦でついに覚醒した。

3回表明徳義塾二死一・二塁から3番・西浦 颯大(1年・右翼手)が先制3ラン

 その一因には1週間前から変えた右脚の使い方がある。これまでは右脚を大きく上げ、着地と同時に強いスイングをすることを心がけていた西浦 颯大。しかし、夏から秋にかけては相手投手によるストレートと変化球とのコンビネーションに対し、待ちきれずタイミングを崩されフライを上げるシーンが目立ち、打率も低迷。夏に甲子園ベンチから外れる屈辱を味わっても、状態は一進一退であった。

 そこで見かねた馬淵 史郎監督が西浦に声をかける。「お前はしっかりミートすれば速い打球が打てるんだから、すり足で打ってみたらどうだ?」

 これが功を奏した。ホームランは真ん中外よりのストレートを身体が開くことなく、しっかりバットにミートしながら乗せ、ライト芝生席に弾丸ライナーで運んだもの。さらに7回表一死満塁の場面では真ん中アウトコース低めのストレートをセンターまで運び、犠牲フライで貴重な5点目をもたらした。

「2つとも今までだったら内野フライでした」。中学通算32本塁打のプライドを捨てたフォーム変更。これが明徳義塾に勝利と3年連続21度目の大会ベスト4をもたらしたのである。

 とはいえ、西浦にとってここまで高校通算10号・公式戦1号は到底納得いく実績ではない。「僕も2年後の侍ジャパンU-18代表を狙っている。そこを目指して頑張りたい。清宮( 幸太郎・早稲田実業<西東京>1年)くんのレベルに少しでも近づきたい」そこに最短距離で到達するための手段である「センバツ出場濃厚」まであと1勝。土佐との同県対決でも西浦の重要性はますます増していく。

(文=寺下 友徳)

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