GW明けに何が起こるのか(写真はイメージです)

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 春の人事異動が落ち着く5月の連休明け、新たな陣容を構成した捜査当局が、反社会的勢力(反社)との関連が疑われる企業の摘発を強めそうな気配だ。

 筆頭は、東京都港区に本社を置くジャスダック上場の食品事業会社、旧プリンシバル・コーポレーション(現・グローバルアジアホールディングス)。すでに3月18日、粉飾決算をした疑いが強まったとして、警視庁と証券取引等監視委員会(SEC)により家宅捜索を受けている。社会部記者が話す。

「同社は2014年5月に増資を発表し、東京都中央区の証券会社が新株予約権を引き受けて約2億1200万円を払い込んだのですが、ほぼ全額が直後に何者かに引き出されているんです。このうち約1億9000万円は当時の経営陣らに横領された疑いがある。ここまでならSECが動けばいい話なのですが、今回は警視庁の組織犯罪対策3課が動いている。というのも、引き出された資金の一部が暴力団などの反社に流れている可能性があるからなのです」

 近年、反社の資金獲得活動は暴対法の強化や暴排条例の全国施行を受けて、かなり自由度を失っているはずだ。警察がここへきて取締を強化するのはなぜなのか。

「反社は活動の自由度を失った分、捜査の網に引っかかり易くなっているのです。つまり、大物を逮捕できる可能性も増している。昇進を狙う捜査幹部らがここぞとばかりに、現場にハッパをかけているのです」(前出・社会部記者)

 では、プリンシバルのほかにはどのような対象が、警察による「反社狩り」のターゲットになるのか。警察と反社の両方に人脈を持つ金融ブローカーは、次のように話す。

「警察がいちばん捕まえたがっているのは、都内に事務所を構える山口組の企業舎弟のUだろう。ここには半グレの関東連合関係者も出入りしていて、当局が前々から目を付けていた。しかし順番から言うと、プリンシバルの次はインスパイアーの粉飾決算かも知れない」

反社に翻弄される末端社員の生々しいメール

 当局から粉飾決算の疑いを持たれているソフトウエア開発会社・インスパイアーについては、2014年の段階で写真週刊誌『フライデー』(講談社)や『読売新聞』が大きく報じている。また、同社からの資金流出を調査するために設置された第三者委員会は、社員同士でやり取りされた次のような文面のメールを発見している。

<いったいぜんたい、あの1.67億円はどこに消えたのでしょうか。昨日どこかに持って行った45百万円で全部終わりですか。結局、調達した資金はどこかに消えた、借入金は未返済のまま、と言う状況で、どうして4/20や4/30に資金が正常化できると言っているのかが分かりません>(ママ)

 得体の知れない勢力に翻弄される末端社員の、生々しい肉声と言える。警察やメディアのターゲットになりそうなネタは、これらばかりではない。

「2012年から2014年にかけて、不動産会社のランド(横浜市)が金融商品取引法違反を疑われ当局の捜査対象になりました。これについては嫌疑が晴れ、一件落着となったのですが、同社が注目される中で、別の問題が浮上してきたのです。まだ具体的なことは言えませんが『G』という監査法人の設立資格に関わるものです」

 多数の上場企業の監査を請け負う監査法人が、法令に違反して設立していたとなればマーケットは大混乱になりかねない。今後しばらく、捜査当局とマーケットの動向から目が離せない。

(取材・文/三城隆)