北朝鮮の民兵部隊で、突然人員が総入れ替えになるという事態が起こった。背景には「女性問題」があったというが…。


朝鮮人民軍海軍の女性兵士(本文とは関係ありません)

北朝鮮の民兵組織「労農赤衛隊」には、常設民兵部隊として「人民保衛隊」がある。もともと人民保衛隊には若い女性が多かったが、ここにきて軍隊勤務経験のある47才以上の男性に総入れ替えされたと米政府系のラジオ・フリー・アジアが伝えた。

「人民保衛隊」のメンバーは、身長147センチ以上の20代女性から選ばれていた。職業軍人と同じ待遇を受けて、建設現場や農村支援などの様々な動員が免除される。

「人民保衛隊」は、各市や郡の水源、糧政事業所(精米所)、2号倉庫(軍用米備蓄倉庫)、4号倉庫(軍事物資備蓄倉庫)、銀行の支店などに置かれており、市や郡ごとに50人程度、全国的には10万人の兵力を擁すると言われている。

この人民保衛隊が「総入れ替え」になったのは、ある事件がきっかけだった。

事件は、平安南道(ピョンアンナムド)の安州(アンジュ)市で起きた。炭鉱の人民保衛隊の責任者が、部隊の建物を売春組織に貸し出し金銭を受け取っていた。さらに、隊員たちも売春行為を行っていたというから、未曾有の大不祥事だ。

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さらに、若い女性ばかりが集まっていることから、様々な事件を起こしてきた過去があり、住民たちの評判もよくなかったという。

RFAの両江道の情報筋によると、その事件をきっかけに各地の人民保衛隊が規模の大小を問わず解散に追い込まれているが、概ね好評で次のように語る住民もいるという。

「人民の感情を汲み取った措置なんて今回が初めてじゃないか」