ここ1―2年で急騰していた中国の生薬(中薬材)価格に異変が起きている。9月には前月比で25%下落した品種もあり、中国医薬網は「生薬バブルが崩壊する」と伝えた。

 生薬価格は2009年末ごろより急上昇、常用生薬である太子参が1キログラムあたり50元(約600円)から500元(約6000円)になるなど、品種によっては10倍以上に跳ね上がった。中国中薬協会によると、2010年には537品種中84%が平均109%値上がりしたという。

 高止まりが続いていた生薬価格に変化が現れたのは9月ごろだ。中国国内の生薬市況データを扱う「中薬材天地網」が発表した9月の市場価格データによると、調査対象の537品種中33%に当たる177品種が前月比で下落しており、上昇した63品種を大きく上回った。中でも常用生薬である太子参や党参は前月比15−25%減と価格が急降下したのだ。

 生薬価格の下落を「周期的なもの」とする見方がある一方で、多くの医薬業界関係者は「投機売買による生薬バブルが崩壊した」と考えているようだ。

 広東省広州市にある医薬品会社の販売責任者は「仲買業者が買いだめしたほか、多くの投機家が市場に大量の資金を流し込み、生薬価格の高騰を助長した。現在、雲南省や甘粛省で買いだめ品の放出が起きており、生薬価格が下落した」との見解を示した。

 記事は、消費者物価指数(CPI)に占める割合が高くないために「生薬バブル」は監督管理当局に重視されなかったと指摘。国内でインフレが進行し、通貨緊縮政策が続く中でバブルが崩壊するのは「想像どおりだ」とした。今後の見通しについて多くの業界関係者が「しばらく下がり続ける」と見ていることを紹介した。(編集担当:柳川俊之)