市立和歌山vs平城
七野怜(市立和歌山)
市立和歌山といえば、守備のチーム。半田監督は「守備のチームであることは変わりません」と語るように、選手の動きを見ると実に鍛えられていることが良く分かる。この試合はとにかく打線が当たっていた。「うちはつなぎの打線なので、しっかりとセンター返ししてくれました」と振り返るようにライナー性の打球がつぎつぎと飛んで行った。1回表、一死三塁から3番七野玲(2年)の右中間を破る二塁打で1点を先制。だが1回裏、二死二塁からタイムリーエラーで同点を許す。まだ初戦ということで硬さがあったが、2回以降、市立和歌山打線がつながりを見せる。
2回表には二死満塁から3番七野の左中間を破る適時二塁打で2点を追加し、そして3回表には二死一塁から9番濱野匠吾(2年)が左中間を破る三塁打、1番山崎の適時打で5対1として、4回表には二死二塁から6番北村竜士(2年)の中前適時打、7番岡本尚輝(2年)の中越え適時三塁打、8番赤羽が右中間を破る三塁打で8対1とすると、5回表には打者10人、4安打、2四球を集中させ、一気に5得点を奪い、13対1とした。
投げては赤羽が好投を見せ、5回二死まで1失点に抑えると、2番手の栗栖拓巳(2年)が占めて、5回コールド勝ちで準々決勝進出を決めた。この勝利に対し、半田監督は「今日はよく打線が当たっていたと思います。しかし打線は水物なので、次の準々決勝は今まで鍛えて上げてきた守備を発揮したいと思います」と意気込みを語った。 14安打12得点の猛攻を見せた市立和歌山。その中で打撃センスを感じさせたのが3番七野だ。「インパクトまで最短距離で出して、回転で打つことを意識しています」と語るように、スクエアスタンスで構え、早めの仕掛けで始動し、すり足気味出足を上げて、真っ直ぐ踏み込んで打ちに行き、インパクトまでロスのないスイングができており、しっかりと体が回転できているので、強い打球を打ち返すことができているのだ。 常時130キロ前半の速球、スライダーでしっかりと投げ分けゲームメイクできるエース・赤羽の存在も大きく、攻守でまとまった野球ができる市立和歌山。次は明石商との公立対決となるが、ハイレベルな戦いが期待できそうだ。
(文=河嶋 宗一)
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