興南vs九州学院
2011年5月、熊本県側からの提案で両県の親善交流を深めつつ、且つ互いの強化を図ることを目的とした熊本・沖縄親善交流強化試合が9、10日の両日、沖縄セルラースタジアム那覇にて行われた。
比屋根だけじゃない!興南に新たな柱が誕生!好投を見せた宮里投手(興南)
第136回九州地区高校野球大会にて延長12回で18個もの奪三振ショーを演じた左腕・比屋根 雅也を擁する興南。だがこの試合で先発を任されたのは背番号10の宮里 匡輝だった。その宮里だが、初回の九州学院を三者凡退に斬ると、序盤の3回まで5番友田 晃聡の四球のみに抑える好投を見せた。九州学院ナインが手元で変化する、というようなジェスチャーを次打者に伝えるが、それでも捉えられず、7回に降板するまで25人中僅か1安打、8奪三振の快投を見せた。
「(春季県大会を含め)今まで投げさせなかったのは、なにも出し惜しみではなく、体が出来ていなかったからだよ。」とは試合後の我喜屋優監督談だ。エース比屋根は終盤の2イニングに登板。8回に1番長谷川 大将にライトオーバーの二塁打を放たれるも次打者をショートゴロ。最終回は先頭打者に四球を与えてしまったが、後続の二人を連続K斬り(三振、盗塁死の併殺で試合終了)。宮里-比屋根のリレーで、秋の公式戦で平均7点以上を挙げた九州学院打線を2安打、三塁を踏ませないピッチングを披露した。
打線は3回まで、九州学院のエース伊勢 大夢の前に上門洸輝のヒット1本のみに抑えられていたが4回、先頭の比嘉龍寿がセンター前へ運ぶとすかさず盗塁を決める。このチャンスに不動の4番喜納 朝規が、センターオーバーの適時三塁打。2ボール0ストライクから、カウントを取りに来た球を逃さず振り抜いた見事な打席だった。だが伊勢も、秋の九州の頂点を極めたピッチャーだけあって常に冷静。身上とする打たせて取るピッチングで次打者を浅いライトフライに斬ると、後続を三振、セカンドゴロにしとめ、無死三塁からの追加点を与えない素晴らしい投球を見せた。
興南は7回裏、具志堅大輝がライト前ヒットで出塁すると犠打と佐久本一輝のセンター前ヒットで一・三塁とすると、左の上門ということでノーマークの九州学院野手陣の意表を突くスクイズで2点目を奪った。伊勢の前に僅か5安打と苦しめられたが、二つしか無かったチャンスを確実に点に結びつけた、ここぞというときの集中力は、さすが春季優勝校といったところだった。
(文=當山 雅通)