8月23日、アメリカ東海岸でマグニチュード(M)5.8の地震が発生、首都ワシントンなどを中心に推定震度3〜4の揺れが広い範囲を襲った。同地域でこの規模の地震は93年ぶりという。M9.0の東日本大地震が、太平洋プレートの対岸にまで影響を及ぼした可能性も否定できない。

 もちろん日本列島もいまだ余震が続き、全国各地の活断層で大地震が起きやすい状態が続いている。その前兆ともいえるのが、週プレNEWSの記事『房総半島で方位磁石の南北が逆転する怪奇現象“磁気異常”が多発』『房総半島の磁気異常が示す「M7首都圏直下地震」の可能性』で警告した、謎の「磁気異常」だ。現在、東京湾沿岸部と千葉県房総半島内陸部では、コンパスの針が大きく狂うという奇妙な事態が頻発している。

 そして最近になって、この現象が東京・千葉以外でも観測され始めたという。磁気異常と地震発生の関係を研究してきた海洋学者の辻維周氏は、8月1日に駿河湾でマグニチュード6.1という地震が起きた東海地方でもこうした異常現象が観測されているとして、次のように警告する。

「地震発生前には、震源を取り巻く地下の岩盤に細かいクラック(ヒビ割れ)が走り、その際に放出される電磁波が地磁気に影響を及ぼします。この異常現象が観測されると、1、2年以内に岩盤で大規模な破壊(地震)が起きることがわかってきました。駿河湾沿岸から渥美半島にかけての地域で、5月以降、方位が狂い出しています。おそらく、3月11日の超巨大地震で生じた太平洋の地殻の歪みが少し遅れて伝わったのでしょう。この東海地域の磁気異常は強まるばかりです。7月前半の調査では、とうとう駿河湾各地で最大30度のズレを計測しました。これは通常ではありえない数値です」

 駿河湾沖の東海地震、愛知県沖の東南海地震、紀伊半島沖の南海地震。これら3つの震源域で起きる「海溝型巨大地震」は、基本的に単独で終わらず、ほとんどが連動発生してきた。東海地方の磁気異常はその前兆だと読み取れると辻氏は言う。

「強い磁気異常は駿河湾地域だけでなく、愛知県・渥美半島先端の伊良湖岬まで広い地域で発生しています。福田港に至っては35度もズレている。明らかに、東南海地震の接近を告げています。また、7月5日に和歌山でM5.5が観測されるなど、このところ紀伊半島でも地震活動が目立ってきました。これらは南海地震の予兆と考えられます。つまり、1、2年以内に、東海・東南海・南海すべてが連動したトリプル超巨大地震が襲来する可能性があるのです」

 首都圏だけでなく、東海地方にまでその範囲が広がった「磁気異常」。杞憂に終わることを祈るばかりだ。

(取材/有賀 訓、取材協力/辻 維周)


【関連記事】
房総半島で方位磁石の南北が逆転する怪奇現象“磁気異常”が多発
房総半島の磁気異常が示す「M7首都圏直下地震」の可能性
頻発する余震。今、首都直下地震が発生すると“避難所地獄”が待っている
タワーマンションの悲劇。首都直下地震では数十万人の“高層難民”が発生する
兆候から噴火まであっという間。巨大地震が誘発する「富士山大噴火」の脅威