ゲーム系ニュースサイトから大手広告が消えるほどのダメージを与えている「Gamergate」とは?
By Jason Devaun
「ゲームに登場する女性キャラはいかにして性の対象として描かれているか?」がネット上で大きな注目を集めたりと、ゲーム業界やゲーマー文化に根付く「性差別」や「ジャーナリズムの腐敗」が世間を騒がせていたりするわけですが、そんなゲーム業界に関する建設的な意見を出し合おうという「Gamergate」運動がネット上で巻き起こっています。
What's happening in Gamergate? | The Verge
http://www.theverge.com/2014/10/6/6901013/whats-happening-in-gamergate
2014年8月、インディーズゲームの開発者であるZoe Quinnさんの元恋人であるEron Gjoni氏は、「Quinnは多くの男と浮気した。そして浮気相手の中にはゲーム系ニュースサイトKotakuでライターを務めるNathan Grayson氏もいたんだ。Quinnが浮気したのは自分が開発したゲームにKotakuから高い評価をもらうためだったんだ」という根拠のない誹謗中傷をネット上に公開しました。
しかし、Quinnさんの開発したゲーム「Depression Quest」は多くの称賛を受ける一方で、Gjoni氏の中傷により多くの批判もついて回り、一部のネットユーザーからSNSのアカウントやホームページに対するハッキング攻撃を受けたりと、いわれのない攻撃にさらされたそうです。また、Quinnさんはこの騒動から1カ月以上経過した現在でも多くの嫌がらせを受けている、とTwitter上で明かしています。
そして、Quinnさんとほぼ同じ時期にゲーム業界で話題となったのがフェミニスト批評家のAnita Sarkeesianさんの公開した「ゲームに登場する女性キャラクターはいかにして性の対象として描かれているか?」という内容のムービー。このムービーを通し、Anitaさんはゲーム上での女性の扱われ方に疑問を呈しているわけですが、詳細なムービーの内容については以下の記事を読めばよく分かります。
ゲームに登場する女性キャラはいかにして性の対象として描かれているか? - GIGAZINE
このように、ゲーム業界やゲーマー文化における「性差別」や「ジャーナリズムの腐敗」が世の中を騒がせたことで、掲示板サービスである4chanの中から「Gamergate」運動が誕生します。この運動は、「#gamergate」というハッシュタグをつけて、Twitter上でゲーム業界の今後について議論しよう、というもの。
Twitter上で「#gamergate」と検索してみれば、Gamergateがどれくらい大きな運動に発展しているのかは一目瞭然です。
その一方で、既存の「ゲーマー文化」に対する考えを守ろうとする人たちもおり、そういう人たちは「ゲーマーは女性嫌いな若い白人男性」のような古いステレオタイプにとらわれたままになっており、ゲーマーに対する偏見に満ちた広告をKotakuやPolygonのようなゲーム関連のニュースサイトに掲載していたりするそうです。
このような広告を減らそうという「disrespectful nod(失礼な認識)」キャンペーンもGamergateの運動の一環として行われており、この運動はアメリカの半導体メーカーであるインテルがゲーム関連ニュースサイトのGamasutraへ広告掲載するのを取りやめるほどの大きな運動になっています。
Intel issues #GamerGate apology, still not advertising at Gamasutra [Updated] | Ars Technica
http://arstechnica.com/gaming/2014/10/intel-folds-under-gamergate-pressure-pulls-ads-from-gamasutra/
インテルがGamasutraへの広告掲載を取りやめたのは、Gamergate運動により多くのユーザーがインテルの掲載している広告に対する苦情を送ったからだと考えられています。
Gamasutraは読者の質問にTwitterアカウントから答えており、インテルが苦情の殺到により広告の掲載を取りやめたことを明かしています。
@BuckSexington Yes, our partners at @intel were flooded with complaints over a recent opinion piece, and they did pull an ad campaign.— Gamasutra (@gamasutra) 2014, 10月 1
インテルは、先週の金曜日に自社ブログにて広告掲載を取りやめた経緯について説明しており、「我々は男女を平等にサポートしたいし、男女が同じように扱われるべきだと考えている。我々が意図せずそういった行為をとっていたせいで誰かしらを怒らせてしまったならば、そのことについては深く陳謝したい」とコメントを残しています。
大企業の広告を取り下げさせるまでに至ったGamergate運動ですが、ハッシュタグ「#gamergate」を検索してみるとごくごく稀に日本語のツイートも見受けられます。