神戸国際大附vs尼崎小田

11安打打たれるも無失策の守備が光る！好投手・禿を打ち崩し、神戸国際大附が初戦突破！

　春の近畿王者の神戸国際大附が初戦を迎えた。接戦になるかは尼崎小田の秃 保成（かむろ・3年）がカギを握っているといってもいいだろう。

　立ち上がり、三者凡退に切り抜けた禿。ワインドアップから振り下ろす最速138キロのストレートは角度があり、120キロ前後のスライダー、フォーク、110キロ台のカーブ、変化球の精度が実に良い。これは神戸国際大附が苦しむかと思われたが、2回表、二死二塁から7番松田崚佑（3年）が高めのストレートを引っ張り、適時三塁打で先制すると、さらに8番植村 真也（3年）の三塁強襲安打で2点を先制。そして9番東郷 太亮（2年）が右翼線二塁打で二死二、三塁のチャンスを作ると、1番小原良太（2年）の場面で、牽制ミスで3点を先制する。

　一方、神戸国際大附の東郷は立ち上がりから尼崎小田の攻めに遭い、3イニング連続で、得点圏に走者を進めるも、無失点に抑える。この日は常時135キロ前後で最速138キロと140キロ越えは1球もなかったが、以前よりも荒れ球が少なくなった印象。良く言えばまとまっているともいえるが、この日は綺麗に揃いすぎて、尼崎小田打線に捉えられた形となっていた。　4回裏、一死から尼崎小田は6番徳永悠太（2年）が二塁打を放ち、再びチャンスを作る。ここで東郷投手は降板。ここまで被安打5と傷口が広がる前に危険回避の継投策といえるだろう。

　2番手のエースの塩田 大河（3年）は以前よりも腰の横回転を抑え、縦の動きを意識した投球フォームとなっていた。球速は、135キロ前後だが、カーブ、フォーク、スライダーと緩急を使い分けながら尼崎小田打線を抑えていた。投手としてまとまりが出てきた。ピンチでもうまく動じずに投げることができている。　禿はコントロール重視の投球で立ち直りを見せていた。5回二死一塁から4番谷本 進太郎（3年）が高めに入った抜け球を見逃さず豪快な2ラン！禿はカーブはブレーキが効いており、フォークもしっかりと落ちて、ストレートだけの投手ではないところを見せていたが、たまに浮くボールを神戸国際大附打線は見逃さなかった。

　とはいえ、好投手であることは間違いない。　大きく振りかぶったときの背中の反り具合が素晴らしく、背筋の強さがうかがえる。左足を胸元まで高々と上げていきながら、下半身主導のフォームは土台が良く、さらに体ができれば、スピードは格段に速くなることが考えられ、何より変化球の精度が高く、次のステージでうまくステップアップできれば脚光を浴びる存在となりそうだ。

　塩田は尼崎小田打線を凌いでいたが、8回裏、、一死三塁のチャンスから3番宮崎 俊晃（3年）の適時打で1点を返され、さらに一死満塁から併殺崩れで5対2と3点差に迫られるが、9回表、堀本元太（2年）が左中間を破る三塁打を放つと二死三塁となって、5番妹尾克哉（2年）がレフト線を破る適時三塁打を放ち、6対2と大きな追加点を入れる。

　その裏、塩田が守りきり、初戦突破を果たしたが、尼崎小田が11安打を放ったが、かなり対策をして、本戦に臨んできたように感じた。初戦からかなり苦しい試合運びとなったが、今後の試合でも同様な試合運びが考えられるだろう。その中でも無失策で試合を終えたのは次につながるだろう。何より7回表、一死満塁のピンチで併殺に切り抜けたこと。9回表に追加点を加えたこと。この場面はさすが近畿王者と思わせる戦いぶりであった。

　この日は3番竹村、4番谷本は不動だったが、他の選手たちは大きく打順が変わっていた。その中でも光っていたのは、3番竹村と8番植村。竹村は癖のないスクエアスタンスから、甘い球は見逃さず、ライナー性の打球を連発。この日は一塁手を守っていたが、本来は外野手を守れる選手。相変わらず器用な姿を見せている。そして植村だが、青木監督が「試合の流れを読める選手」と絶賛していたように、ボールを捉えるセンスの高さ、勝負所で適時打を打てる頼もしさ、野球勘の良さ、フットワークが軽快な守備と攻守のバランスが取れた遊撃手で、この選手が8番にいるのは怖い。

　全国各地でいろいろなチームを見てきたが、今年の神戸国際大附は戦いの引き出しが広く、遊撃手の植村や、リードセンスが長けた松田など、野球を知っている選手が多いのが強みで、苦しい試合のように見えても、流れを明け渡さない戦いができていた。

　独特の夏の公式戦の緊張に慣れた次の試合ではどんな試合運びをするか注目だ。

（文＝河嶋 宗一）

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