彼女は自分で探すから、気を遣わないでくれ」。

僕は呆然とした。

断られることをまったく想定していなかったので、返す言葉が見つからない。

3秒ほど沈黙したあと、「あ、そう。

わかった」と言うのがやっとだった。

もっとも、これだけなら彼がたまたまそういう性格だったということにすぎないが、このやりとりが何人もの男友達(全員30代独身)に連続したから不思議である。

現代の30代独身男性の1つの傾向なのかと思ってしまうほど、みんな合コンの誘いをあっさり断り、異口同音に「彼女は自分で探すから」とシャッターを下ろしてしまうのだ。

かくして、肝心の男友達がこういう姿勢であるため、件の合コン話は一向に進展しないまま、現在に至っている。

同じ30代の独身族でも、女性は積極的に出会いを求め、男性はせっかくの出会いを拒否。

需要と供給のバランスがここまで崩れてしまうと、女性も大変だろう。

結果として、冒頭の女友達は年下の20代男子とばかり合コンを重ね、「やっぱり若い男はダメだわー。

女をルックスと若さでしか判断しないんだもん。

これだから、男は30代以上がいいんだよねー」と、合コンの大惨敗をしょっちゅう嘆いている。

このような30代独身男子の奇妙なメンタリティーは、最近の僕の関心事の1つだ。

僕の友人・知人だけに限られた局地的な傾向なのか、それとも大多数に当てはまることなのか、それも含めて今後詳しく調査していきたいと思う。

そこにあるのは「草食」という言葉だけでは説明することができない、男性特有の複雑な心理なのだろう。