2014年5月3日、大阪市北区のフェスティバルホールでコンサートを行ったジャズピアニストのキース・ジャレットさんはステージ中数回に渡って演奏を中断し、そのまま退場した。

理由は観客のせきなどによって集中力がそがれてしまったためだという。コンサート終了後も30人ほどの観客が会場に残って抗議をする事態となった。

一部観客は深夜2時ごろまで会場に残って抗議

ジャレットさんはアメリカ出身のピアニスト、作曲家。ジャズやクラシックなどさまざまな音楽を手掛け、2003年には世界的な権威であるポーラー音楽賞を受賞している。

この日行われたコンサートでは、ほぼ満席の2700人近い観客を相手に即興のピアノソロを披露した。しかし、コンサート中に演奏を中断して舞台の袖へと退場。フェスティバルホールによると、観客のせきやかけ声によって「集中力をそがれてしまった」と説明したという。

その後も前列の観客がカメラを持って撮影するようなしぐさをしたり、話しかけたりすることが続く。計3、4回、最長10分強の中断があり、ジャレットさんがステージから退場し、コンサートは終了した。

19時に開演したコンサートは予定通りの21時過ぎに終了したものの、何度かの中断を理由にチケットの払い戻しを求める人などが抗議を行った。そのうち30人ほどは日付が変わった深夜2時ごろまで会場に残って抗議をしていたという。なお、払い戻しは行われなかった。

演奏中断は過去にも

コンサートに行った人たちの中でも、「咳一つで中断終了するって、いったい何様なんだ!カネ払ってるんだよ」「あれだけ楽しみにしてたのに。そんなファンの気持ちを理解できないなんて、何を学んで来たの?」と不満げにツイッターやブログでつづる人も少なくない。

一方で、「まじで、この観客どうなってるの?なんかキースに話しかけるやつもいるし。考えられん」「マナー守れない人が多くて泣ける。最悪」と一部観客のマナーの悪さを指摘する書き込みも目立つ。フェスティバルホールによると、この日はライブ録音を予定しており、会場内の掲示や開演前のアナウンスなど普段以上に注意喚起を行っていたという。

ただ、ジャレットさんがコンサート中に演奏を中断したり、音を立てる観客に自ら注意したりすることはめずらしいことではないという。

「何年か前の大阪でのキースのソロコンの時も終盤になって客の一人が思いっきり咳して演奏中断したことあったよなぁ…」
「何年か前も叱られた。演奏を中断し『いつから日本人は拍手の仕方が分からなくなったのか??』と延々説教が始まった時は、ホントに肝を潰した」
「昔、延々とキースに説教食らったことあるw。まーあの緊張感込みでのキースだよね」

など、過去のコンサートを振り返る書き込みもある。

この日のコンサートについて、「いろんな意味で100%キース堪能した」という感想や「キースが怒って途中で帰ったとこ観たかったな」といった声もあるが、「もう大阪きてくれへんのちゃうかな」と残念がる人も多い。