【杉山茂樹コラム】五輪ムードに水を差したザック采配
ベネズエラ戦の採点です。
GK
川島 6.5 五輪直後の試合ということで、見慣れていたGK権田と比較して見ることになったが、力量に差があることは明白だった。器において、両者にはまだ開きがあることを実感させられた。変なミスをしそうもない安定感が川島にはある。権田についていえば、メキシコ戦(準決勝)で同点ゴールを許すことになった扇原へのフィードを悔やむ声が多く聞かれるが、その3点目のシュートも止めなければいけないものだった。韓国戦(3位決定戦)で浴びたパク・チュヨンの先制弾もしかり。ポジションワークに難ありと言わざるを得ない失点だった。もし川島がオーバーエイジとして五輪チームのゴールを守っていたら、日本の成績は違ったものになっていたのではないか──。タラレバ話で恐縮だが、ベネズエラ戦を見ていて思ってしまったことだ。
DF
駒野 5.5 15分、ウイングプレイで遠藤の先制点を演出。後半30分にも、ファーサイドで構える香川に決定的な鋭いキックを送球した。その他でも再三存在感を示したが、逆サイドでお長友に比べると単調な感は否めなかった。3年前、5年前ならもっとよく見えていたに違いないが、サイドバックに求めるレベルは年々上がっている。ボールへの絡み方に、もう少し多様性が欲しい。
吉田 5.5 「吉田主将」の存在感はなかった。2014年、その時、彼が欧州のどのクラブでプレイしているか。すなわちどれほど自信を得ているか。日本代表にとって大きな問題だ。
伊野波 4.5 開始6分、サイドから相手のフェドールに切り込まれ、ピンチを招くなど不安定なプレイを見せた。「コンディションに難がある中でよくやってくれた」と、ザッケローニは語ったが。
長友 7 駒野にはないプレイの多様性が目を引いた。右利きの選手が左サイドバックを務める不自然さ(槙野が左サイドバックで起用されたときによく見せる)も一切なし。よりいい感じになっている。
MF
長谷部 5 プレイに元気なし。ゲーム感がないからだろうか、ボールに積極的に絡めなかった。今後が心配される。
遠藤 5.5 先制点をマークしたが、存在感は薄れている。それは本田のプレイが目立つほど薄れている。両者のパワーバランスに難あり。陰の主役ではなくなっている。
香川 5 この選手のポジションはいったいどこなのか。前半こそ与えられたポジションを守ったが、時間の経過とともに、ミスを犯す度に、居心地の良さを求めて(いつものように)真ん中へ移動。日本の左サイド前方に大きな穴を作った。全体図に偏りを作ることになった。いつものように。日本がペースを失っていった大きな原因だ。香川はいま日本で最も注目を集めている選手だが、少なくとも日本代表でこれまで、その魅力をふんだんに発揮したことはない。今回のベネズエラ戦に限った話ではない。そしてそれがチームにマイナスに作用している。皮肉的な話だ。香川が真ん中に入り、攻撃が真ん中に偏った途端、流れは悪くなっていく。ボールの奪われ方も悪くなっていく。これほどバランスの悪いサッカーをしているチームは珍しい。問題点はハッキリしている。
本田 7 ザッケローニが香川ではなく本田をトップ下で起用したい理由はよくわかる。ボールが確実に収まるからだ。頑丈な身体を生かしての細かなつなぎ、そして相手DFを背負った高い位置でのポストプレイ。香川にはないものが本田にはある。香川は、相手のDFに背を向けたプレイは得意ではない。ザッケローニが本田を1トップ下で起用する一番の理由だと思うが、そこで本田が活躍するほど、10番・香川は目立たなくなる。両者をどう綺麗に並べるか。本田を0トップ気味に使った終盤の配置の方が、まだスッキリして見えた。
GK
川島 6.5 五輪直後の試合ということで、見慣れていたGK権田と比較して見ることになったが、力量に差があることは明白だった。器において、両者にはまだ開きがあることを実感させられた。変なミスをしそうもない安定感が川島にはある。権田についていえば、メキシコ戦(準決勝)で同点ゴールを許すことになった扇原へのフィードを悔やむ声が多く聞かれるが、その3点目のシュートも止めなければいけないものだった。韓国戦(3位決定戦)で浴びたパク・チュヨンの先制弾もしかり。ポジションワークに難ありと言わざるを得ない失点だった。もし川島がオーバーエイジとして五輪チームのゴールを守っていたら、日本の成績は違ったものになっていたのではないか──。タラレバ話で恐縮だが、ベネズエラ戦を見ていて思ってしまったことだ。
駒野 5.5 15分、ウイングプレイで遠藤の先制点を演出。後半30分にも、ファーサイドで構える香川に決定的な鋭いキックを送球した。その他でも再三存在感を示したが、逆サイドでお長友に比べると単調な感は否めなかった。3年前、5年前ならもっとよく見えていたに違いないが、サイドバックに求めるレベルは年々上がっている。ボールへの絡み方に、もう少し多様性が欲しい。
吉田 5.5 「吉田主将」の存在感はなかった。2014年、その時、彼が欧州のどのクラブでプレイしているか。すなわちどれほど自信を得ているか。日本代表にとって大きな問題だ。
伊野波 4.5 開始6分、サイドから相手のフェドールに切り込まれ、ピンチを招くなど不安定なプレイを見せた。「コンディションに難がある中でよくやってくれた」と、ザッケローニは語ったが。
長友 7 駒野にはないプレイの多様性が目を引いた。右利きの選手が左サイドバックを務める不自然さ(槙野が左サイドバックで起用されたときによく見せる)も一切なし。よりいい感じになっている。
MF
長谷部 5 プレイに元気なし。ゲーム感がないからだろうか、ボールに積極的に絡めなかった。今後が心配される。
遠藤 5.5 先制点をマークしたが、存在感は薄れている。それは本田のプレイが目立つほど薄れている。両者のパワーバランスに難あり。陰の主役ではなくなっている。
香川 5 この選手のポジションはいったいどこなのか。前半こそ与えられたポジションを守ったが、時間の経過とともに、ミスを犯す度に、居心地の良さを求めて(いつものように)真ん中へ移動。日本の左サイド前方に大きな穴を作った。全体図に偏りを作ることになった。いつものように。日本がペースを失っていった大きな原因だ。香川はいま日本で最も注目を集めている選手だが、少なくとも日本代表でこれまで、その魅力をふんだんに発揮したことはない。今回のベネズエラ戦に限った話ではない。そしてそれがチームにマイナスに作用している。皮肉的な話だ。香川が真ん中に入り、攻撃が真ん中に偏った途端、流れは悪くなっていく。ボールの奪われ方も悪くなっていく。これほどバランスの悪いサッカーをしているチームは珍しい。問題点はハッキリしている。
本田 7 ザッケローニが香川ではなく本田をトップ下で起用したい理由はよくわかる。ボールが確実に収まるからだ。頑丈な身体を生かしての細かなつなぎ、そして相手DFを背負った高い位置でのポストプレイ。香川にはないものが本田にはある。香川は、相手のDFに背を向けたプレイは得意ではない。ザッケローニが本田を1トップ下で起用する一番の理由だと思うが、そこで本田が活躍するほど、10番・香川は目立たなくなる。両者をどう綺麗に並べるか。本田を0トップ気味に使った終盤の配置の方が、まだスッキリして見えた。