残り2試合、背水の戦いとなったU-23日本代表。関塚隆監督の打つ手とは?(C) Tsutomu Kishimoto

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 5日に行なわれたロンドン五輪アジア予選対シリアU-23代表戦で、U-23日本代表は終了直前に決勝点を奪われ1-2の敗戦。この結果、日本は勝ち点9でシリアに並ばれ、得失点差で下回り2位に転落した。

 日本とシリアの直接対決は終わっているため、日本は残り2試合に連勝し、シリアが勝ち点を落とすか、あるいは同勝ち点で並んだ場合に得失点差で上回ることが首位通過の条件となった。

 勝利すればほぼ予選通過を手中にした試合だっただけに、この敗戦には批判が続出。そして、その批判の矛先は選手たちの不甲斐なさはもちろん、関塚隆監督の選手選考、そして日本サッカー協会の協力体制にも及んでいる。

 寺野典子氏は「U-23代表、どれほどの危機感を抱いて強化していたのか」にて
 それにしても、名古屋の金崎や鹿島の柴崎など、Jリーグで出場経験を積んでいる選手の中で招集されていない選手もいる。他にもJ2の選手の招集もわずか。J1でベンチを温めている選手よりもJ2で試合出場している選手のほうが経験値は高いと思うのだが……。五輪代表としての経験が少ないという判断だったとしても、今回は3週間も合宿時間があり、新戦力を馴染ませる絶好の機会だったはずだが……。
とコメント。硬直した選手選考に疑問を呈している。

一方、戸塚啓氏は「想定されていたはずの敗戦理由」として、
 協会のバックアップ態勢は十分だったか?

 海外組の招集が難しいのは周知の事実だが、清武の離脱で大津を呼べなかったことが減点材料となったのは否めない。海外組の招集が困難なのであれば、国内組の拘束期間をもう少し長くする=グアム合宿を前倒しにするなどの調整するべきだったのではないか。

 3週間で間に合うと判断したのであれば、過去の経験が生かされてないと言わざるを得ない。そうでなければ、過信があったということになる。
 と述べ、3週間という合宿期間がむしろ短かったのではと述べている。もっとも、こうした意見はJクラブのサポーターには受け入れがたいものかもしれない。

 じゅにじゅにさんは、「Jクラブは代表選手の招集を拒否してもいいと思うんだの巻」にて
長期間の合宿に拘束された上に、あのような内容の試合をさせられていては、選手の為になるとは思えません。直輝と水輝は、浦和でのレギュラー争いで出遅れてしまっています。怪我とかなら仕方ないとも思えるのですが、あんな試合のために出遅れるとは・・・。浦和に残っていた方が彼らのためになったんじゃないかとも思えます。最悪の場合は、浦和での出場機会が減ってしまうのですから。

A代表ならJリーグの試合もないタイミングで試合が行われるのでまだいいんですけど、オリンピック予選はリーグ戦も休んでくれないですからね。協会は、五輪出場を重視するのであれば、A代表並に日程を調整すべきだと思います。U-20くらいまでならともかく、U-23世代になるとチームの主力になっている選手も多いです。主力を抜かれるチームの事情をもっと考慮すべきでしょう。
 国際Aマッチデーに行なわれるわけではないU-23代表の試合には、もう少しチーム事情を考慮すべきと意見している。

 いずれにせよ、U-23代表がロンドン五輪の出場に失敗した場合、上げ潮の日本サッカーに冷水をかけることになるのは間違いない。結局は、Jクラブが折れる形でU-23代表に協力せざるを得ない。それだけに、日本サッカー協会にはU-23代表により厳しい目を向けるべきだろう。

 フィリップ・トルシエ以降、アテネ五輪代表に山本昌邦(現解説者)、北京五輪代表に反町康治(現松本山雅FC監督)、そして今回のロンドン五輪へ向けて関塚隆と(監督としての)国際経験が皆無に等しい日本人監督が選ばれ続けている。しかし目標を「アジア予選の通過」ではなく「メダル獲得」に置くのであれば、こうした監督選びが適切なのかも疑問が浮かぶところだ。



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