何だか、日本代表とは違うよなあ──国際Aマッチデイを終えて所属クラブに戻った選手たちのプレーに、日本代表とのギャップを感じた。

 10月13日のイランとのテストマッチが1対1のドローに終わると、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「フィジカル面で自分たちより強い相手に対して、どう戦うのかが重要だった」と話した。「我々はテクニックを使ってゲームを支配すべきだった」とも語った。

 イラン戦の映像を、もう一度観てみる。

 テクニックを使ってゲームを支配するような戦いを、日本はしていたのだろうか。各選手が技術力を存分に発揮できる距離感や連動性を、ハリルホジッチ監督は大切にしているのだろうか。

 やっていない。

 イランがフィジカルを生かせるような試合に、他でもない日本が邁進していた。何よりも気になったのは、選手たちの表情である。楽しそうでないのだ。

 国際試合ならではの責任感はあるだろう。それにしても、息苦しそうな表情が並んでいる。躍動感のあるプレーが見られないのも、無理のないことだ。

 イラン戦から3日後、ドルトムントに戻った香川がリーグ戦に先発した。フィジカルに悩まされることもなく、伸び伸びとプレーしているように見えた。ブンデスリーガでの彼は、自らが持つテクニックやアジリティを生かすことができている。

 ハリルホジッチ監督が3月末に就任して、もうすぐ7か月になる。これまで消化したゲームは「11」を数えるが、チームの進歩はゆっくりとしたものと言わざるを得ない。日本人選手の良さを、指揮官が引き出していないのである。

 イラン戦後のハリルホジッチ監督は、「まだまだトレーニングが必要だ」とも話した。もはやお馴染みになりつつあるコメントだ。

「トレーニングが足りない」と繰り返すが、そもそもどのようなトレーニングをしているのだろう。ほとんどが非公開なので詳細は把握できないものの、ピッチ上でのパフォーマンスは雄弁だ。効果的なトレーニングをしているとは思えない。日本人選手の、日本サッカーの特徴を引き出すための準備には、なっていない。

 イラン戦に先立って行われたシリア戦に勝利し、日本はロシアW杯2次予選でグループ首位に立った。だが、シリアがカンボジアに勝利したことで、再びグループ2位に転落している。

 消化試合数はシリアが多い。11月に行われるシンガポール、カンボジアとのアウェイゲームに連勝すれば、グループ首位に返り咲くことはできる。

 彼我の力関係を考えれば、日本が東南アジアの2か国に負けるとは考えにくい……が、6月のシンガポール戦の記憶もある。

 何よりも不安をかきたてるのは、チームのパフォーマンスだ。現状では限られた活動が積み重ねになっておらず、6月のシンガポール戦から大きな変化は見られていない。選手同士のコンビネーションなどに成長はあるものの、それはシンガポールにも共通する。カンボジア、アフガニスタン相手に勝点をしっかりと重ね、3勝1分1敗で日本を追走している。
 
 はっきりしているのは、チームの強化は思った以上に進んでいないということだ。そして、このままでは最終予選での苦戦が避けられない、ということである。