3日、ロンドン五輪の女子サッカー日本代表メンバー18人が発表された。

澤穂希(MF)、宮間あや(MF)、川澄奈穂美(MF)、大野忍(FW)、近賀ゆかり(DF)、熊谷紗希(DF)、海堀あゆみ(GK)ら、昨年のW杯優勝メンバーを中心に構成され、ケガで出場が危ぶまれていた19歳の岩渕真奈(FW)、そして“ラッキーガール”丸山桂里奈(FW)も選出された。

これで、なでしこジャパンの悲願=五輪での金メダルへの挑戦が本格的にスタートしたわけだが、実はこのメンバー選出にあたり、一部で囁(ささや)かれていたのが“澤外し”の可能性だ。

言うまでもなく、なでしこジャパンの絶対的エースであり精神的支柱でもある澤。だが、今年2月に良性突発性頭位めまい症を発症してしまう。先月、スウェーデンで行なわれたテストマッチ2試合で約4ヵ月ぶりの代表復帰をはたしたが、そのパフォーマンスは、昨年の女子W杯優勝時とはまるで別人。とりわけ、運動量の少なさは深刻だった。現地で取材したスポーツ紙記者A氏は言う。

「大量失点でアメリカに敗れた後(17日)、DFの矢野喬子(きょうこ)が自身のふがいなさを認めつつ、『ウチのボランチが相手ボランチをフリーにして、いいパスを出された』とコボしていました。あれは暗に、澤の守備が機能していなかったことを指摘したのです」

そして、攻撃面でも澤のコンディション不良は大きく響いていたらしい。

「エースが出場している以上、周りの選手はそこへボールを出さざるを得ない。しかし、体調は万全でなく、試合勘も戻ってないわけですから、澤のところでなでしこ得意のパス回しが滞(とどこお)ってしまう場面が多く見られました」(現地取材した一般紙サッカー担当記者B氏)

つまり現時点での澤は、チームのブレーキになっているという。A氏が続ける。

「今の澤の状態であれば、体調万全の川澄奈穂美や田中明日菜を先発に起用するほうが明らかにチームのためです。実際、(ポルトガルでの)アルガルベ杯や4月のキリンチャレンジ杯では、澤抜きでやれるメドがある程度立っていたわけですし」

本番まで1ヶ月、この間に澤が復調するに越したことはない。だが、もし澤の体調が戻らなかったら……。昨年の女子W杯では、ネームバリューのあるスターを切る決断が遅れたばかりに、ある優勝候補が早々に敗退したことを忘れてはならない。

「開催国ドイツです。かつての絶対的エースながら力の衰えが顕著(けんちょ)だったFWプリンツを、先発で使うかどうか大会直前まで決め切れず、結局、ギリギリになってサブに回した。けれども、彼女抜きでの戦い方が定められていなかったため、本番では放り込み主体の大味な攻めに終始した挙句、準々決勝で日本に敗れてしまった」(サッカー専門誌編集者C氏)

先発メンバーを決めるそのときまで、佐々木則夫監督の苦悩は続きそうだ。