開星vs出雲

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開星が劇的な逆転サヨナラ劇で島根勢対決を制する!

開打線を苦しめた加藤雅彦(出雲)

 開星vs出雲。 島根勢対決はまさに手に汗握るような試合展開となった。あわや出雲の金星が見られるかもしれない試合展開だった。広島国際学院を破り、さらに開星に対してもあと一歩まで追い詰めた出雲は、一体、どんな学校なのだろうか。学校の創立大正9年。昭和23年に出雲高校となり、今年で創立95年目となり、平成25年からスーパーハイエンススクールとなっている。これまで県大会春4回、夏2回、秋2回と優勝しているが、いまだ甲子園出場無しで、そして県内大規模の公立校として注目される出雲は島根県でも由緒ある伝統校である。そういう学校が私学相手に健闘を見せる。スタンドの雰囲気は当然、出雲推しだ。 開星サイドは「やりづらいなぁ」という声が殆どだ。出雲の先発・加藤雅彦(2年)は島根秋季県大会準決勝の開星戦に先発し、3失点の好投を見せている投手だった。その3失点に試合序盤に出た3ラン。これは「エンドランのサインを送っていてたまたま出たものなんです。抑えられた感じしかなく、彼が来ることが分かっていました」と想定通り加藤が来たが、なかなか加藤を打ち崩せない。

 これも想定内で、5回まで接戦に呼び込んで後半勝負にもっていこうと思っていたが、5回表、9番加藤に適時二塁打を浴びて、1点の先制を許す。さらに6回表、無死満塁からしっかりと6番吉井 大輝(2年)がスクイズを決め、2対0とリード。さらに二死満塁から敵失でさらに2点を追加し、4対0とする。開星の先発・吉川 貴大(2年)は右上手から常時135キロ前後の速球を計測する好投手。速球に狙い球を絞り、コンパクトに振り抜くミートバッティングで吉川を打ち崩していった。

 しかし6回裏、一死から8番元谷力気(2年)が二塁打を打ってチャンスを作ってから流れが変わり始める。9番葉田翔人(1年)のバント安打で一死一、三塁のチャンスを作ると1番近藤一聖(2年)の左中間を破る適時二塁打で2点を返し、近藤も三塁に向かい、一瞬、暴走かと思えたが、捕手が悪送球をしてしまい、外野へ転々とする間に近藤も生還し、4対3と一気に1点差に迫る。

同点本塁打を放った瀬戸口恵大(開星)

 「これでいける」というムードになった開星。7回裏の攻撃が始まる前、山内監督は、「これで逆転勝ちした時の喜びをイメージしてみろ。興奮するだろ?」と選手たちに目をつぶらせて、逆転するイメージをさせた。

 そして8回裏、一死一、二塁のチャンス。ここで出雲は守りのタイム、開星は攻撃のタイムを取った。お互いがポイントを分ける場面と考えていたのだろう。緊張感を感じさせる1シーンだった。しかし近藤は一ゴロに終わり、2番門脇諒(2年)も良い当たりが正面につく当たりとなり無得点。残すは1イニングとなった。

 そして9回表、無得点に抑え、迎えた9回裏、先頭は3番瀬戸口恵大(2年)。山内監督は「とにかく振っていけ!」と指示をした。瀬戸口も「強く振ること」を意識した。この考えが奏功した。甘く入ったスライダーを強振。打った瞬間、開星ベンチが一気に立ち上がる豪快な当たりはあっという間にライトスタンドへ飛び込む同点ホームラン。まさに起死回生の当たりである。そして4番福間塁(2年)もあわやホームランと思わせるフェンス直撃の二塁打となり、無死二塁とサヨナラのチャンスを作る。その後、一死一、三塁となり、7番吉川が中前適時打を放って、サヨナラ勝ち。逆転勝利でベスト4進出を決めた。

 この劇的な勝利に、選手、首脳陣が感涙。スタンドへ挨拶した後、山内監督と選手たちが抱き合って喜んでいるのだから、どれだけ苦しい試合だったかを物語っているだろう。1回戦では好投手・堀 瑞輝擁する広島新庄にコールド勝ち。そして今日は逆転サヨナラと見事な戦いぶりを見せている開星。「準決勝は百戦錬磨の長澤監督が率いる創志学園。力のあるチームですので、この1週間、健康管理、メンタル面の保ち方までしっかりと準備を心掛けたいと思います」としっかりと次を見据えていた。

 お互い逆転勝利した同士の対決。そしてともにエネルギッシュな同士なチーム。激戦になることを期待したい。

(文=河嶋 宗一)

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