22日、ピークを迎えた株主総会、ソフトバンク(上)とソニー。(撮影:宗宮隆浩・常井健一)

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3月決算企業の定時株主総会が今週中盤から来週にかけてピークを迎える。東京証券取引所によると、集中日の来週29日には約6割に当たる1072社で開かれる。企業価値を強調する若手経営者の台頭や、「もの言う株主」の登場で、「企業は誰ものか」という根源的な問いが市井で話題に上がる。上場各社は、多くの課題を突きつけられる、これまでにない雰囲気の中、株主総会ラッシュを迎えている。

 ライブドアのニッポン放送株大量取得にまつわるニュースが2月上旬から連日報道され、関心を集めた。春には、タカラとトミー、ナムコとバンダイなどの経営統合、インデックスと在京民放など7社との資本・業務提携など、コンテンツ産業を中心に“大型”の企業再編が相次いでいる。また、トヨタ自動車やソニーでトップが交代、日清食品会長の安藤百福氏(95)や堀場製作所会長の堀場雅夫氏(80)、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏(73)、ドトールコーヒー社長の鳥羽博道氏(67)など“名物創業者”が経営の一線から退くなど、6月の株主総会を境に経営陣の刷新が目立つ。

 こうした潮目の変化を見据え、上場企業は敵対的買収の防衛策に奔走している。ブロードバンド通信大手イー・アクセスは22日の株主総会で、「ポイズンピル(毒薬条項)」導入に伴う定款(かん)の一部変更議案が国内で初めて決議された。24日に総会を控えているテレビ東京を皮切りに、各在京民放や松下電器産業でも買収防衛策が議案に盛り込まれ、決議される見通しだ。

 一方、不祥事を巡り企業のコンプライアンス(法令遵守)も焦点となっている。国が発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)を巡る談合事件で、先月に東京高検から起訴された大手鉄鋼メーカーのうち、三菱重工業や新日本製鉄、石川島播磨重工業が28日、横河ブリッジが29日に株主総会を控える。売買システム障害でヘラクレス市場への新規上場受付を一時凍結している大阪証券取引所では、22日の総会で、筆頭株主でM&Aコンサルティング代表の村上世彰氏が米田道生社長の責任を追及。大証は米田社長ら常勤取締役4人が月額報酬の50─20%、3カ月分を返上するとして、株主に理解を求めた。

 株主総会に来る面々にも変化が見られる。「買収防衛策とか、村上ファンドとか、最近話題になっているので、この日を楽しみに待っていました」。22日、過去最大の会場出席者数で開催されたソニーの定時株主総会の直前、初めて株主総会に参加したというTシャツ姿の男性株主(20代)は語った。

 企業側は、「新しい株主とコミュニケーションをしよう」「わが社のファンを増やそう」と株主との交流の場づくりに躍起だ。浜崎あゆみや大塚愛など人気歌手を擁するエイベックス・グループ・ホールディングスの株主総会には、所属歌手のイベントを楽しみに出席しようとする株主も目立つ。ソフトバンクの株主総会終了後には、孫正義社長と握手やあいさつをしようと、壇上には多くの株主が詰めかけ、孫社長を囲んだ。【了】

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