韓国・珍島(チンド)沖で旅客船「セウォル号」が沈没した事故に続き、韓国ソウル市で2日、200人以上がけがを負う地下鉄の衝突事故が発生した。中国メディアの法制晩報は3日、「事故など緊急時における避難などアナウンスや指示に従うべきかどうか、韓国国民の間で迷いが生じている」と論じた。

 セウォル号の沈没事故では、乗客に向けて船内に留まるよう指示するアナウンスが放送され、結果的に多くの死者を出すことになってしまった。記事によれば、2日の地下鉄衝突事故においても事故後に「その場にとどまるように」と車内放送があったものの、多くの乗客が扉をこじ開けて線路上に逃げ出すなど、車内放送に従う人はほとんどいなかったという。

 韓国メディアは、セウォル号の沈没事故後で持ち上がった「乗客らは事故時のアナウンスに従うべきだったか」という考察が韓国国民に深刻な影響を及ぼしていると指摘。さらに地下鉄追突事故において乗客が車内放送に従わずに逃げ出したことについて、「沈没事故での考察は、その結論だけをほかのケースに適用することはできない」と論じた。

 記事によれば、韓国白石大学の崔英教授はセウォル号の沈没事故について、「学生らが指示に従って船内に留まった結果として、死者・行方不明者の増加につながった」と指摘。さらに地下鉄追突事故で多くの乗客が車内放送を無視したことについて、崔英教授は「セウォル号沈没事故の反省であると同時に、緊急時における避難放送や指示に対する不信感を示すもの」と論じた。

 続けて崔英教授は「緊急時における対応として、まずは指示に従うことが基本」とする一方、大事故などの発生時に指示が不適切であれば人びとの生命を危険にさらすことになると指摘、「韓国政府は再考が必要だ」と主張した。(編集担当:村山健二)