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 結果は1-1の引き分け。バレンシアが先制するが、またもコーナーキックからプジョルの魂のヘディングが炸裂。後半にはバルサがPKのチャンスを得るが、PKストッパーの異名を持つジエゴ・アウベスが見事にメッシのシュートを防ぎ、PKを当てたミゲルを救った。

 この試合のバレンシアによるバルセロナ対策は今までの集大成のようなものであった。なので、それをまとめる形でブログを進めていく。ただし、目新しいことはなく、単なるまとめであることを先に断っておく。

 ただ、すべてのチームのバルセロナ対策が均一化してくると、チームの個性はどこへ行くという話になってくる。もちろん、そのチームに所属する選手によって個性という誤差はあるんだけれども。対戦するバルセロナの選手が、このような状況をどのように考えているかは、ちょっと気になるところである。

 ■ボールを保持させるな

 最初は、相手にビルドアップをさせないである。

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 どこのチームもやっていることだが、まずは繋がせない。中途半端に人員をさくと、キーパーを使ったビルドアップによって、プレスを回避されてしまう。よって、マンツーマンで抑える。なので、どっちに転ぶかわからないロングボールを相手に強いることで、バルセロナにボールを保持させない。

 次に、ロングボール大作戦である。
 
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 バルセロナの前プレが緩くなっていることは伝えてきた。しかし、最近の不調からか、この試合の序盤はメッシを中心に相手を追い掛け回す場面が見られた。バルセロナのボールを保持する仕組みとして、相手にボールを持たすことのない守備の強さがあげられる。なので、そのプレスを外したいとどのチームも考える。

 バルサの守備の特徴はマンツーマンよりも圧力の強いボールへの密集である。ボールを持っている選手は気がつけば相手だらけという状況になっている。この守備の強さは言うまでもないんだけど、ただ守備のポジショニングから考えると、かなり亜流の方法といえる。それはいわゆる文法から外れた動きをすることがある。

 バレンシアの先制場面で面白かったのがジエゴである。パントキックをせずにわざとボールを地面において、誰かを引き寄せてからロングボールを蹴った。また、バレンシアはゴールキックからのビルドアップでCBがボールを受ける。しかし、フォローする選手が最初から高い位置にいる。バルサの選手を引き寄せてドカンと蹴る場面があった。つまり、最初から蹴る気満々。ただし、ジエゴ・アウベスのロングボールの精度はなかなかひどかったけれど。
 
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 こうなれば、バルセロナはプレスのかけどころが曖昧になる。前から追いかけても蹴られる。セカンドボールに備えると、バネガと中心に後方から繋いでくることもある。メッシがもっと守備を頑張れば問題なくなるのは秘密なんだけども。メッシを守備の時だけサイドに置いたら、そのSBが攻撃参加するだろうし。そういうSBじゃなければ、有りかもしれない。

 こうして徐々にバルセロナのボールを保持する時間を削っていく。愚直に愚直に。バレンシアの面々で言えば、ピアッティとジョルディ・アルバのアジリティを活かした素早いプレスと裏への飛び出しはバルセロナに厄介なものとして存在していた。そして、後半の無秩序状態でもバネガのキープ力とアルベルダのボール奪取力は異常だなと。

 その他に気になったのは、バルセロナのコーナーキック。カウンターされるのが嫌でショートコーナーをずっとやっていた印象だったのだけど、相手も人数をかけて対応してきた。なので、最近は素直に蹴ることが多くなっている。で、ここで工夫が見られている。プジョルが遅れてファーサイドに登場、メッシがファーに流れて中央に折り返すとか。もしかしたら、コーナーからのゴールが増えるかもしれない。ただし、カウンターも食らうかもしれないけど。

 ■独り言

 マンツーマン気味のプレスとハーフラインからのプレッシングの使い分けができるのが必須条件なので、バルセロナ対策も大変だなーと感じる。ただ、バルサのいびつさに助けられている面が強い。そのいびつさはバルセロナがバルセロナであることの必須条件ではないので、それを修正されると、また振り出しに戻るんだけどね。

 試合で言えば、アウベスが登場してからのバルサは急にピントをビルドアップで使うようになった。恐らく最初の指示はなるべく使うな。指示がなくても選手間でそのような認識があった可能性が高い。なので、原点回帰しようと。バルサがバルサであるために。帰る場所があるバルセロナは迷っても大丈夫なのは強いなーと感じた場面であった。あとは、メッシ待ちかな。もうすぐだと思うけども。