明日への朗報〜〜サイベースクラシック第1ラウンド
![難しいコースに「とっても、頭を使う」 (Photo JJ.Tanabe)](https://image.news.livedoor.com/newsimage/3/8/36_a58ff813176a661105b9cb30411ba7bb-m.jpg)
会場のワイカギルは全長6223Yと距離が短いもののフェアウエイもグリーンも傾斜に富み、ラフも深くて難しい。ホールの両サイドに立つ木々の枝葉が張り出しているため、フェアウエイは一層狭くなる。砲台グリーンが多く、その手前の傾斜は芝が刈り込まれている。グリーンを狙ったショットは、少しでも距離が不足すれば、容赦なく手前へ手前へと転がし戻される。そしてグリーンは、小さめではあるが、微妙なアンジュレーションがいっぱい。そんな難コースを水曜のプロアマで初めて回った宮里藍は、「すごく難しい」と警戒心を示した。「ティショットがキーになる」という言葉は、フェアウエイキープが絶対条件であることを示していた。ラフに入れたら出るかどうかもわからない。たとえボールが浮き気味でライが良かったとしても、ラフからのショットは距離感も狂いがち。方向性もどこまで出せるかは疑問だ。
「パー5で(バーディが)取れなかったわりには我慢した」という耐えるゴルフが続いたが、ターニングポイントは17ホール目の8番でやっと到来した。フェアウエイからのセカンドショットがピン3メートルへ。これを沈めてバーディ。「お願いだから入ってくれ」と言わんばかりの体を折り曲げたポーズから願いが伝わったかのように、ボールは最後の日と転がりでカップに沈んだ。続く最終ホールもフェアウエイからの第2打が5メートルに付いた。バーディパットはカップ手前の淵で止まってしまったが、最後の最後に流れが良くなったのは、明日への朗報だ。
「読みも尻上がりに良くなってきている」と宮里。曲がっていたティショットも「そんなに大きな問題はない」。ラフから出せないのは「パワー?うーん、この芝はみんなそう」。前向きな分析は、確かにその通りだと思う。深く粘りのあるラフは、タイガー級のパワーヒッターにとっても大敵だ。ラフに対抗できる筋力を望むより、ラフに入れないことこそが大切。ティショットの立て直しがゲーム全体の立て直しにつながるであろうことは、宮里自身が一番よくわかっているはずだ。
諸見里しのぶが崩れた原因。これまた本人が一番よく認識していた。「朝から嫌なことがあってイライラしていた。私的なことを持ち込んじゃいけないのに、それで崩れたらアマチュアと変わらない」。私的なことが何なのか。あくまで私的なことゆえ、あえて追求はしなかったが、よほどショックなことだったのだろう。唇をギュッと結んで取材陣に気丈に答えた諸見里は、記者の群れから離れた途端、こらえ切れず泣き出した。だが、「メンタル面のコントロールができなきゃ。まだまだプロじゃない」とは自身の言葉だ。今日は精神的な原因で崩れたが、明日、前進できればいい。立ち切れるかどうか。忘れられるかどうか。巻き返せるかどうか。そこに、プロらしさが表れる。落ちても落ちても這い上がればいい。まだ19歳なのだから、そうやって少しずつ強くなっていってくれたらいいと思う。
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