浦和横断幕問題と、下克上への期待
浦和のサポーター席にかかっていた垂れ幕が人種差別じゃないかと話題になっている。ベンチ入りできる選手が全員日本人だという意味じゃないかという説もあるようだし、まだ本当のことは判らない。
だけど、浦和のようにJリーグをリードする立場のクラブにしては、差別の意図はなかったとしても軽率だったと思う。世界に出て行こうとしているチームなのだからね。
僕は現役時代、ブラジルや韓国でプレーしたけれど、一度も差別されることはなかった。もちろん、「助っ人」として、結果が出ないときは一番責任を問われた。だけど、それは差別じゃない。
差別は本当に嫌なことだと思う。世界中の差別がなくなることを祈ります。
さて、今週ピックアップしておきたいのは、その浦和を破った鳥栖。今年は迷いがない。
去年は途中まで攻撃の形を模索して失点が増えていたけれど、途中から自分たちの持ち味である「堅守」に回帰して、そのまま突き進んでいる。
浦和戦も残り15分で5バック、4人のMFはみんなボランチ型でペナルティエリアに蓋をした。そこまで徹底しているから、初めて埼玉スタジアムで勝てた。そして鹿島と同率で首位をキープしている。
勝っているといえば、去年ギリギリでJ2に残留した岐阜も2連勝でJ2の首位に立った。いいサッカーをしているし、お客さんもたくさん入って選手も張り切っているのがよくわかる。チームに勢いがあるね。
ラモス監督が就任して本当に変わったと思う。あとは厳しいことをズバズバ言うラモス監督に選手がちゃんと正面から向かっていけるか。
ラモス監督の言葉は勢いが激しいけれど、背中で聞いちゃダメだ。監督、選手、クラブがきちんとまとまれば、岐阜は目標の10位をしっかりクリアできると思うよ。
J1もJ2も、鳥栖と岐阜がトップに座っているなんて去年からは想像できなかった。それだけ今年のJリーグは下克上が起きている。ますます目が離せないよ。
1973年生まれ。横浜フリューゲルス、ヴェルディの他、ブラジルなどでプレー。アトランタ五輪では、主将として28年ぶりに五輪出場を決めた。2005年引退後は解説の他、少年サッカー普及に従事。2009年、ビーチサッカー日本代表としてW杯に出場。ベスト8に貢献した。