信じたスプリット

2試合連続完封の吉高壯(明石商業)

 報徳学園打線を6安打に抑え、準決勝に続く2試合連続完封。明石商のエース・吉高 壯(2年)は、最後の打者を打ち取ると大きくガッツポーズ。「夏決勝で(滝川第二に)負けて悔しい思いをした。この秋の大会は絶対に優勝してやろうと思っていました」と169センチ70キロのエースは満面の笑みを見せた。

 武器になったのは鋭く落ちるスプリット。キャッチャーの藤井聖也(2年)も、「スプリット中心の組み立てだった」と話すほど自信を持つ球種だ。苦しかった6回、一死一、二塁のピンチでもスプリットを信じた。藤井も「絶対に止める」と気迫を見せ、報徳学園の3番・多根井蒼太(2年)を三振にとった。さらにスプリットを意識づけたことが生き、次の4番・小松田卓宏(2年)の三振はカーブ。巧みな投球術で、近畿大会をにらんで偵察に訪れた他府県のチーム関係者にも、『兵庫に吉高あり』を印象づけた。

 攻撃では報徳学園の左腕・主島 大虎(2年)との1点勝負の展開をモノにした。先取点は4回の6番・藤井が放ったタイムリー。二死二塁、カウント3ボール1ストライクで、主島が何としてもストライクを取りかかった場面。それを読んでいた藤井は、「内角を張りながら高めにきた」と思い切って振り切った。打球はレフト前へと落ち、二塁走者がホームイン。一塁に達した藤井は「ヨッシャー」と声を挙げた。

 実は前の打者である吉高が、藤井の打席の直前にショートゴロを放ち、一塁にヘッドスライディングをしていた。これを見て藤井は「ピッチャーがヘッドスライディングをするのは珍しい。吉高を援護したかった」と奮いたっていた。因みに当の吉高はベンチに戻り、「(ケガのリスクや体力を使うので)無理をするな」とナインから怒られていたことを苦笑いしながら明かした。

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好投も2点に泣いた主島大虎(報徳学園)

 夏に続いて報徳学園を破り、秋の県大会初優勝。狭間善徳監督は、「これまで報徳学園に6連敗してきた。勝負とは不思議なもので、勝ちだすと勝ち続くんですね」と勝負師の眼差しで喜んだ。準決勝で勝ち32年ぶりの近畿大会出場を決めたが、「相手は絶対に主島君が連投してくるのに、お前が肩や肘張ってる言うたらカッコ悪いよなと言った後に、どやと聞いたら大丈夫ですと吉高は言いました」とエース連投で決勝に勝つことにこだわった。そのエースは2試合連続完封で応え、「シビれました」と指揮官に言わしめた。

 近畿大会へ向け、「備えが大事。昨日も今日も大阪など他府県の試合の映像を撮りにいっている。それを見て、次に備えたい」と抱負を語った狭間監督。エースも「近畿を勝って明治神宮大会まで行きたい」と胸を弾ませた。

 敗れた報徳学園の永田裕治監督は、「悔しいですね。主島は泣いていました。でも、今日のピッチングは良かったと思います」と話し、7安打2失点で粘ったエースをねぎらった。攻撃では、「クリーンアップが・・・」と課題が明確になった。二学期制のため今週は秋休み中。授業がないこの期間を利用してさらに厳しい練習を重ね、近畿大会に備える。

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