台湾で大騒ぎに

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   自分たちだけ震災援助金がないのはおかしい――。日本留学中の台湾人大学生がフェイスブックでこう訴えたことが、台湾メディアに大きく取り上げられる騒ぎになっている。その背景には、どうやら日本の留学制度上の不備があるようなのだ。

   フェイスブックで訴えたのは、宇都宮市にある私大の作新学院大学に通う台湾人女子学生だった。

台湾人女子大生がフェイスブックで

   この学生は、各国の留学生が12万5000円の震災援助金をもらっているのに、自分たちがもらえないことに不満を持った。そして、同じ台湾からの留学生2人とともに学校側に説明を求めた。すると、学校側は、「台湾は国家ではない」として、受け取る資格がないと説明したという。これを受けて、学生はフェイスブックで「台湾は日本に多額の義援金を贈っているのに、こんな目に遭うとはひどい」などと憤った。

   この訴えが、2011年7月4日に台湾メディアに大きく取り上げられ、台湾外交部も確認に動いたという大騒ぎになっている。

   文科省は3月、震災支援として、被災地の大学に通う国費留学生に緊急援助を行った。12万5000円は、1か月分の奨学金に当たる額だ。

   ところが、台湾とは正式な国交がないため、国費留学生はおらず、その援助対象にもならない。ただ、独立行政法人日本学生支援機構が月4万8000円の私費外国人留学生学習奨励費を出しており、その支給者であれば、同額の援助金がもらえることになる。

   フェイスブックで訴えた学生は、この奨励費の対象者でもなかったのか。

   作新学院大学の学生課によると、学校側に説明を求めた学生は3人とも対象者ではなかった。うち1人は、財団法人による別の奨学金を受けていたが、これは震災援助金がもらえないものだった。

日本の留学制度上に不備があった

   大学院生については、台湾と民間レベルの交流を担う財団法人交流協会が、国費に準じて奨学金を支給している。震災援助金も、修士課程なら15万4000円、博士課程なら15万5000円と国費留学生と同じ額をもらうことができる。

   作新学院大学の学生課では、「奨学金を受けている大学院生なら、満額の援助金がもらえます。しかし、学部生は、そんな支給はなく、気持ちの収まりがつかなくなってフェイスブックに投稿したようです」と話す。そして、「台湾は国家ではない」と言ったことは否定し、「『正式な国交がない』と言ったのが拡大解釈されたのでは」と言っている。

   台湾からの学部留学生は、日本学生支援機構から奨学金や震災援助金を受けたとしても、国費留学生の3分の1程度。なぜ国費に準じた支給を受けられないのか。

   このことについて、文科省の学生・留学生課では、こう説明する。

「支援機構は、台湾だけが対象ではなく、なるべく多くの留学生を支援するのが目的です。予算に限りがあるので、その額になるのではないでしょうか」

   そもそも交流協会が学部生にも支給対象を広げれば、何の問題もないはずだ。この点について、東京本部総務部では、「過去の経緯までは把握していませんが、財政的な制約があるのだと思います」と言う。

   文科省でも、問題点があることを認めており、学部生まで支給対象を広げることについて、「できれば検討事項にしたいと思います」(学生・留学生課)と言っている。

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