ニッポン放送の株主総会後、記者団に囲まれるM&Aコンサルティングの村上代表(撮影:吉川忠行)

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9月を目途にフジテレビ<4676>に完全子会社化されるニッポン放送<4660>が24日、上場会社として開く最後の定時株主総会を開き、大株主でM&Aコンサルティング(東京都港区)代表の村上世彰氏も出席した。

 村上氏は、03年ごろから同社株を買い進め、同年7月には第2位株主に浮上、同10月には16.6%を保有し、一時は筆頭株主に。直近の大量保有報告書によると、約6%保有している。同社の経営権をめぐって繰り広げられたライブドア<4753>とフジテレビによる争奪戦では、村上氏の動向が注目された。

 総会終了後、村上氏は記者団に対し、次のように語った。

─ ニッポン放送の上場廃止について。

 もともと上場する必要がなかった会社。時間がかかったけれど上場廃止の大英断をされたことには感謝している。ニッポン放送がフジテレビの親会社として上場しているのは適切でない、と言い続けてきた。方向性としては正しい。

 少なくとも昨年の株主総会時点で上場は止めるべきで、現経営陣の時間軸は自分と違っていた。だが、最後は亀渕社長が体を張って頑張られた。

─ ライブドアとフジテレビの一連の騒動について。

 (フジテレビに対する)新株予約権の決議はありえなかった。ライブドアが差し止め請求するよりも自分が請求した方が良かった。ほとんどの個人株主はショックだった。あんなことは許されてはいけない。上場したら、マーケットを見てきちんとやって欲しい。特定の人に新株予約権を出すのはもってのほか。

─ 上場廃止されるニッポン放送株の回収を、1株あたり6300円の現金と交換する手法は。

 現金と交換するよりも、株主総会を通した普通の株式交換で、フジテレビ株と替えた方が良いと思う。

─ 一連の騒動で得をしたは誰か。

 この国、日本だとおもう。こんなことを真剣に考えることは今までなかった。これからもいろんな買収が出てくるし、買収は決して悪いことではないと思う。上場している限りは、新しい経営者に変わる可能性があるというのがまっとうな考え。テレビ局だって、ほとんどがPBR(株価純資産倍率)1倍以下。それで本当に良いのか、メディアで働く人にも考える良い機会だったと思う。

 フジテレビも得をした。1株あたりたったの6300円でニッポン放送を買い取れたのは大きな勝利だと思う。ライブドアに出資したのも「うまいことやったな」と思った。将来に価値が増し、フジテレビは大儲けすると思う。

 自分のファンド(村上ファンド)ももちろん儲かった。私の投資家のお金を1円でも多く増やすのが私の仕事の責務。

─ 会社は誰のものか。

 商法上は、株主総会で株主が大きな決定を行う。それはどこの国でも同じ。ただし、そのために従業員の首を切って良いのかという問題があり、それは労働関連の法体系できちっと対応しなければならない。だが、従業員が株主を選ぶということがあってはならない。

─ 東京証券取引所も05年度内の上場を計画しているが。
 
 株主じゃないから分からない。資金調達の必要性がないと言われているのに、なぜ上場するのか分からない。不思議に思う。

─ 第一製薬と三共の経営統合に反対されている。株を保有している三共の株主総会が、来週に控えているが。
 
 基本的に、株主総会はできる限り出るのが自分の責務。【了】

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